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統計学の要点を解説:t分布の自由度と標準正規分布の関係
- 統計学において、t分布の自由度が高い場合、t分布は標準正規分布とほぼ同じとみなせる。
- 自由度が高いと、標本標準偏差と母標準偏差の差が小さくなる。
- サンプルサイズが大きくなると、標本標準偏差は不偏分散から計算される。
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(ご質問1) 「自由度が高いとSとσがほぼ同じで、上記の式の分母がほぼ1になり、分子のみ残るから、という理解でよいでしょうか?」 (答) 本質的にはその理解で正しいと思います。ただ、自由度をN-1としたら、【(N-1)S^2/σ^2×1/(N-1)】の部分は、【NS^2/σ^2×1/N】としたほうが分かりやすいと思います。厳密に言うと、次のようになります。 X1, …,XNを独立で平均μ、分散σ^2の正規分布に従う確率変数とします。さらに、 Xbar = (X1+ … + XN) / N S^2 =( (X1-Xbar)^2 + … +(XN-Xbar)^2) / (N-1) Y = (Xbar-μ) / (σ/N^0.5) T = (Xbar-μ)/ (S/N^0.5) とします。すると、確率変数Yは、標準正規分に従います。また、確率変数Tの分布を「自由度N-1のt分布」と言います。これをt分布の定義とみなして差し支えありません。 T = Y × (σ/S) で、N→∞のとき、Sはσに概収束するので、σ/Sは1に概収束し、TはYに概収束します。したがって、Tの分布はYの分布(=標準正規分布)に収束します。 なお、「概収束」という言葉になじみがないかもしれません。確率変数の「収束」には、いくつかの異なる概念があり、概収束というのは、そのうちの一種類です。 (ご質問2) 「標本標準偏差は偏差平方和をNで割って求めたものと、N-1で割って求めたものの、どちらの分散から計算されたと理解したらよいでしょうか?」 (答) t分布の定義に従うなら、N-1で割ったものです。ただ、「Nが大きいとき正規分布に近づく」という意味では、どちらでも同じことです。どうせ、N→∞のとき、N/(N-1)は1に収束しますから。
お礼
丁寧なご説明有難うございました。「概収束」という言葉は全く知らず大変参考になりました。自分なりに調べ、学習したいと思います。