こんにちは。私からも少し補足します。
>読みだけで意味が通じるものは 訓読みだと思っていたので、
これは「そういうものが比較的多い」というだけのことです。
本来の音読み・訓読みの定義は,「中国での読み方が日本風になまったもの」が音読み,「中国での読み方以前に日本に存在していた固有の語彙(やまとことば)を,漢字にあてはめたもの」が訓読みですよね。
しかし,小学校の国語科などでこのような説明をしても,子どもたちは中国語の読み方は知りませんので(まして音読みの基礎になった中古音など知るはずもない),実際に,例えば「山」の音読みと訓読みは何か,と考える際には役に立ちません。
そこで,一種の便法として,「さん」だと意味がよく分からないが,「やま」だと分かる,というような教え方をするわけでしょう。
したがって,そこには「菊」のように,おのずと例外が生じます。
「門」など,音読みの「もん」は1年生でも分かるでしょうが,訓読みの「かど」は通じない子が多いのではないでしょうか。「かどで」なんて言葉を知っている1年生は少ないでしょう。かどと言われると,「角」だと思う子が多そうです。
さらに,中国語の読みも,地域により,また時代により,変化しています。
確かに今の北京音では,「菊」は「チウ」のような発音ですが,古い発音を比較的よく残している広東語(ホンコンなど)や,朝鮮語(韓国語)の発音では,kuk(クク)となり,日本語のキクに近いものがありますね。
もう1つ2つ,例をあげますと,「民」は北京語,広東語,朝鮮語,日本語いずれも「ミン」でよく似ていますが,「学」は北京語xue(シュエ)に対して,広東語hok,朝鮮語hak,日本語gakuです。
つまり,今の北京語は,日本語の漢字の音読みの元になった発音からはかなり変化しているので,一見(一聴?)して似ていないように思えても,きちんと音韻の変化などを調べると,やっぱり音読みだったという場合があるということです。
というわけで,
>なぜ音読みなのでしょうか。
という質問に対しては,「中国での音が日本風になまったものだから」と回答することになります。
「音読みには比較的○○なものが多い」のは確かだとしても,「全て」というわけではありませんので,逆にして「○○な読みは音読みだ」と決めつけることはできません。