• ベストアンサー

二光子吸収の起こる条件とは

アインシュタインが光電効果を発見したとき いくら光の強度を強くしても、ある波長より短い光を使わなければ電気が流れないというところから、光が波ではなく粒子であるということを発見したということは有名な話ですが では二光子吸収はどう考えればよいのでしょうか? この現象は2つの光子を吸収して普通では超えられない禁制帯を飛び越えるという現象ですが、これが起こってしまうと光電効果のような現象は起こらなかったのではないのでしょか? となると、2光子吸収を起こすためには何か条件があるということなのでしょうか? そのへんを詳しく教えて下さい。よろしくお願い致します。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • walkingdic
  • ベストアンサー率47% (4589/9644)
回答No.4

回答した後に、そういえば結晶関係の説明がまだ不足していたと思うので補足しますね。 非線形を示す結晶関係は主に分極による屈折率分布が主要なメカニズムですけど、その中身を見ると、単純な分極によるものと、光強度に応じて励起された電子が移動して巨大な分極を形成してそれによる屈折率変化によるもの(フォトリフラクティブと呼ばれています)が主な物です。(あとカラーセンターのような不純物が関与する物もあります) 両方に共通しているのは、高い誘電率がある、誘電体であるということです。 前者については、分極により結晶構造がゆがむため、必然的に現れるのは非線形になりますし、その結晶特有の事情が関与してきます。 後者についてはその結晶のバンド構造が特殊で励起された電子が移動できる伝導帯を構成していることと、分極による電場によって屈折率が変化する、要するに電気光学効果と同じ事が生じることが特徴です。 何にしても一般的にこうだからという話は結構難しくて、強い非線形を表す結晶などは、その結晶特有の事情が関与していることが多いです。

その他の回答 (4)

  • leo-ultra
  • ベストアンサー率45% (230/504)
回答No.5

後半の質問については詳しく説明されているようなので、前半の質問に回答します。 「アインシュタインが光電効果を発見したとき、いくら光の強度を強くしても、ある波長より短い光を使わなければ電気が流れないというところから、光が波ではなく粒子であるということを発見したということは有名な話ですが、では二光子吸収はどう考えればよいのでしょうか?」 二光子吸収は特殊な場合を除き、普通の(1光子)吸収に比べて、百万倍?よりも弱いわけです。アインシュタインの頃に「いくら光の強度を強くしても、ある波長より短い光を使わなければ電気が流れない」と実験で確かめたかもしれませんが、せいぜい光の強度は100倍くらいしか強くしなかった(できなかった)のではないでしょうか? つまり、2光子吸収が観測できるほど、その頃は光を強くできなかった。実際、レーザーがないと2光子吸収の観測は難しいでしょう。

  • walkingdic
  • ベストアンサー率47% (4589/9644)
回答No.3

>この差というものがどこから出てくるかということに関しての物理 それは単純にいえる話ではありません。 非線形光学定数の大きな物質は複数ありますが、それぞれ固有の事情からくることが多く、統一のとれた説明が出来るわけではありません。 二光子吸収は三次の非線形光学現象になりますが、その定数(三次非線形光学定数)が大きいのには、それぞれ色んなパターンがあります。 ただ大きく分けるならば、一つは飽和吸収に代表されるタイプで、こちらは上位準位の寿命が長い等の理由から基底状態と励起状態の原子分布に比較的大きな差が生じることから発生します。 もう一つは電場強度による分極が顕著に出るタイプで、いわゆる結晶型のものや、高分子型のものがあります。ただその中身を深く見ると結晶型と高分子形では、どのようなものが大きな定数を持つのかという考え方には結構差がある、というか視点がやはりことなります。 私は化学専門ではないので、高分子系は専門にしている人たちの説明をなんとなく理解できる程度の知識しかありませんが、基本的にはπ結合を担う共有電子の長さ、形状、特に側鎖などとの関係が重要になっているようです。主に分子軌道法による分子構造と実験的に得られた側鎖などの影響などとの相関などから、より性能の高い材料の開発というのをしています。 つまり材料毎に、更に深くその詳細を見ていく必要があるということです。 >分子(原子)同士で結合を作ることで電子の取り得る軌道が増えあたかも連続であるかのようになることによりバンドに幅が出来ます。 少し誤解しているようです。半導体原子・分子同士が結晶構造をとることで禁制帯が生まれるなどのことはありますけど、バンドの幅が広がる話とは直接は関係ないですね。 それよりは、もちろん複数の原子・分子があれば、当然個々の原子・分子の共鳴周波数は格子振動、不純物その他の理由から不均一広がりという広がりは見せます。 後は私が先に説明した均一広がりに分類されるものですね。 おおざっぱにはスペクトル・バンドに幅が生じるのは均一広がりに分類される要素と不均一広がりに分類される要素に分けられ、またそれから色々と細かな話があります。 >このバンドギャップを超えるエネルギーの光であれば全て共鳴を起こして、 ですから「共鳴」というのは、固有周波数と光の周波数が一致する必要があります。 だから何でもそのエネルギー以上の光であればよいということにはなりません。

  • walkingdic
  • ベストアンサー率47% (4589/9644)
回答No.2

>・非線形光学結晶でしか2光子吸収は起きないということなのでしょうか? いえ、「結晶」である必然性はどこにもありません。 >・裳華房の「量子光学」は一通り目を通したのですが非線形な系というのはどういった条件で起こるのでしょうか? そもそも線形であるという方が特殊といえます。 線形であるというのは、電場に比例して応答するということですが、その応答の直線性が完全に直線であるという方がむしろ特殊であるということです。 狭い電場の範囲ではそのようなことは不思議ではなく、一般には線形となりますが、幅広い電場強度の範囲でも完全に線形な反応、つまり直線性が維持されるというのは、物理的な現象としてはむしろまれでしょう。 つまりどんな現象も幅広い範囲をみればむしろ非線形であることの方が自然なのです。 日常的にも、それはよく見られる話です。 たとえばボルトを締める作業でも、ある程度の力でしめる限りは締める力に応じてボルトは弾性変形して締め付け力が強くなりますけど、締めすぎるとボルトは破断します。 これなども幅広い力の範囲では線形性を保てない例でしょう。 電場という力を原子・分子に加えた場合に、その力をどんなに強くしても線形に反応するというのは考えられず、強すぎれば破壊もあり得るのはわかると思います。ということは、電場の強さが強くなれば非線形な応答になるのは理解できるでしょう。 >・それと、分子でいうとHOMOとLUMOの間のエネルギーギャップに相当する光しか吸収しないのは分かるのですが、固体ですとCBは幅を持つため禁制帯以上のエネルギーの光であれば、あらゆる周波数の光を吸収しそうな気がするのですが、違うのでしょうか? CB..固体というより半導体の話ですか? で、そもそも伝導帯(CB)に幅があるのは何故でしょう? 単にフェルミ準位が絶対零度の時と異なり、温度があるから急峻ではなくなるからというのでは説明はつかないはずです。 事実上大抵の半導体は複数の吸収を担う共鳴周波数があり、その重ね合わせにより幅が広くなっているということがわかるはずです。 なので、単にEg(エネルギーギャップ)以上であればよいという訳にはいきません。 基本は共鳴による吸収なのです。共鳴しない場合には透過してしまいます。 ガンマ線なりX線なりはあまりにも周波数が高く応答する物質が限られるから、広い物質で透明になるのです。

MASSYY
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 しかし、回答になっていません。 どんな物質でも非線形性を持つということは知っていますが、 「非線形光学結晶」なるものが存在する以上、非線形性が大きい物質と小さい物質が存在するということだと思います。 この差というものがどこから出てくるかということに関しての物理を学びたいと思っています。 光学系の本はいくつかあたったのですが、どうしても分かりませんでした。 伝導帯(CB)に幅があるのは、分子という単体で存在しているわけではなく、固体という固まりで存在しているためです。分子(原子)同士で結合を作ることで電子の取り得る軌道が増えあたかも連続であるかのようになることによりバンドに幅が出来ます。 ということは、このバンドギャップを超えるエネルギーの光であれば全て共鳴を起こして、二光子吸収を起こすのではないのでしょうか?

  • walkingdic
  • ベストアンサー率47% (4589/9644)
回答No.1

わかりやすく言うと、二光子吸収というのは、2つの光子をひとまとめにして、そのエネルギー(hvで計算されるもの)が2倍のひとつの光子とみなした吸収と同じ話になります。一度そのように考えれば、あとはこれまでの考え方と同じです。 ただこの二光子吸収はなんでも起きるわけではなく、物質との相互作用の結果生じます。つまり、原子なり分子なりは共鳴する、吸収する波長というのがありますよね。 これは電子遷移により生じるものですが、この共鳴する周波数に対して1/2となる周波数を考えると、1/2の周波数の高調波が共鳴周波数となります。 言いかえると、2f(f:周波数)が共鳴周波数だとすると、fの周波数では直接は共鳴しませんので、吸収もありません。 でも、非線形現象がある場合には、fの高調波も生じます。高調波は2f,3f...となりますので、このうち二倍の高調波がちょうど原子・分子の共鳴周波数に一致することから吸収が起きるわけです。 一般に波というのは非線形な系を通ると高調波が発生します。光の領域でも物質との相互作用では、光強度が強いと非線形になりますので、そのようなことがおきるわけです。

MASSYY
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 前半の内容は分かっているのですが、後半がよく分かりません。 ・非線形光学結晶でしか2光子吸収は起きないということなのでしょうか? ・裳華房の「量子光学」は一通り目を通したのですが非線形な系というのはどういった条件で起こるのでしょうか?そういう結晶があります。という回答ではなくこういう電子構造をもつ物質がこういう物理現象を起こすためにそういった現象が起きます。というような解説を頂きたいのですが。 ・それと、分子でいうとHOMOとLUMOの間のエネルギーギャップに相当する光しか吸収しないのは分かるのですが、固体ですとCBは幅を持つため禁制帯以上のエネルギーの光であれば、あらゆる周波数の光を吸収しそうな気がするのですが、違うのでしょうか? この3点どうしてもわかりませんのでお願い致します。

関連するQ&A