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有機EL論文の要約とタイトル
- 有機EL論文の要約文1:有機ELの論文において、注入電流密度と輝度減衰率が直接比例関係にあることが一般的に報告されています。この振る舞いは、輝度の劣化がクーロンの法則に従うことを意味し、注入電荷による劣化が累積的かつ不可逆的であることを示しています。
- 有機EL論文の要約文2:有機ELの論文では、注入電流密度と輝度減衰率の相関が明らかになっています。輝度の劣化はクーロンの法則に基づき、注入電荷による劣化は累積的かつ不可逆的です。
- 有機EL論文の要約文3:ある論文によれば、有機ELの輝度減衰は注入電流密度に比例しています。この劣化はクーロンの法則に従い、注入電荷による劣化は累積的かつ不可逆的です。
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ご質問の文章は論文 [1] に書かれているものですが、訳すと 輝度の減衰率は注入電流密度に比例することが一般に知られている。 このような傾向を示すとき、この輝度劣化をクーロン的劣化と言い、 電荷の注入によって蓄積的で非可逆的な劣化が起こっている。 となります。しかしこの文だけではよく分かりません。 調べてみると、クーロン的劣化は別名 Pfahnl's law (Pfahnl 則)と言うようです。なぜそうなるのか分かりませんが、この劣化モードのとき、輝度 I は I = I0/( 1 + C*N ) --- (1) で表わされます [2]。I0 は初期輝度(cd/m^2)、N は注入された総電荷密度(C/cm^2)、C は定数です。電流(密度)一定で駆動したとき、電流密度を J (A/cm^2)、駆動時間を t (s)とすれば、N = J*t ですから式(1)は I = I0/( 1 + C*J*t ) --- (2) と書けます。OLED を定電流で駆動して、輝度の時間変化(劣化特性)を測定すると、多くの場合、式(2)のような変化になるようです。劣化特性の縦軸を輝度の対数、横軸を時間の対数としたとき、時間の経過とともに傾斜が急になり、ある時間以上では傾斜が一定(輝度が時間に反比例)になります。この領域では 1 << C*J*t と近似できるので式(2)は I ≒ I0/( C*J*t ) --- (3) となります(輝度は電流密度と時間の積に反比例する)。輝度の減衰率を C*J と定義すれば、減衰率は注入電流密度 J に比例することになります。つまり OLED でのクーロン的劣化とは、輝度の時間変化が式(2)で表わされる場合をいうものと思われます。この場合、時間が大きい領域では、質問の文章の最初に書かれているように、減衰速度が注入電流密度に比例します。 輝度の半減期(寿命) T は、式(2)で I = I0/2 となるときの t で T = 1/( C*J ) --- (4) で表わされます(これには近似は入ってません)。式(4)を使えば、ある輝度 I1 での寿命が T1 であったとき、他の輝度 I0 での寿命 T0 を予測することができます。輝度が I0 と I1 のときの電流密度をそれぞれ J0、J1 とすれば、式(4)から T0 = 1/(C*J0) T1 = 1/(C*J1) なので、これを解けば T0 = (J1/J0)*T1 --- (5) となります。論文でよく見かける「輝度 100cd/m^2 での予測寿命」は式(5)から求めているようです。あまり高くない電流密度では、輝度は電流密度に比例するので、寿命は輝度に反比例します(輝度1/10で寿命10倍)。式(2)の定数 C が電流密度と時間に依らず一定(単一の劣化モード)であればその寿命予測は正しいですが、現実には、劣化とともに素子の動作電圧が大きくなって、ジュール熱により素子温度がどんどん上がっていくので、これより短い寿命になるはずです。 [1] http://apl.aip.org/resource/1/applab/v69/i15/p2160_s1?isAuthorized=no [2] http://display.kaist.ac.kr/DML_Journal_Papers/2001/%5BJJAP%5DRole%20of%20Ga3+%20in%20SrTiO3_Pr,Ga%20Phosphor%20Studied%20through%20Its%20Aging%20Behavior%20under%20Low-Dose%20electron%20Irradiation_S.H.Shin.pdf
お礼
今日研究室での論文発表があるんですが、めちゃくちゃ助かりました!! ありがとうございます!!