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債務不履行責任と損害賠償と慰謝料請求権の違い・・?
本を読んでいて Bに雇用されているAが就業中に負傷し、その原因が職場の施設の適切な配慮を欠くというBの不注意による場合、AはBに対し、安全配慮義務違反を理由とし、債務不履行責任を追及することができる。 と書いていました。 これは損害賠償のことを言っているのでしょうか? 雇用者と雇われたもののの間に債権者と債務者という関係ができており、雇用者側に過失があったので、債務不履行の責任追及をしようって話でしょうか? その他に似た事例で Aが就業中に死亡し、Aの遺族のCが、Bに対して債務不履行責任を追求(慰謝料請求権)できないのは、BとCの間に債権者と債務者の間柄ではないから。と書いています。 こっちの場合は、慰謝料請求となっています。 これはCはどうするもこともできずに、泣き寝入りってことでしょうか? 債務不履行責任がまずあって、そこから派生して、損害賠償請求権や慰謝料請求権があるのでしょうか? 色々と聞いてすみません。 おねがいします。
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まず端的に答えよう。 >これは損害賠償のことを言っているのでしょうか? その通り。 >雇用者と雇われたもののの間に債権者と債務者という関係ができており、雇用者側に過失があったので、債務不履行の責任追及をしようって話でしょうか? その通り。即ち、「雇用契約」という契約の内容として雇用主は被用者が安全に仕事をできるように配慮する義務があり、その義務は即ち雇用契約における雇用主側の債務であるからその義務違反は債務不履行であるということ。 >こっちの場合は、慰謝料請求となっています。 これは、質問者が用語を理解していないということだね。慰謝料とは「精神的損害に対する損害賠償」のこと。解る?損害賠償と一口に言っても色々あるの。その中で精神的苦痛に対する損害賠償を特に慰謝料と呼ぶの。だから慰謝料もまた損害賠償であることに変わりはないの(ま、それを分かっていない質問と回答がしょっちゅうあるけどね)。 そして、死亡した人間の家族というのは、「その人が死んだことで精神的苦痛を受け」れば、それを慰謝料として賠償請求するんだけど、それ以外に財産的損害があればそれはまた別途請求はできる。ただ、その場合の根拠が「債務不履行ではない」というだけのこと。なぜなら遺族と雇用主との間に「契約」がないから。 ただし、死亡した被用者が雇用契約に基づき取得すべき損害賠償請求権を相続するということはあり得るので要注意。 ということで、もう少し根本から解説しよう。 >債務不履行責任がまずあって、そこから派生して、損害賠償請求権や慰謝料請求権があるのでしょうか? 法律上、他人に損害を与えたら賠償する義務が生じることがあるわけなんだけど、その発生根拠が幾つかあるの。代表格が、債務不履行責任と不法行為責任。 債務不履行責任は「契約」関係にある当事者間において債務の本旨に従った履行をしなかった場合に問題になる。だから雇用契約に関して安全配慮義務違反があれば、「債務の本旨に従った履行」と言えないから債務不履行となり、その責任の一つとして損害賠償が問題になる。この時に、その損害には「財産的損害」と「精神的損害」がある。前者は特に呼び方がないんだけど、後者は特に「慰謝料」と呼ぶ。ちなみに法文上は精神的損害について債務不履行責任を認める規定はないんだけど、不法行為との関係で認めるのが判例通説。 不法行為は、契約関係がない場合に問題になる(契約関係があっても構わないが、その場合は債務不履行の方が一般に有利とされているので、通常は債務不履行の問題となる)。不法行為は、簡単に言えば、故意または過失により他人の法律上保護すべき利益を侵害してそのせいで他人に損害を与えた場合に問題となる。 そこで被用者が存命の場合、被用者の雇用主に対する債務不履行に基づく損害賠償(財産的損害と精神的損害と両方)という話以外に、実は、「被用者の家族に不法行為が成立することもあり得ないではない」。まああまり問題にはならないんだけど、理屈の上ではある。 被用者が死亡した場合も被用者の雇用主に対する債務不履行に基づく損害賠償請求権が発生するけど、その主体が死亡しているのでこれは遺族が相続することになる。そしてそれ以外に、遺族自身の損害賠償請求権が問題になるんだけど、死亡したという一事をもって、一定の親族(両親、配偶者、子)に対しては「直接に」精神的損害に対する損害賠償である慰謝料請求権が生じる。これは条文上「その(=一定の親族の)財産権が侵害されなかった場合においても」とある通り、財産権侵害とは別の話で、もし仮に財産権侵害があればそれもまた不法行為に基づく損害賠償請求権の対象となるということ。
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- minpo85
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簡単に言いますと、損害賠償請求権や慰謝料請求権の発生根拠として、債務不履行責任(415条)や不法行為責任(709条、710条)があるということです。 何を根拠にするかによって、要件等がやや異なってきます。 Aの遺族は自己固有の権利として債務不履行責任を追及することはできませんが、不法行為に基づく遺族固有の慰謝料請求権(711条)や、Aから相続した損害賠償請求権(709条、710条)を根拠に損害賠償や慰謝料請求することができます。
お礼
ありがとうございました! 何条に書いてあるか、書いてくださっているので、ネットで検索して条文を読めて、理解が深まりました! もっともっと勉強して、理解を深めたいと思います! 教えてくださってありがとうございました!
お礼
すごい分かりやすくて、今まであいまいで分かりづらかったところが、頭の中でスッキリしていき、勉強になったし、なにより、読んでいて楽しかったです。 丁寧に教えてくださって、感謝しております。 本当にありがとうございました!