TAクローニングの一番のメリットは
制限酵素処理を行う必要が無い点にあります。
プライマーに制限酵素サイトがあろうがなかろうが
PCR産物をそのままベクターに挿入することが可能です。
なおかつ、制限酵素処理済みのpGEMベクターなどを購入すれば
ベクター側も制限酵素処理する必要が無いので、
PCR->PCR産物のクリーンナップ->ライゲーション
の3ステップのみで多くの時間を節約できます。
といっても、実際は制限酵素処理など大した手間ではないので
多くの場合はTAクローニングを行いません。
じゃあ、どういった場合にTAクローニングを行うのか?
大抵の場合は、制限酵素サイトが邪魔な場合だと思います。
例えばプロテアーゼ処理後にN末端に余計な配列を入れたくない
と思ってFactorXaを使用したとしても、例えばpGEX-5Xを使えば
必ずBamHI由来のグリシン-イソロイシンの2つがN末端に入ります。
しかしここでタグとの間にFactorXa配列を持つTベクターを使えば
制限酵素サイト由来のアミノ酸残基がN末端に入ることはありません。
他にも制限酵素を使う際に問題になることはいくつかありますが、
こんな感じで、制限酵素を使えないなにかしらの理由があるとき
TAクローニングを使うことが多いと思います。
・・・といいつつ、TAクローニングを好んで使う人も結構います。
どうも、様々なタンパク質それぞれ様々なベクターに乗せることを
考えると、そのためにいちいちプライマーを設計するのは大変なので
予めベクターの方をTA向けにいろんなものを設計しておくようです。
それならタンパクの方は一組のプライマーでどれにでも乗せられるので。
まあ、わたしの場合はそこまで厳ついDNAワークをすることはないので
あまりTAクローニングのお世話になろうという気にはなりませんが・・・