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保菌と感染の判断においての純培養の影響
- 保菌と感染の判断において、純培養か否かは重要な要素です。
- 例えば、平素無菌ではない部位から病原微生物が分離された場合、純培養か否かを総合的に判断して保菌か感染かを決定します。
- ヘンレ・コッホの条件でも純培養は必要な要素であり、同じ微生物を再度純培養することができることが重要とされています。
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獣医師です。病性鑑定の仕事に長く従事しています。 まあ文章はおかしいとは思いますね。「純培養」というのは「行為」ですから。 なんとか判りやすく説明できるよう、努力してみます。 健康な動物の鼻腔スワブや乳汁などの、すなわち「無菌的でない検体」を培養すると、普通は何種類もの菌が培地に生えてきます。病原性のある菌もありますが病原性がないとされるいよゆる「雑魚」もたくさん分離されるのが普通なわけです。 その雑多な菌が生えた培地から、目的の菌だけを拾って培養し直すと、その菌だけがびしっと生えた培地を入手できるわけですが、それを「純培養」と言います。 「鼻腔スワブを培養し、生えてきた菌からパスツレラを純培養した」とかいう言い方をします。 つまりそういう状態で臨床症状(この場合呼吸器症状)がない動物からパスツレラ菌を分離しても、その動物が「パスツレラ症」という疾病であった、と診断することはできない、というわけです。 一方、咳をして鼻水を垂らしているような動物から鼻腔スワブを採取して培地に塗ったら、翌日にはその培地にはパスツレラ菌だけが(あるいはほとんどパスツレラ菌だけが)びっしり生えてきた、という状況であれば、「この動物はパスツレラ症という疾病であった」ということをかなり強く疑うことができます。 こういう状態を「純培養状に分離した」と言います。 つまりご質問の文章が「純培養状か否か等の状況を・・」というのであれば、すんなり意味が通ると思うのですけどね。 平素無菌的でない部位、というのは種々雑多な細菌が分離されるのがノーマルであるわけですから、その中にたまたま病原菌が混じっていたとしても、「分離=疾病」ではないわけです。つまり単に「保菌」しているだけである可能性が高い、という判断がリーズナブルになるわけです。 純培養状に分離される、ということは、単一の細菌が有意に増殖していることを意味していますから、それは少なくとも「平素無菌的でない部位」では"異常事態"であるわけで、その他の臨床症状などの所見と併せて考慮すれば、「感染(発病)である」という診断を下すための有力なパラメータになる、というわけですね。 つまり、「細菌が存在する」ことは、「その細菌が悪さをしている」こととはイコールではないわけです。その細菌は単にたまたまそこに存在しただけで、「悪さ」は他の細菌あるいはウイルスがしているのかもしれません。 ですから多くの場合、分離されるだけではその感染症の証明にはならず、他の所見と併せて総合的に診断しなくてはならない、というわけです。
お礼
物凄くわかりやすかったです!!純培養状という言葉を初めて知りました。 職場で話し合っていたのですが、医師もよくわからず、みんなで難しく考えすぎて、混乱して大変でした。 本当に困っていたので、物凄く助かりました!ありがとうございます!!