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PCRと大腸菌クローニングの違いについて教えてください

大腸菌によるクローニングを用いた解析の流れとして,PCR-Cloning-Sequencing法があるかと思います. シークエンスにかける前に,わざわざ大腸菌でクローニングする理由が分かりません.シークエンスにかけるため,対象DNAを増やすのであれば,そのままPCRで増やしてはダメなのでしょうか? クローニングには対象DNAを増やす以外の何か重要な意味があるのでしょうか?(PCRにカイネティクスがある事は存じております).専門書で確認したところ,ターゲットDNAを増幅させるという意味において,広義にはPCRもクローニングの一部だと書いてありました. すいません.素人質問で申し訳ありません. よろしくお願い致します.

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  • dolphino
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回答No.1

最近のPCR用の酵素はHigh Fidelity、正確性が高くエラーは入り難いですが、PCRで酵素反応を経ただけ、エラーの確率があがります。一方、大腸菌内で増やしたものはほとんどの場合増幅によるエラーは起こりません。(条件付でいろいろな例外もありますけど) PCR産物は得られたDNA断片の数だけ酵素反応が起こった結果の産物です。その中にはエラーの入ったものと入っていないものが混ざっています。それを鋳型にして確かに幾らでも増やせますが、状況によってはエラーが入ったものが主要成分になります。 一方、プラスミドに繋いで大腸菌に入れると、一つの細胞あたり、一個のプラスミドが増幅されます。(これも条件付ですが、最終的にそうなります)そしてシングルコロニーを拾うことをクローニングと言います。(クローニングの本来の意味と現在の適用される範囲を調べてください) その大腸菌は欲しい配列を含んだプラスミドを維持し、増やすことが出来ます。大腸菌はグリセロールストックで半永久的に保存できます。これはプラスミドすなわち欲しい遺伝子を維持することであり、現物を大腸菌の培養のみで増幅できる状態にあります。ここには配列の情報も必要ありません。現在のように情報がどこからでも手に入る場合はこの意味が弱くなったかもしれませんが、これは今後何をするにも大変有利な状況です。 実際にPCR、ダイレクトシークエンス、ということはよくやられています。しかし、シークエンスだけがすべてではありません。 簡単に言うと便利だから、かな。

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質問者

お礼

dolphino様 ご回答ありがとうございます.なるほどー.エラーの問題なのですね. 【ダイレクトシークエンス】という言葉も,少し前に聞きまして,今,指摘されて思い出しました. 噛み砕いた説明,とても分かりやすかったです. ありがとうございます.

その他の回答 (3)

回答No.4

大腸菌をグリセロールストックにしておけばかなりの長期間保存できます。保有しているプラスミドも当然保存されます。つまり、形質転換された大腸菌のストックから培養しプラスミド調製することにより、同等のDNAが得られるということです。 クローニングするのは単純に遺伝子配列を読むだけではなく、発現コンストラクトや試験管内翻訳に用いたり、プラスミドそのものを構築するためでもあります。その場合、PCRのみでは無理ですから、一度、クローニングする必要があります。

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質問者

お礼

Kohntarkosz様 ご回答ありがとうございます. 少し自分でも調べて見たのですが,良く理解できませんでした.「プラスミドとは染色体に存在しない細胞質に存在するDNAで,大腸菌の場合は環状になっている」という事は理解しております. それから「後に遺伝子配列を読むという目的があるならば,長期間保存するためというのがクローニングを行う理由である」というご回答も納得すると同時に理解できました.ありがとうございます. しかし「発現コントラストや試験管内翻訳のため,そしてプラスミドそのものを構築するため」というKohntarkosz様のご回答の意味が良く分かりません. 可能ならば,更にご教授頂けないでしょうか. 申し訳ありません. よろしくお願い致します.

  • CTAB
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回答No.3

 うーん、PCRによるミスコピーは、シークエンスをかけるときには微小値すぎて、エラーとして考える必要は無いと思います。そもそも、クローニング前にPCRをかけているわけですし。クローニングする理由は単純に増幅配列を長く取りたいからでは?  経験則と言うか、実際にシークエンスを行う場合ですが、PCR産物のシークエンスを、PCRに用いたプライマーを用いて行うと、プライマーの3’末端から数十ベースは通常読み取れませんよね。PCR産物が500 bpくらいで、両末端からシークエンス解析を行って、逆側末端の塩基配列が解析できるとかならまだしも、1500 bp位あったらそれも難しいはずです。この場合、プライマー周辺の配列を解析する事が出来ません。  しかし、クローニングしていれば、インサート領域を測るためにはベクタープライマーを用いるはずです。そうすると、インサートの手前から解析を行えるわけですから、PCR産物の配列を全て読む事が可能です。  つまり、クローニングをする理由は、長いPCR産物のシークエンスをする際に、わざわざPCR産物の内部配列からプライマーを再設計する手間を省くためでは無いでしょうか?

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質問者

お礼

CTAB様 ご回答ありがとうございます. なるほど.PCRによるミスコピーは微小値,そしてシークエンスにかける増幅配列を長くとりたいためにクローニングを行うというわけですね. dolphino様,owata-www様とは違った考察,良い意味で勉強になります.

  • owata-www
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回答No.2

#1さんも仰ってますが、基本的にはPCRをかけるとエラーが発生する確率が高いからです。(例えばHigh FidelityのPrime Starでもこうです↓) その点、大腸菌でやるとPCRに比べるとエラーが発生しにくいために(まあ、する時もあるらしいですけど)大腸菌でクローニングするというわけです。

参考URL:
http://catalog.takara-bio.co.jp/PDFFiles/R010A_j.pdf
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質問者

お礼

owata-www様 参考URLまで載せて頂き恐縮です.ありがとうございます.大腸菌だとエラーが少ないというのは,生命の自己複製システムに依拠しているからという解釈を,素人なりにしてみました.具体的に,もう少し掘り下げて勉強してみます. ありがとうございます.