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旧ユーゴスラヴィアにおいての“ムスリム人”について
旧ユーゴスラヴィアにおいて、“ムスリム人”ってどんな存在でどんな問題があったんですか?その歴史的背景を知りたいです。いまその関連な書物を読みたいので、参考までに聞いてみました。
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ムスリム人とはNo.1の方が書かれている通り、イスラームを信仰する(主に)スラヴ系の民族のことです。ボスニア語(またはクロアティア語、セルビア語)では「ムスリマン」と言います(女性形は『ムスリマンカ』 No.1の方が書かれているのはアラビア語です)。 人種的にはセルビア人やクロアティア人と何ら違いません。ただこの民族名は、まだユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国があった時代の1971年に正式に認められたものですから、旧ユーゴ体制でムスリムの排除や、ムスリム人をめぐる深刻な問題があったとは言えないでしょう(しかし詳しく調べてみる価値はあります)。 現在のボスニアの人口の半数近くを占めているのがムスリム人であるため、「ムスリム人=ボスニア人」とも見なされがちですが、「ボスニア人=ムスリム」ではありません。カトリック(主にクロアティア人)やセルビア正教徒(主にセルビア人)もいれば、少数派ではありますがユダヤ教徒もいます。ロマ(『ジプシー』)もいます。しかもこれら民族と宗教の対応関係にも明瞭な境界線があるわけではありません。 また「ムスリム人=ボスニア人」とも言えません。隣国モンテネグロにも自身を「ムスリム人」(あるいは『ボスニア人』)と規定する人々がいるからです。アルバニア人が多数を占めるコソヴォでさえ、ムスリム人の割合が高い地域があります。「ムスリム人」に問題があるとすれば、この民族名の定義が厳密でない点でしょう。 1992年~1995年のボスニア紛争は、主にこのムスリム人とセルビア人の対立という側面が強調されており、ともすれば「宗教紛争」「民族紛争」と言われがちですが、必ずしも正確とは言えません。ボスニアのムスリム人とクロアティア人が連合を組んで、同じくボスニアのセルビア人と対立していた時期もありますし、そのボスニア内セルビア人を支援した「ユーゴスラヴィア連邦軍」にはムスリム人やクロアティア人の兵士も加わっていました。内戦勃発の背景にはむしろ、90年代初頭の連邦弱体化の過程で、西欧諸国がボスニアやクロアティアなど近接する共和国(だけ)の承認を急いだこともあるでしょう。民族主義・原理主義的スローガンだけで進んだわけではないと思います。 11世紀~12世紀のボスニアはキリスト教異端のボゴミール派の拠点でしたし、オスマン帝国時代にも主要宗教は共存していました。また内戦終結後のボスニアは、主にムスリム人・クロアティア人から成る「ボスニア連邦」と、セルビア人地域を中心とする「セルビア人共和国」との連邦の形をとっており(民族主義政党が強いことは事実ですが)、歴史的にも今日的にも、単なるムスリムの国家という位置付けはされていません。 ムスリム人についてより詳しく調べるには、やはりボスニアの歴史を充分に理解される必要があります。英書の翻訳ですが ドーニャ&ファイン「ボスニア・ヘルツェゴヴィナ史」(恒文社) という本があります。第1章と第4章と訳者解説に、上で述べた民族呼称と宗教の関係について述べられています。もちろん一地域だけでなく東欧やバルカン半島全域について学ぶことも必要です。その場合は「東欧を知る事典」(平凡社)や「バルカン史」(山川出版社)がおすすめです。ムスリム人についても簡潔に説明されています。
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- snowbees
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下記の「本を探すウエブ」に、キーワード「ユーゴスビア 民族問題」を入れて、例えば12)ユーゴの民族対立、サイマルをクリックする。先ず、12)の様な「概論」を頭に入れてから、最近の情勢に関する「著書」を読む。民族と宗教の対立を含むモザイク国家は、日本人には消化し難い問題ゆえ、覚悟して読むことをお奨めします。
お礼
いま、本を読んでいます!難しい・・・。がんばりますね!ご回答、ありがとうございました!!
- bernstein
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ムスリム人=イスラーム教徒 ちなみに女性のイスラーム教徒はムスリマと言います。 イスラーム教徒のことを指して言っていたと思われます。人種的には、アラブ系、アフリカ系、アジア系を思われるでしょうが、スラブ系、ヨーロッパ系でも教徒であれば、当然、ムスリムです。ホワイト・ムスリム、ブラック・ムスリムなどという名称もあります。 丁度、私達が仏教徒であるがためにブッディスト人とひとくくりにされると違和感がありますね。確かにアジア系の人が仏教徒である場合が多いのですが、もちろん、異なった人種でも仏教徒はいるわけです。 ユダヤ人も人種ではありません。母方がユダヤ教徒であって、本人がユダヤ教徒であれば、ユダヤ人を名乗っていいわけです。 さて、旧ユーゴスラヴィアにおいて、独裁指導者が社会を統制しようとしたときに、当然、宗教的なコミュニティは邪魔になります。 特に「アッラー中心の生活」を心がけているムスリムですし、宗教的指導者ウラマー(神父・牧師より協力な指導者)が社会的にも、経済にも人生にも人々に指針を示し、慕われるような集団はできれば、排除したいものです。 ただ、イスラームの宗教共同体ではイスラーム銀行なるものもありますので、経済活動も無視できない部分があります。 いわゆる民族浄化などという処置に(知る範囲では)至らなかったのは、活かさず殺さず、でも大きな力は持ってくれるな・・・という存在だったのではないでしょうか? 日本でも宗教法人が政党を持っていますが、宗教的指導者にマインドコントロールを受けている人達が身近にいるのは、少し怖い気がします。まして、キリスト系の人々が他の宗教に対して違和感を持っているのも事実です。 旧ユーゴスラビアが崩壊した後、クロアチア人とアルメニア人(だっけか?)、イスラーム教徒(ムスリム人)が対立したのはそのせいではないでしょうか? 答えになってませんね。ごめんなさい。
お礼
わかりやすい説明でたいへん助かりました。いま、このことに対する本を苦労しながら読んでいます。難しい問題ですね・・・。返事遅れてごめんなさい!!ご回答、ありがとうございました!
お礼
返事遅れてごめんなさい!!でもとても参考になりました!!いま、一生懸命本を読んでいます!ありがとうございました!