- ベストアンサー
有機ELに関する論文の要約
- 有機ELの安定性と効率を上げるために、陽極とホール輸送層の間にMoO3バッファ層を差し込むという研究が行われています。
- Coulombic degradationを100cd/m2で駆動することを前提にすると、半減期は50000時間以上になります。
- MoO3バッファ層を持つデバイスのホール電流は、MoO3バッファ層を持たないデバイスやCuPcバッファ層を持つデバイスに比べて明らかに増加しています。
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
前後の文章も含めると以下のようになります。 (1) MoO3バッファ層を入れることでデバイスの信頼性が著しく向上する。MoO3の厚さが20nmと15nmで、封止されたデバイスの寿命を、8mA/cm^2の一定の電流密度で駆動して調べてみた。初期の輝度はそれぞれ 820 cd/m^2 と1000 cd/m^2 である。比較のために、CuPcバッファ層を入れたデバイス(初期輝度 183 cd/m^2)の寿命も測定した。図2に示したように、MoO3バッファ層を使うことによって、820 cd/m^2 の初期輝度では 6000時間以上、1000 cd/m^2 の初期輝度では 1000時間以上の輝度半減期(輝度が半分になる時間)に達している。この時間は、CuPcを使ったデバイスでの 510時間よりも明らかに長い。クーロン劣化のスケール則に従うと仮定すれば、輝度が 100 cd/m^2 のときの輝度半減期は 5万時間以上になると予想される。MoO3の厚さがこれ以外の場合でも同様の信頼性を示した。 (2) よく知られているように、MoO3はバンドギャップエネルギーが約3.1eVのワイドギャップ材料で、ITOと非常に相性の良い正孔注入材料である。ITO上にMoO3を改質層として形成することで、正孔の注入効率が増大することが実験的に知られている[12-15]。このようなMoO3の役割を確かめるために、正孔電流だけが流れる ITO/MoO3(x)/NPB(150nm)/Al(200nm) 構造で、MoO3層の厚さだけを変えたもの(x = 0, 5, 10, 15nm)を作製した。図3はMoO3層の厚さを変えたときの電圧-電流密度特性である。比較のために、ITO/CuPc(15nm)/NPB(150nm)/Al構造の特性も図に示した。図から分かるように、MoO3バッファ層を入れたデバイスの正孔電流は、バッファ層なしのものやCuPcバッファ層のものと比べてみると、確かに劇的に大きくなっている。なぜこのような結果になるのかは、図3の挿入図に示したエネルギー準位図(バンドラインナップのこと)を見れば理解できる[14]。MoO3バッファ層を入れたデバイスでは、NPB/ITO界面のオフセットエネルギーが小さくなるために、ITOから正孔輸送層へ、正孔がより効率的に注入される。このように、正孔の注入電流が著しく増えれば、当然ながらOLEDの動作電圧は低くなり、その結果、発光効率が大きくなる。それだけでなくさらに重要なことは、我々が発見したように、MoO3バッファ層を導入したことによって界面の安定性が改善されることと、NPB正孔輸送層の結晶化を抑制することができるということである。この界面の安定性改善と結晶化の抑制というのは、OLEDの長期信頼性を向上させる上で重要なことである。
その他の回答 (1)
最初のは、 100cd/m^2(平米あたりカンデラ)で稼働させた場合における静電的破壊の線形的法則性を仮定すると、半減寿命は外挿すると五万時間を超える。 MoO3層のある素子のホール電流はCuPc緩衝層を持ちMoO3緩衝層を持たない素子と比べて劇的に増加するということが観測される。 あんまり良い日本語じゃないが間違っていないはず。
補足
ありがとうございます!助かります! あと、クーロン劣化のスケール則というのはどういう意味なんでしょうか? 調べてみてもよくわかりません。すみませんがよろしくお願いします。