まずお断りしますが、私はその法律を学んでいません。その上での回答になります。
まず、「不法行為」ってなんだろうという話になりますが、本件では『必要な手続きが履践されていることを証する書面』が偽造されています。
不要な書類なら提出しなければよく、偽造の必要はないでしょう。乙がわざわざ偽造して提出したということは、銀行がそのような書面を、貸し付ける条件として甲法人に要求したということです。
別な言い方をすると、銀行は契約前に、そのような「書面を出さなければ貸し出ししない」と宣言したということになります。
しかるに、銀行は乙の偽造した書類によって、その意思に反して貸し出しさせられてしまったわけですから、銀行は「貸し出しするか・しないか」という判断をする権利を不当・不法に奪われてしまったことになります。
ここに、乙が代表する「甲法人が不法行為を働いた」と見られる事実基盤があります。使用貸借が無効でなければ不法行為を働いたことにならない、というわけではありません。
もちろん、銀行が甲の不法行為によっていくらの損害を被ったか、は、ケースバイケースです。
甲法人への貸し出し直後、金利が急騰したなんて場合は、(貸した金額にもよるでしょうが)損害額はかなりの高額になるでしょう。
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Aが、1万円の羽根布団を「会社が倒産して、退職金代わりにこれを押しつけられて困っています。10万円の羽毛布団ですが、1万円で売ります」とBに申し出て、Bが「羽根布団ならいらないけど10万円の羽毛布団なら」と思って購入した場合、詐欺は成立するか?。
またBが、「せいぜい1・2万円の布団だろうが、かわいそうだから」と思って買った場合はどうか。
という議論を大学のゼミでやったのを思い出しました。
1万円の品物を1万円で買った場合、Bの損害は?