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デカルト
デカルトの明晰判明性ができた過程はどうなっているのでしょうか?
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未だに誰もお答えになっていないので、最近の物理学の進歩から観た私見を書いてみましょう。 デカルトはカソリックとプロテスタントが互いに血を血で洗う戦いをしていた時代に生きた人です。それまでは、バチカンの下に、西洋人は、何が正しく何が間違っているかを分かっているつもりでした。しかし、この宗教戦争で何が何だか分からなくなってしまったのです。そこで、デカルトはキリスト教の権威に頼るのではなくて、何か全く別の根拠でこの世界の認識を組み立て直す必要を感じたのです。そして、彼の場合、その根拠として「理性」による「合理性」に基づいて世界の再構築を試みたのです。その結果、彼は、全てのものが判然と与えられている決定論的な世界、明晰で判明可能な世界、永遠不変な世界、すなわち「在る世界」という認識に到達しました。 同じような思考の表出は、第一次世界大戦と第二次世界大戦という悲劇の中をユダヤ人として生きたアインシュタインにもあります。彼も、この世界の認識を、ドロドロとした下界ではなく、あたかも汚れの無い高山に逃避するかのような、崇高で決定論的な世界(あるいは宇宙)という概念の構築に全精力を注ぎました。 面白いことに、西洋の宗教改革が起こる数百年も前に、日本で源平の血で血を洗う悲劇の後に起こった鎌倉時代の仏教の大改革時代には、決定論的世界観とは正反対の、諸行無常の世界、非決定論的な世界、変化する世界、すなわち「成る世界」という認識に到達しました。 このように、全く同じ原因でありながら、互いに正反対の結果を導く現象は、現代物理学でいう非線形現象に特徴的な現象です。現在ではこの現象を「分岐の理論」という数学的な論理で理解出来るようになっております。 デカルトの明晰判明性の概念の出現と、源平後の日本人の無常の概念の出現というこの二つの世界観の分岐は、現代物理学が到達した分岐の理論の一つの典型的な具体例であると考えられます。
お礼
詳しい解答ありがとうございます。 自分では日本人の無常の概念の出現と明晰判明性など を物理学の視点から見ることができるということに 驚きました。