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恐喝?企業Aに対してクレームが来ています
- いくつかの会社を兼務している中で、企業Aに対して別の企業Bから支払のクレームが来ています。
- B社は支払意思があるものの、遅れており、一部はすでに返済しています。
- しかし、C社の代表は一切応じずに訴える方針のようです。A社の社長の評価は低下しています。
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恐喝罪とは,人に対して暴行又は脅迫を行い,それによってその者から財物を交付させることにより成立する犯罪です(刑法249条1項)。 恐喝の成立には,相手方を畏怖させる程度の暴行・脅迫があることが必要ですが,「A社の社長・役員に,企業Aの社員を訴えることになるので、それでもいいのかという強い口調での言い方」をした程度では,相手方を畏怖させる程度の暴行・脅迫があるとはいえないでしょう。 そもそも,そもそもB社の債務をA社が支払う必要はないのですから,A社としては,「勝手に訴訟してくれ」といえばよいのだと思います。また,社員が民事訴訟で訴えられたくらいでは,A社にとっては,本来痛くも痒くもないはずですから,本件Cの行為は,恐喝の体をなしていないといえるでしょう。 よって,本件において,恐喝罪は成立しないと思われます。 次に脅迫罪(刑法222条)の脅迫は,「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して」行わなければならず,本件はいまだそこまでの告知には至っていないでしょう。 仮に,Cが,「インターネット上で債務不履行を暴露する」と言ってくれば,それは「名誉」「に対し害を加える旨を告知」したことにあたり,脅迫を構成する可能性があります。 強要罪について(刑法223条)も,脅迫罪同様の脅迫を要件としますから,本件については成立しないでしょう。 債権者は,裁判に至る前に解決させようとして,ある程度の心理的強制を加えてくるのが一般です。 権利を有する者がその権利の実現のためにある程度の圧迫を加えることは,正当行為(刑法35条)として違法性が阻却されます。 この点,最高裁は,「債権取立のために執つた手段が、権利行使の方法として社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を逸脱した恐喝手段である場合には、債権額のいかんにかかわらず、右手段により債務者から交付を受けた金員の全額につき恐喝罪が成立する。」とし(最高裁昭和30年10月14日判決),債務者が社会通念上一般に忍容すべき範囲の行為については,刑法上違法でないとしています。 本件においても,C社も自己の損害を避けるために必死であるのではないかと推察されますし,刑法上の脅迫罪を構成するような行為はいまだなされておらず,社会通念上一般に忍容すべき範囲の行為であると考えます。 ただし,刑法上の犯罪は成立しなくとも,自己の債務を勤務先に請求されたのでは,仕事がうまくいかなくなる可能性は十分にあります。 そこで,実際に損害が出ているならば,民法上の不法行為(709条)としてCに損害賠償請求することは可能でしょう。 ただし,名誉や精神的苦痛については,損害の算出及び証明が難しいので,民事訴訟をするのならば,専門家に相談することをお勧めします。 ※法テラス http://www.houterasu.or.jp/ 【刑法】 (恐喝) 第249条 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。 2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。 (脅迫) 第222条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。 2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。 (強要) 第223条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。 2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。 3 前2項の罪の未遂は、罰する。
お礼
恐喝・脅迫・強要につきまして、混同した質問をしてしまい申し訳ございません。 大変わかりやすく、ご丁寧にご回答いただきましてありがとうございました。感謝しております。 本日、A社にC社代表が乗り込んできました。 内容としては、B社の経営陣なので支払をしろ!!というものと B社の入金先及び、取引先に対してB社と今後取引をしないよう促すというものでした。 B社の取引先担当者を教えるよう言われましたが機密保持務契約に関わる個人情報なので拒否いたしました。 C社代表は徹底的に裁判してやるから覚悟をしろ!と私とA社代表に念を押し、最終的には私が取締役である以上、個人負担し解決しろ!という方向で話し合いがB社代表もいない場で一方的に言われ、A社代表とC社代表の前でその条件を飲まざるを得ない状況で話が終わりました。 ただ、(刑法35条)の権利は普通に考えれば正当ですね。 軽い気持ちで引き受けた取締役でしたが、責任を大変感じております。 今回は支払えない額ではないので債務について立替をしようと思います。 この機会にB社取締役の退任とA社を退社しケジメをつけようと検討しております。 ありがとうございました。