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ソクラテスの言葉に出て来た単語についておしえてください。

ソクラテスの中で「自己を知らざる人は、第一に自己の能力についての測量を誤る。したがって、他人の能力を測知(そくち)するがために、 事業をなさんとする時は、たちまち失敗を招くべし。」ここに出てくる測知とはどのような意味なのでしょうか。詳しい方がいましたらぜひ教えてください。お願いします。

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noname#83027
noname#83027
回答No.2

 あるときソクラテスはアポロン神から、「地上で最も知恵があるのはソクラテスだ」との神託を受ける。けれど、アポロン神はそれを「知っている」のだから、少なくとも自分より知恵があると思ったソクラテスは、神託の真偽に疑問を持ち、知恵者と呼ばれた人たちを探して、聞いてみようと思いついた。  ここから、ソクラテスの物語は始まります。  一つひとつの作品には、そんな知恵者たちとの対話が綴られますが、対話を繰り返してゆくうちに、その知恵者たちはどうも、知恵者とは呼ばれながらもすべてを知っている(全知)ではないのがわかってきた。そんな知恵者たちに比べ、自分は無知なのだということを予め「知っている」だけ、ソクラテスは自分に知恵があるのだと考えるに至ります。  これを俗に無知の知と呼びますよね。  ところで、少し突飛な回答を寄せてみます。  論理の世界には、「AはすべてAである」と「AはすべてAであり、かつAでない」というふたつの定義があります。前者を恒真式とか同語反復(トートロジー)、後者を恒偽式とか矛盾と呼んだりしますが、この二つを使ってある命題の真偽を導こうとする際に、ほかに推論規則というものを用います。  推論規則とは、前件肯定、後件否定、普遍例化などいくつかありますが、どれもが恒真式から導かれます。質問にある「測知」というのは、言ってみればこの推論規則のことではないでしょうか。  ソクラテスの対話に出てくる知恵者たちは、この推論規則を正しく用いて対象を説明しようとなさいます。けれど、その規則が正しく働く世界(公理系)だけでは、どうしても説明できないこともあるようです。  例えば、世界に「わたし」ひとりしかいないとき、「わたし」は、その世界であるのか「わたし」であるのか決定することができません。仮に、それは世界ではなく「わたし」なのだとしてみましょう。けれど、その世界にはそれが真である(世界には「わたし」しかいない)のがわかっているにも係らず、決して証明することができません。自分の存在を明らかにしてくれるのは、「あなた」以外にはできないからです。  ソクラテスはそれを「知っている」だけ、知恵者だったのではないかと僕は思います。  僕らの歴史のなかで、ソクラテスの「知」に気付き、あるいはこれを正しく表現する方法を見つけたのはゲーデルですが、つい60年ほど前でしかありません。ほんの、ついこの間まで、ソクラテスの「知」についてあまりよくはわかってなかったと思います。

ooesyundei
質問者

お礼

回答ありがとうございました。推論規則ですか、恒真式とか恒偽式など教えてくださって大変勉強になりました。私はあまり哲学の世界に縁がありませんでしたが大変興味を抱きました。回答があるにも関わらず、さらに詳しく回答してくださって本当に助かりました。貴重な回答本当にありがとうございました。

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その他の回答 (1)

回答No.1

 測知とは、「汝自身を知れ」という格言の後に出てくるものです。この意味は、相手の力量、すなわち知力を推し量るためには、まず、前提として、自分の力量を知る必要があるということです。したがって、測知とは、自分以上のものを推し量れないという普遍的真理を、根本として述べられた言葉です。要するに、自分以上の能力を持つ人のことは分からない。だから、自分の領分をわきまえて、他人の力を推し量ることを測知と言います。

ooesyundei
質問者

お礼

回答ありがとうございました。他人の力を推し量る事が測知という意味だったんですね。おかげでスッキリしました。わざわざ詳しく書いてくださって本当に助かりました。しかも専門の方が回答してくださって嬉しいかぎりです。専門の方には簡単な質問だったかもしれませんが、回答してくださって本当にありがとうございました。

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