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二光子吸収
二光子吸収とは何ですか。光子と電子の振舞いについて教えてください。
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二光子吸収は、その名の通り2つの光子と電子との相互作用によって、2つの光子のエネルギーが電子に吸収される(上の順位に遷移する)現象です。 正確な記述は量子力学に頼らざる終えませんが、正確性を犠牲にして出来るだけわかりやすく説明してみようと思います。 通常の吸収は、電子の下の準位Aと上の準位Bの間のエネルギー差Eに相当する光子がやってきたときに、Aの電子は入ってきた光子の電場によって摂動を受けます(平たくいうと揺すぶられる)。 その揺すぶられた電子には丁度上の準位Bに相当する成分があり、エネルギを吸収して上の準位にいくことが出来るわけです。(共鳴が起きる) 電子の軌道は波として表せるので、振動数で表すと、エネルギーを下の準位をωA、上の準位をωB、光子のエネルギーをωPとすると、 ωA+ωP=ωB となります。(本当はこれにプランク定数hをかけた値がエネルギ)このときには、光子のエネルギωP=ωB-ωA さて、非常に入射光が強いときに、ωB-ωA>ωXとなるωXの光子が入ると、共鳴はしませんが、それでも電子は摂動を受けるので、 ωA+ωX なる電子の状態が生まれます。ここに、ωX+ωY=ωB-ωAなるωYの光が入射すると、 (ωA+ωX)の電子状態とωYが相互作用して、 (ωA+ωX)+ωY = ωB なる遷移が起きます。これにより、上の電子準位Bに遷移するわけです。これを2光子吸収と呼んでいます。 ここで、(ωA+ωX)の電子状態は一時的なものであり、量子力学上は電子の軌道にはなり得ない物ですが、摂動を受けている状態として存在している物ですが、近似的に仮の準位として発生したのだとイメージするのがわかりやすいと思います。 より正確に言うと、実際には、ωAとωXとωY全部が同時に相互作用しています。 一光子吸収の場合と違って、(ωA+ωX)みたいな摂動は、電子によって共鳴しないので、非常に強い光を入れないと起きないのが特徴です。 上の準位に遷移した電子が下の準位に戻るのは、その媒質によって様々で、光を発生して戻る物や熱に変わる物、他の準位をたどって戻ってくる物などいろいろです。 (光になって戻る物は、よくフェムト秒パルス光のパルス巾の測定に使われます) 通常は、ωX=ωYで起きる現象がよく知られていますが、原理的にはX=Yである必要はありません。 更にいうと、多光子吸収という現象もあります。
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- motsuan
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2makishiさん 私のほうから質問してしまい申し訳ありません。 と言う訳で(?)、応用例を。 最近は光ファイバによる波長多重通信技術で波長フィルタとして、 紫外線によりグレーティングを書きこんだファイバが使われていますが、 これも、書きこみ具合が光パワーによるようなので、多格子吸収の応用といえるのではないでしょうか? (mickjey2さんがおっしゃるように傷をつけているといったほうがいいような気もしますが) また、二光子吸収はパワーに敏感なので、二光子吸収重合体により 光造形をすると微細な加工が可能になるそうです。
お礼
これはどうなんでしょう。とりあえず検討してみたいと思います。どうもありがとうございました。
- masa1000rx
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では、顕微鏡だけ。 Bio-Rad 社の Radiance2000MP が二光子励起蛍光顕微鏡です。(参考URL)ほかにもあるはずですが、ちょっといまわからないです。 普通の共焦点顕微鏡に比べると、励起する場所をさらに絞りこめるため、すごくいいらしいと聞きます。 最近のイメージング関連の本には、よくのっています。たとえば、「ポストゲノム時代の実験講座3 GFPとバイオイメージング」pp191-196 (羊土社)。
お礼
ありがとうございます。
補足読みました。 2光子吸収は、あまり工業的に利用されている例は少ないように思います。 (私が無知なだけかもしれませんが。) 知っている例では、 1)先のmasa1000rxさんの回答にあるようなアッパーコンバージョンガラスなど (波長の長い光を短い光に変換します。でもあまり応用目的は知りません。) 蛍光顕微鏡に使われている例は浅学で知りませんでした。 2)オートコリレータ フェムト秒レーザなど、とても電気的にパルス巾の測定できない長短パルスの測定 光を一度2つに分けて対向する方向に進行させ、中央部に2光子吸収体を置いておくと、その蛍光の長さを測定すればパルス巾が測定できるというもの。 これは、フェムト秒レーザが盛んになっているため、色々市販されています。 うーん。そんなに思いつきませんねぇ。 あと、光による物質の損傷などを考えるときに、この2光子吸収が原因で劣化する物があり重要になります。 私の知っている範囲ではそんなところです。 では。
お礼
なるほど! どうもありがとうございます。
- motsuan
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普通に運動量とエネルギーが保存されるように順位間(バンド間)で遷移を起こすのだと思います。 ところで、失礼かもしれませんが、2makishiさんとmakishiさんは同一人物ですか? 二光子吸収だけに洒落か謎掛けなのかと思ったのですか。 間違っていたら大変申し訳ありません。。
お礼
ありがとうございます。そうなんです。同一人物ですよ・・・。
- masa1000rx
- ベストアンサー率43% (39/89)
原子に光を当ててやると、ある決まった波長の光を吸収します。これは原子核のまわりをまわっている電子がその光子のエネルギーを吸収するためおこります。このとき、電子はとびとびの決まったエネルギー値(準位)しか取れないため、そのエネルギーの差に相当する「ある決まった波長の光」のみを吸収します。そして、電子状態は最も安定な状態(基底状態)からエネルギーの高い状態(励起状態)へと移行します(励起)。これが普通におこる一光子励起です。 ところが、非常に強いレーザーを当てた場合には、一光子励起の時の半分のエネルギー(倍の波長)の光子がほぼ同時に2個吸収されることによって、一光子と同じ電子の励起を起こすことができます。これが二光子励起です。この原理を使った蛍光顕微鏡が存在するので(使ったことはないのですが、、)有名だと思いますよ。 多段階励起なので少し違いますが、アップコンガラスをやってる知り合いのいる研究室のHPに電子の励起の絵がのっています。参考になるとおもいます。 でも、半導体とは分野が違うので、はずしてるかもしれませんね。どのような事を知りたいか具体的に補足していただければ、もっと詳しい方のアドバイスをいただけると思いますよ。
補足
希土類イオンでアップコンバージョンとは・・・初めて知りました。光子が一個、物質に吸収されると、一個の電子が励起されるということなのでしょうか。初歩的な質問ですみません。
お礼
すばらしいの一言です。あと、光子吸収の応用として上げられるものをお教えていただければ、すごくうれしいです。