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刑法のことで、わかる方教えてください!

甲が詐欺の目的で私文書を偽造することを思いつき、甲が文書の内容を考えて、情を知る自分の妻である乙に入力・出力をさせたとします。 そこでわからないのですが・・・ 1 甲に私文書偽造罪の間接正犯が成立する可能性があるか 2 甲に私文書偽造罪の間接正犯が成立するとして、乙に幇助犯が成立するか という2点について 自分的には、1については、例えば甲が実質的に乙の行動を支配していたとするなら、間接正犯もありうると思うのですが、その場合2はないような気がするのです。テキストでは乙は幇助犯でOKと書いてありますが、乙は実質的に支配されており反対動機が形成できる可能性がない(著しく少ない)から甲は間接正犯になる、とすれば、乙には責任を問えない(問いづらい)のではないか、と思ったのですが。 ようするに両方を罰するのであれば間接正犯理論をここで持ってきてはいけないのではないか、ということです。 乙が情を知っているなら、間接正犯ではなく、甲は普通の正犯で乙は幇助でいいじゃん、と思うのは私だけでしょうか。 よくわかりません。 わかるかた教えてください(T_T)

質問者が選んだベストアンサー

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回答No.2

いわゆる「故意ある幇助的道具」の扱いの問題ですね。 質問者さんは、甲=正犯、乙=幇助犯、と考えるのが自然、との疑問を持たれているようですが、 その場合の、甲=正犯は、「甲=直接正犯」と考えるということでしょうか。 直接正犯か、間接正犯かは、行為者が自ら手を下したか、を基準に分類されるので、 (特殊な例外はあるかもしれませんが、通常は)一義的に決まります。 本件では、乙に出力させて、自らは指示しただけなので、間接正犯に分類されます。 (したがって、本件の甲を直接正犯とすることはありえず、質問者さんが、甲を正犯と捉えるならば、暗に、甲=間接正犯、乙=幇助犯、を認めていることになります。) 以上の議論は、あくまで、甲を正犯と捉える見解を前提とするものです。 他には、乙を正犯とする見解があります。この場合、甲は教唆犯となるでしょう(但し、甲の指示前に乙が決意している場合は教唆犯になりませんが。)。 質問者さんの疑問の通り、「故意ある幇助的道具」は間接正犯の中でも、道具性、支配性が相対的に緩い分類だと思います。 考える要素としては、 (1)直接手を下しているか (2)正犯といえるか((1)を間接とする場合、道具理論・支配性の議論を含める) を、検討すればおのずと結論は出るかと思います。 (尚、直接手を下す者について、一応、認識・認容があるかの検討もお忘れなく。故意ある幇助的道具は、結果的に付いた名称であり、具体的な事案において、認識はあるが認容はない場合、必要説からは、幇助犯は成立せず、結果的には「故意ある幇助的道具」ではなかったことになります。) 一応、私見(大谷説)は、(1)直接手を下したのが乙であり、(2)甲が詐欺目的を有する等、自ら主体的に構成要件実現の意思を有し(正犯意思)、具体的に指示を出して乙はその通りに従っていることから、甲は乙を支配しているといえ、法益侵害の現実的危険性を有する(実行行為性)ので、甲を正犯と捉え、甲=間接正犯、乙=(認容があれば)幇助犯、になる、と考えます。 一応、甲=間接の行為者、乙=直接の行為者における、帰結の模式図をつけておきます(本を見てかいたわけではありませんので悪しからず)(帰結はmaxの場合と思ってください。幇助の因果性など、細かな要件で否定される余地はあるでしょう)。 ____甲乙 正犯意思○○ 正犯行為○○ →甲乙=共謀共同正犯 ____甲乙 正犯意思×○ 正犯行為-○ ※-:○×不問 ⇒甲=教唆犯・幇助犯/乙=直接正犯  └→∵正犯行為=○でも、正犯意思がない以上、正犯ではない。 ____甲乙 正犯意思○× 正犯行為○○ ⇒甲=間接正犯/乙=幇助犯 ____甲乙 正犯意思×× 正犯行為-- ⇒甲乙=不可罰  ∵正犯者不存在

poprockj
質問者

お礼

なるほど~わかりやすいです。もう少し基本から勉強しなおしてみます。ありがとうございます。

その他の回答 (1)

  • Yuhly
  • ベストアンサー率67% (86/127)
回答No.1

故意ある道具(幇助的道具)の問題ですね。故意ある道具とは、ある犯罪について認識があるが、行為を専ら他人の従犯として行う者を意味します。 被利用者に故意があれば通常は利用者による被利用者の行為支配が存在しないから利用者は正犯とはなりえないのが原則です。 が、例えば公務員の妻が公務員に代わって賄賂を受け取ったような場合、公務員は実行行為を行っていないので正犯となりえず、妻は非身分者なので正犯となりえず、結局罪を問えない(正犯なき共犯を認める場合は別ですが)ことになりおかしい、ということで公務員には間接正犯、幇助的道具である妻は幇助の故意があるので幇助犯、という考え方がでてきたわけです。 この考え方は別に幇助者が非身分者でなければ成立しえないというわけではないので、被利用者が機械的に事務処理をするだけの者(ex:上司と部下、親分と子分など)である場合には同様に考える、ということができます。この場合には間接正犯と幇助犯が成立します。 しかし、これに対して非身分者の場合は正犯足り得ないからこそ故意ある道具となりえるのであって、正犯となる場合には道具足り得ないという考え方もあります。このように考えれば教唆犯と正犯(または(共謀)共同正犯)が成立します。 ですので、 >甲は間接正犯になる、とすれば、乙には責任を問えない >両方を罰するのであれば間接正犯理論をここで持ってきてはいけないのではないか というのは考え方としては必ずしも間違いではありません。 ただし、ご質問の例では甲は実行行為を行っていない以上 >甲は普通の正犯で乙は幇助 となることはありえません。甲は教唆で乙が正犯というところでしょう。乙が報酬等の利益を受けるのであれば共謀共同正犯でしょうし。

poprockj
質問者

お礼

返事が遅くなりました。なるほど、わかりやすいです。ありがとうございました。

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