大岡越前に「子争い」という名裁きがあります。
大岡越前に「子争い」という名裁きがあります。
ある時、ふたりの女がひとりの子を連れてやってきた。たがいに「自分こそこの子の本当の母親です」といって一歩もしりぞかない。
そこで大岡様はこう言った。
「子の腕を持て。お前は右じゃ。そちは左を持つがいい。それから力いっぱい引き合って勝ったほうを実母とする」
女たちは子供の腕をおもいきり引っぱりはじめたが、子供が痛がって泣くので、一方の女が思わず手を放した。
勝った女は喜んで子を連れてゆこうとしたが、大岡様は
「待て。その子は手を放した女のものである」
と言うのだった。
勝った女は納得できず、
「なぜでございます。勝った者の子だとおっしゃられたではありませぬか」
とはげしく抗議した。
そこで大岡様はおっしゃった。
「本当の母親なら子を思うものである。痛がって泣いているものをなおも引く者がなぜ母親であろうか」
質 問
「痛がって泣いているものをなおも引く者がなぜ母親であろうか」という意味がよくわかりません。
私だったら、「本当の母親は私だから絶対負けられない!」と思います。
詳しく説明してください。お願いします。
お礼
ありがとうございました。