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マルコフ過程の定常状態と微分方程式の解について
- マルコフ過程の定常状態とはどのような状態なのか、またその確率はどのように求められるのかを説明します。
- マルコフ過程に対する微分方程式の解の導出過程を具体的に説明します。
- 微分方程式と境界条件を満たす最終解を求める手順を説明します。
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(1) 行列による表記 P1(t)、P2(t)、P3(t)を縦に並べた列ベクトルをP(t)とします。 微分方程式の係数行列をGとします: G = ((-6, 6,3),(2,-10,1),(4,4,-4)) ((-6, 6,3)を第1行、(2,-10,1)を第2行、(4,4,-4)を第3行とする行列。以下同様とします。) すると、微分方程式は、 [1] dP(t)/dt = GP(t) と表すことができます。 (2) 対角化により微分方程式を解く Gの固有値0,-8,-12を対角成分に持つ対角行列をHとします: H = ((0,0,0),(0,-8,0),(0,0,-12)) すると、適当な正則行列Mにより、 G = M^(-1)HM と表すことができるので、微分方程式はdP(t)/dt = M^(-1)HMP(t)、すなわち、dMP(t)/dt = HMP(t)となります。Q(t)=MP(t)と置けば、 dQ(t)/dt = HQ(t) となります。成分ごとに表すと、 dQ1(t)/dt = 0 dQ2(t)/dt = -8Q2(t) dQ3(t)/dt = -12Q3(t) となります。Q(t)の各成分をQ1(t)、Q2(t)、Q3(t)としました。この微分方程式は、簡単に解けて、 Q1(t) = α Q2(t) = e^(-8t) + β Q3(t) = e^(-12t) + γ となります(α、β、γは定数)。P1(t)、P2(t)、P3(t)がQ1(t)、Q2(t)、Q3(t)の一次結合だから、結局、適当な定数A1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3により、 [2] P1(t) = A3 + A1e^(-8t) + A2e^(-12t) P2(t) = B3 + B1e^(-8t) + B2e^(-12t) P3(t) = C3 + C1e^(-8t) + C2e^(-12t) と表すことができます。後の作業は、これらの定数を決定することです。 (3) 定数の決定その1 定数を決定するために使える条件は、次のとおりです。 (1) [2]式が[1]式の解であること (2) 初期条件 P1(0) = 1、P2(0) = 0 、P3(0) = 0 (3) P1(t) + P2(t) + P3(t) = 1 また、(1)からの帰結として、次が言えます。 (4) P1(∞) = 3/8、P2(∞) = 1/8、 P3(∞) = 1/2 [2]式でt→∞とすれば、(4)により、A3 = 3/8、B3 = 1/8、 C3 = 1/2が得られます。さらに[2]式を(3)に代入して、A3+B3+C3=1も考慮して、 (A1+B1+C1)e^(-8t) + (A2+B2+C2)e^(-12t) = 0 となりますが、関数e^(-8t)と関数e^(-12t)が一次独立であることから、A1+B1+C1=0、A2+B2+C2=0となります。以上により、ご質問の中の [3] P1(t) = 3/8+A1e^-8t +A2e^-12t P2(t) = 1/8+B1e^-8t +B2e^-12t P3(t) = 1/2+(-A1-B1)e^-8t +(-A2-B2)e^-12t が得られます。 (続く)
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- ramayana
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ANo.2の続きです。 (3) 定数の決定その2 あと、残っている未知数はA1、A2、B1、B2の4個で、残っている条件は、(1)のうちの(4)以外の部分と、(2)です。 [3]式の第1行目を微分して、 dP1(t)/dt = -8A1e^(-8t) - 12A2e^(-12t) となります。これを、[1]式の第1行目 dP1(t)/dt=-6P1(t)+6P2(t)+3P3(t) の左辺に代入し、右辺には[3]式を代入すると、 -8A1e^(-8t) -12A2e^(-12t) = -6A1e^(-8t) -6A2e^(-12t) +6B1(e^-8t) +6B2(e^-12t) +3(-A1-B1)e^(-8t) +3(-A2-B2)e^(-12t) が得られます。これは、ご質問の式です。「e^-8tとe^-12tとの係数を等しく置く」とありますが、これは、舌足らずで、「左辺のe^(-8t)の係数と右辺のe^(-8t)の係数が等しく、また、左辺のe^(-12t)の係数と右辺のe^(-12t)の係数が等しい」と解釈すべきです。関数e^(-8t)と関数e^(-12t)が一次独立だからです。 左辺のe^(-8t)の係数 = -8A1 右辺のe^(-8t)の係数 = -6A1+6B1-3A1-3B1 左辺のe^(-12t)の係数 = -12A2 右辺のe^(-12t)の係数 = -6A2+6B2-3A2-3B2 ですから、 [4] -8A1 = -6A1+6B1-3A1-3B1 -12A2 = -6A2+6B2-3A2-3B2 となります。これは、ご質問の式です。ご質問で引用されている記述の、後の部分は、私にも意味不明です。要は、次のようなことだと思います。初期条件(2)を[3]式に代入して、 [5] 3/8+A1 +A2 = 1 1/8+B1 +B2 = 0 1/2+(-A1-B1) +(-A2-B2) = 0 となります。[4]と[5]で条件式が5個となり、未知数の個数より多いように見えますが、[5]の3つの式は一次従属ですから、実質的には、4個の条件であって、未知数の個数に一致します。よって、これらを解いて、A1、A2、B1、B2が決定されます。 「他の2方程式に代入しなくて、1つの微分方程式に代入するだけで十分である。」とありますが、これの意味を詮索するよりも、上で得られたP1(t)、P2(t)、P3(t)を実際に[1]式に代入して、微分方程式の解になっていることを確かめるほうが、シンプルだと思います。
- Tacosan
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最初の部分だけは線形代数を知らないと難しいけど, それ以外は解析の知識だけでできるところ... というか, 一部は「たんに代入するだけ」だったりするので, 「丁寧に」は書きません. まず最初の「それゆえ」付近は (線形代数を知っていれば簡単なだけど) 大雑把にはその前の連立微分方程式から P2(t), P3(t) を消去する. その結果 P1(t) に関する 3階の微分方程式になって, その解が P1(t) = 3/8 + A1e^-8t + A2e^-12t のように書ける, ということ. P2(t), P3(t) についても同様で, ただし 3つの和が恒等的に 1 になることを考慮すると係数は 4個ですむ (3つの和が恒等的に 1 であることを最初から使うと 2階で十分でもある). その次の「この関係式の具体的な導出過程をお教え下さい。」は, その直前に書いてある通り素直に代入して計算するだけ. 次の 2つの方程式は単に係数を比較しただけ. 係数を比較していいということは e^-8t と e^-12t が独立であることから. 逆に言えば「係数が等しくなかったら関数として等しくないでしょ」ってことでもある. さらに次の「任意の定数の」の段落のところは初期条件を代入しただけ. ただし, この段落の (少なくとも) 最初の文は日本語としておかしい. おそらく, 原文の構造をきちんととらえられていない.
お礼
大変有難う御座いました。
お礼
解らなかった微分方程式の使い方が、例題での解の導出過程の御回答で少し解るようになりました。大変有難う御座いました。