No.1の方が民法について回答されているので、刑法について少し
関連しそうなことを回答します。
No.1の方も書かかれているように、厳密な意味では刑法において
法律と慣習が食い違うことは問題となり得ません。
しかし、法律で禁じられていることが、慣習によって勘違い
してしまい、無罪となる可能性はあります。
有名な判例で、「むささび・もま事件」「たぬき・むじな事件」と
いうものがあります(結論は異なります。)。
狩猟法で、「たぬき」を狩猟してはいけないと規定されて
いました。しかし、「たぬき」を「むじな」と呼ぶ慣習があり、
男は「たぬき」と「むじな」は別の動物であって、
「むじな」は狩ってもかまわないと思ってしまいました。
男が実際は「たぬき」に分類される「むじな」を狩りましたが、
慣習によって一般の人も「たぬき」と「むじな」が別の動物であると
認識してしまう状態で、男には自己の行為が違法であると認識する
可能性がなかったということで無罪となりました(事実の錯誤)。
類似のむささび・もま事件では結論が異なり、有罪となりました。
結論を分けたのは、むじなは全国的に慣用句でも「同じ穴のむじな」
のように知られていて、たぬきとむじなが別の動物と思われていたのに対し、
むささび・もま事件では、もまは一地方におけるむささびの別称でしかなく、
むささびの他にもまという動物がいるというまでではなかったため
とか言われています(詳しくは調べてみてください。)
質問の法律と慣習が食い違う場合とは違う回答ではありますが、
むささび・もま事件のように有罪という判断になっても
慣習が存在することによって量刑に影響する場合はあるかと思います。
(実際のむささび・もま事件で量刑に影響があったかはわかりません。)