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JIS試験(アンモニウム)でトラブルが発生しました
- 最近、チオシアン酸カリウムの純度試験(アンモニウム試験)で異常な結果が続き、原因がわからない状況です。
- 試験法に従い、蒸留装置を使用して試験を行っているが、蒸留すると留液から強い硫黄臭がする現象が発生しています。
- 使用する試薬や試液を変えても同じ現象が起こるため、対処法やアドバイスを求めています。
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くわしいことはわかりません。 ご質問の文章と辞典で調べたことをつないでの推測です。 (1)「硫黄のにおい」という言葉を化学を専攻している人が使ってはいけません。硫黄は不揮発性の固体です。においません。普通「硫黄のにおい」といっているのは硫化水素のにおいです。「硫黄成分が遊離」という表現も使っておられますからSの分離をイメージされているのではありませんか。チオ硫酸ナトリウムから硫黄が沈殿してくるような反応ではないはずです。「温泉で硫黄のにおいがする」とか「ゆで卵のからをむいた時に硫黄のにおいがする」とかの表現がされることがありますが、すべて硫化水素のにおいです。 (2)JISの試験の内容をよく知りません。 含まれているNH3を蒸留で取り出すということですがKSCNの働きは何でしょう。NaOHを加えて弱塩基の塩に強塩基を加えて弱塩基を追い出すというだけであればKSCNは必要ありません。NH3の追い出しをより完全にするために加えているのであれば反応に関与しています。 この反応で硫化水素が出るのであれば別に心配する必要はないはずです。 JISの試験での反応はどういうものでしょうか。 NH4SCNはいろいろな反応をするようです。 JISの試験がどういう反応を前提にしているかがわかれば一歩進むような気がします。 辞典で調べると「チオシアン酸アンモニウムは200℃以上でアンモニア、二酸化炭素、硫化水素に分解する」ようです。 反応式を推測すると NH4SCN+2H2O→2NH3+CO2+H2S です。蒸留装置の容器壁が高温になっているとこの分解が起こってH2Sが発生するのではとないかと考えられます。 蒸留装置の容器壁の内部にはしぶきが飛んで乾いた白い粉が付着しているということがよくあります。NH4SCNの融点は150℃、KSCNの融点は173℃だということですから比較的低温だと白い粉状物質が見られるはずです。高温だとどちらも液体になります。容器壁には何も残りません。もっと高温になるとNH4SCNは分解するということですから区別がつきません。 これ以上はわかりません。
お礼
htms42さん ご丁寧に回答をくださいまして、ありがとうございます。 (1)のご指摘については、お恥ずかしい限りです。 硫化水素の臭いと表現すべきでした。 (2)についてですが、JISの純度試験(アンモニウム試験)とは、 製造過程で検体に残存しているアンモニウム含量を 630nmの吸光度で測定し、それが規格値以下であることを 証明する限度試験の一つです。 チオシアン酸カリウムは通常、チオシアン酸アンモニウムと 水酸化カリウムを反応させて製造するようです(参照:wikipedia) NH4SCN + KOH → KSCN + NH4OH よって、副生成物のNH4OHが製品から限度値以下まで 除去されているかということを調べる試験であると思われます。 試験内容を簡単に説明させていただきますと、 検体(チオシアン酸カリウム)を注射用水に溶かした溶液を 蒸留フラスコにとり、水酸化ナトリウム溶液を加えて蒸留します。 検体に製造工程で残存する可能性のあるアンモニウム成分があれば、 NH3となって気化→還流冷却器で凝縮され、 受け器に入れた薄い硫酸液に吸収されます。 ご指摘のように、蒸留過程でチオシアン酸カリウムが高熱で 分解し、硫化水素を発生させたという可能性が あるのかもしれません。 実際、蒸留中のフラスコ内に黄色い結晶が析出するという 事象が起こりました。 ただ、過去、同様の試験をしても、 このような反応は一度も起こらなかったので、 今回、分解が起こってしまった要因を もう少し考察していきたいと 思います。 htms42さん お忙しい中、ご丁寧にご回答くださいまして 感謝申し上げます。 再度、蒸留条件を確認しながら、試験を行ってみたいと思います。 ありがとうございました。