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物理化学(不均一反応)について
物理化学(熱力学)についての質問なのですが・・・ 不均一反応 CaCO3(s) = CaO(s) + CO2(g) について以下の問いに答えよ。 450Kから1200Kにおいて ΔG°=168.15*10^3 - 144T (J/mol) とする。 1)この反応の平衡定数を活量、分圧(フガシティ)で記せ。 2)CO2の解離圧が1気圧になる温度を求めよ。 3)室温(298K)に外挿したときのΔG°を求めよ。 またこのときCO2の分圧を求めCaCO3の分解の可能性について述べよ。 1)について、圧平衡定数は分圧で記すと Kp = [PCaO][PCO2]/[PCaCO3] = [PCO2] になると思うのですが活量についてがよく分かりません・・・。 2)は ΔG=-RTlnKpの公式と、条件のΔG°と Kp=[PCO2]=1(atm)=1.013*10^5(J/m^3) を用いて計算したらTが1200K以上になってしまい 条件の450Kから1200Kを超えてしまったのですが、 解き方は間違っていますか? あとCO2の解離圧とはCO2の分圧のことではないのでしょうか? 3)は解き方が全く分かりません・・・与えられている条件だけで解けるのでしょうか?
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話の基礎の部分がややすっきりしていないようですので補足させて下さい。(質問者さんが圧平衡定数Kpを書いていますが、P_CaCO3, P_CaOは今の例では固体なので意味不明になります。No2さんも御指摘ですが。) さてNo1さんの1)に書かれたことを背景に、面倒なので理想系で相が複数ある系の平衡条件を書きますと(すごい見難い表現ですみませんが) -Σ_αΣ_i[ν_(αi)μ0_(αi)]=RTΣ_αΣ_i[ν_(αi) ln x_(αi)]...(1) となります。 ここでΣ_α, Σ_iはそれぞれ相、成分についての和を表します。ν_(αi)は相αにおける化学反応式の成分iにかかる係数、x_(αi)はα相の成分iの(平衡時の)モル分率、μ0_(αi)はα相における純成分iの化学ポテンシャル(厳密にはx_(αi)→1の時のμの外挿値)です。今の例のように各成分が複数の相にまたがって存在しないなら(1)のαは落として簡単になります。 -Σ_i[ν_(i)μ0_(i)]=RTΣ_i[ν_(i) ln x_(i)]...(2) 炭酸カルシウムの分解の例に(2)を当てはめると -(μ0_CaO+μ0_CO2-μ0_CaCO3)=RT ln (x_CaO x_CO2/x_CaCO3)...(3) となります。 ここでCaCO3、CaOはそれぞれ純相をつくりますからx_CaCO3=1, x_CaO=1となります。結果として K=x_CO2...(4) です。空気が系にあるのでしたら、平衡分圧は全圧Pに依存することになり、x_CO2=P_CO2/Pとなります。もし空気も存在しないならば、x_CO2=1ですからK=1(ΔG°=0)となります。 x_CO2=P_CO2/PでP_CO2=1(気圧)と考え、CO2を1気圧とすればK=1となり、ΔG°=0ですからT=1168になるのではないでしょうか。 3)はもとのΔG°の式が450-1200 Kに適用ということで外挿できないですね。(何か問題自身がおかしい気がするのですが、勘違いがあったらすみません。)強引に外挿すれば125 kJ/molくらいですが、298 Kならば普通にギブス自由エネルギーのデータ表がありそれで計算すれば131 kJ/molくらいです。(ご自分でもお確かめ下さい。)たとえば131 kJ/molをつかうのでしたら、公式により -131000=RT ln K...(5) ここでR=8.31, T=298であり、また(4)よりK=x_CO2=P_CO2/Pとなります。(5)からln Kをとけば-52.9であり、K=1.06^(-23)となります。KはCO2の分圧となるのでまったく分解しないということになります。No2さん御指摘のようにすでに空気中にあるCO2より小さい分圧になってしまいます。
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#1です。もうちょっとだと思います。解説しますね。 1)については固体を活量(a)で、気体を分圧(P)で示す事になります。ですので、aCO2とPCaCO3というところが違います。[PCO2]と[aCaCO3]です。 次の問いに行く際に、純固体の活量(aCaOとaCaCO3)を1とみなして進みます。 2)はOKですね。どうやって求めるのかは、次も参考にしてみてください。 3)について、解き方は2)と一緒です。 たぶん、2)で ΔG°=168.15*10^3 - 144T ΔG°=-RT ln Pco2 この2本からΔG°を消して・・・、 168.15*10^3 - 144T = -RT ln Pco2 (または、ln Pco2 = ・・・の形で。) という「Pco2とTの関係式」が途中に出てきたと思います。 最初からPco2に1atmを代入して進めたら気が付かないかもしれません。 Rは定数なので、平衡状態での分圧Pco2が決まれば温度Tが決まる、逆にいえば、温度Tが決まれば分圧Pco2が決まるという式で(いわゆる自由度1の反応です)、平衡論的にこの反応を紐解く鍵になります。 P1/T1=P2/T2でやってしまうと、この関係を完全無視になってしまいます。ここでは適用できません。 さて、ここでPco2を1atmとして、Tについて解くと2)の答えになります。 逆に、Tを298Kと決めて・・・。というわけです。 ΔG°は、条件式の温度範囲は450K~ですが「外挿」といっているのでこれを使っていいかと思います。 結果、もっと低い分圧になりますよ。え?ってくらいに。 > 2)の問題との関連を考えるともしかしてPCO2>1atm以上となる温度(1167K)で分解するということでしょうか? それ以下の温度でもPco2が「その温度の平衡状態の分圧に達するまで」分解が進みます。温度によっては反応が中途半端、式に出てきた物質の共存状態も、もちろんアリです。 これは3)の考察にも絡んできます。もし、最初から反応系にCO2が存在したら? 例えば空気中では、最初からCO2があります。分圧は約3x10^-4 atm(30 Paくらい・・・?)です。室温付近での平衡状態のPco2を求めてこれと比較します。これによって、大気条件ではそもそも平衡状態のPco2分圧に達するとか言う以前に、周りにCO2が・・・。とか考えることが出来ます。常識的な判断の裏付けになりますよ。 ・・・最初より長くなっちゃいましたね(汗
お礼
大変分かりやすい解説ありがとうございます! なるほど・・・室温は条件式の範囲外なので条件式を適用できないものだと思い込んでいました。外挿というのがポイントなのですね。 おかげさまで納得のいく解答を導くことができました!
かなり解に近づいているような感じなので、ヒントを幾つか。 1)の活量についてですが、「熱力学的」平衡定数はまず活量aで表します。実際に計算していくときは、この活量を気体の場合は分圧で、純固体の場合は1で、とか代用(近似という表現が正しい?)します。活量が何か、というのはいろいろとWeb上に解説が有るようなので省きますが、ここは、素直にaと分圧pで表せば良いと思います。 2)Kpの単位換算は不要で、atmのまま考えて問題ないです。 文面を読む限り、後の解き方は合っていると思います。1200K以下になりますよ。解離圧の解釈もOKです。CO2が解離する反応だから解離圧って表現と思いますが。 ΔG=-RT lnKpと書いていますが、 ΔG = ΔG°+ RT lnKpで、平衡だからΔG=0とし、 ΔG°=-RT lnKp です。 もし、ΔG°とΔG間違っていたら、と思ったので蛇足ながら・・・。 3)は、2)が解ければ出来たも同然です。今度はPではなくてTが与えられているわけですから。
お礼
解説ありがとうございます。お手数ですが解釈の確認をお願いいたします。 1)はつまり Kp = [aCaO][aCO2]/[PCaCO3] ということでよろしいでしょうか? 2)は単純な計算ミスでした・・・ちゃんと1167Kになりました! 3)はΔG°=-RT lnKp のうちR,Tは分かっていますが、Kp(PCO2)が未知なので求まらないのではないでしょうか? それともこの系は閉じた系で体積一定とみなして P1/T1 = P2/T2 の関係からPCO2を求めても良いということでしょうか? また求めたPCO2から分解の可能性についてなのですが、常識的に考えて室温では分解しないと思うのですが・・・ 2)の問題との関連を考えるともしかしてPCO2>1atm以上となる温度(1167K)で分解するということでしょうか? ちなみに上の仮定で求めたPCO2は0.255atmとなりました。
お礼
大変詳しい解説ありがとうございます! 今まで平衡定数を求めるときは質量作用の法則に固体は1、気体は分圧、ていう感じであてはめて求めていたのですが、実際は平衡条件の式があってそれに様々な条件を当てはめていった結果今回の場合は K=PCO2 に落ち着いたということなのですね。 3) は室温におけるΔG°のデータが与えられていない以上、450-1200 Kのデータを使って強引に外挿しろってことなのかもしれません。計算した約125Kj/molになりました! ご指摘のとおり話の基礎の部分が理解できておりません・・・大学の講義では化学ポテンシャルや活量についてあまり突っ込んで解説されなかったので(与えられた分圧とモル分率のデータから活量と活量係数を求める程度)これから勉強していきたいと思います。