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金属錯体の色の原理についての疑問です。

金属錯体は色を持つものがある理由を調べてみました。 中心金属原子のd軌道(通常は5重に縮退)が、配位子の静電場の影響で、エネルギーの高いeg軌道とエネルギーの低いt2g軌道に分かれ、t2g軌道の電子が特定の波長の光を吸収してeg軌道に遷移することで色が見えるということで間違いはないですか? ここで、疑問が生まれました。 たとえば、テトラアンミン銅(II)イオンは濃青色を示しますが、銅原子の最外殻のd軌道は空で、遷移する電子がないのでは?という疑問です。 にもかかわらず、なぜ色が見えるのか、教えていただけないでしょうか? ちなみに高校レベルまでは理解できます。電子軌道も、基本的なことはわかります。わからない用語等はできるだけ調べます。

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回答No.2

> 中心金属原子のd軌道(通常は5重に縮退)が《中略》 > 遷移することで色が見えるということで間違いはないですか? 正八面体型の金属錯体のd-d遷移(または配位子場遷移)に関する説明としては、間違いはないです。正四面体型の金属錯体では、e軌道の方がt2軌道よりもエネルギーが低くなるので、e軌道の電子が特定の波長の光を吸収してt2軌道に遷移することで色が見えます。正方形型などの他の形の金属錯体でも、軌道のエネルギー準位が入れ替わるだけで、基本的には同じ理屈で色がつきます(軌道を表す記号も錯体の形によって変わります:正八面体型のときはegとt2g,正四面体型のときはeとt2)。 これとは別に、CT遷移(または電荷移動遷移)と呼ばれる電子遷移が理由で色を持つ金属錯体もあります。中心金属原子のd軌道の電子が配位子の電子軌道へ移る遷移をMLCT遷移、配位子の電子軌道の電子が中心金属原子のd軌道へ移る遷移をLMCT遷移といいます。 > 銅原子の最外殻のd軌道は空で、遷移する電子がないのでは? Cu2+ イオンは9個のd電子を持ちます。t2g軌道に6個、eg軌道に3個の電子がそれぞれ入っているとすれば、eg軌道に空席が一個ありますので、t2g→egの遷移が可能です。テトラアンミン銅(II)イオンは、正八面体型の[Cu(NH3)4(H2O)2]2+ イオンと考えればいいです(本当は、ヤーン・テラー効果のために、銅(II)錯体の形は正八面体を引き延ばした形になっているのですけど、おおざっぱな話をするときには正八面体型と考えても大丈夫です)。

sc-f_tc43
質問者

お礼

中心金属原子と配位子とで起こる電子遷移もあるのですね。納得です。 テトラアンミン銅(II)イオンを正八面体型と考えるというのは知りませんでした。これからも金属錯体に関して考える機会があると思うので、参考にさせていただきます。 ご回答ありがとうございました。

その他の回答 (1)

回答No.1

>>テトラアンミン銅(II)イオンは濃青色を示しますが、 >>銅原子の最外殻のd軌道は空で、 >>遷移する電子がないのでは?という疑問です。 上のほうはいいのですが、2行目に思い違いが有りますね。 実際に電子配置を検討しなきゃ、思い込みでやると大きなミスにつながりますよ。 Cu原子番号29ですね。 29Cu:(1s)^2 (2s)^2(2p)^6 (3s)^2(3p)^6(3d)^9 (4s)^2 ですから, Cu^2+:(1s)^2 (2s)^2(2p)^6 (3s)^2(3p)^6(3d)^9 (4s)^0 で、3d電子は9個です。実際にチェックしなかったことからきた、簡単な思い違い。  後は、軌道エネルギーの分裂等を考えてください。ヤーン・テラー効果の話などにつながります。上の部分の理解ができているなら後はきっとわかるでしょう。

sc-f_tc43
質問者

お礼

銅(II)イオンのd軌道は空ではありませんでしたね。初歩的な勘違いで申し訳ありません。次からはちゃんと調べてから検討するようにします。 概念としては大筋で理解できた(と思っている)ので、もっと詳しく知りたいと思います。 ご回答ありがとうございました。

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