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特許の出願前の発表
以下のような場合、どちらが特許をとれる(もしくは両方とれる、両方とれない)のでしょうか? 2/1 甲、発明Aを学会で発表 4/1 乙、発明A(甲のものと同一)を特許出願 5/1 甲、発明Aを特許出願
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質問者が選んだベストアンサー
基本的にはkawarivさんが仰っている通りなんですけど、誤解を招きかねない部分がありますので、ちょっとフォローしておきますね。 > 同一発明が個別に特許されることは絶対にありません。仮に特許されているのであれば、どちらかの特許に無効事由が含まれていることになります。 これは一般的には当てはまりますけど、すべてのケースに当てはまるわけではありません。 同一発明でも、選択発明というものが存在します。化学物質の発明は通常はある程度の範囲を持たせて特許請求します。極めて簡単な例で言うと、初めてメタノールを発明した人(A氏)は、メタノール(CH2OH)(括弧内の数字は下付。以下同じ)だけではなくてエタノール(C2H5OH)、プロパノール(C3H7OH)・・・(CnH2n+1OH)などを含めた「炭素数1~nのアルコール」というような形でクレームを書きます。 化学物質発明の場合には、机上論でいろんな化学物質を予測することができますが、実際に製造することができなければ無意味です。つまり、実施例をかなり重視します。また、化学物質の場合には、発明の詳細な説明にその物質がどういう用途に使えるか、つまりどういう属性(その物質の有用性・作用効果)を有しているかということを書かなければなりません。 その後、別の人(B氏)が、上記の一連の化合物の中で例えばオクタノール(C8H17OH)が特に顕著な(又は別の)作用効果を有するということを発見した場合、A氏の出願の明細書にオクタノールが具体的に記載されていなければ、B氏はオクタノールのみに係る出願をして特許を取得することが可能です。(めちゃくちゃ簡単な例で言ってますので、そこのところをご理解下さいね。) ご質問文中の甲の発明Aが上で言うA氏の出願で、乙の発明が上で言うオクタノールに該当するような場合には、乙の発明が特許される可能性はないわけではありません。 ご質問文では甲乙共に発明Aになっていますのでこのような特例は当てはまりませんけど、こういう場合も厳密に言えば同一発明で拒絶されると誤解されてしまう恐れがありますので、念のため~。 なお、特許事務所に勤めていても、化学を専攻した者でないと化学物質に関する特許を取り扱うことは稀ですから、kawarivさんがこのことに気がつかなかった(ご存知なかったとは思っていませんよ)のは決して責められることではありませんよ。実際、うちの事務所の所員でも電気や機械の担当者はこのようなことは知らないという者もいます。 さらに余談ですけど、お礼は全員にして下さいね。No.3のapple-manさんがかわいそうに思えてしまいました。
その他の回答 (7)
基本的には、ANo.3 のご回答通りですが、「却下」ではなく「拒絶」です。 「却下」は、特許庁が出願を受理しない行為ですので、却下された出願に先願の地位は認められません。 正式に受理された出願に対し、「特許要件を満たしていない」との理由で特許査定を与えないのが「拒絶」です。 特許法上は両者は明確に区別されていますので、あえて指摘しておきます。 また、学会発表であっても、その学会が特許庁指定のものでなければ、救済措置はありません(特許法30条1項)。 それと、「基本的には両方とも拒絶なので、両方とも先願の地位はもちません」というご回答もあるので、これに関して説明致します。 39条5項に規定されているのは、「拒絶査定となった出願に先願の地位はない」ということであって、「29条1項の各号に基づいて確実に拒絶されることが分かっている出願には、先願の地位はない」ということではありません。 理論的にはともかくとして、実務上、乙の出願から1ヶ月で拒絶査定が確定するとはとても思えません。 そもそも、新規性を喪失した発明であっても、出願するのは自由です。そして、その出願が放棄、取り下げ、却下されない限りは、同一発明である後願は、その出願を根拠として、29条1項3号、29条の2、39条1項のいずれかに基づいて拒絶されます。 拒絶理由は、1つとは限りません。審査官は、「こうであると思われる。例えそうでないとしても、こうであるとも思われる」として、思いつく限りの拒絶理由を出してきます。 1つの請求項に係る発明に対し、29条1項3号に基づく拒絶理由と、29条2項に基づく拒絶理由とが発せられることは普通です。 すなわち、乙の出願は、甲の出願に対し、先願の地位を確保し得ます。 もっとも、乙の出願(先願)も、29条1項3号を理由として拒絶されますけれど。 加えて。 同一発明が個別に特許されることは絶対にありません。仮に特許されているのであれば、どちらかの特許に無効事由が含まれていることになります。
- acacia7
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・・・・・・過誤登録・・・・・・ というのは、おいといて。(笑) 相互の交渉次第で、特許権の共有して、 両方とも、特許検者ということはあります。
- acacia7
- ベストアンサー率26% (381/1447)
ちょっと更に追加。(^^;; 乙の出願が通る場合、甲の出願が冒認出願である必要がありそうですね。 だとすると39条6項に該当して、 甲の出願は「特許出願」とは認められないっていうことになるかも。
お礼
acacia7 san 本当に助かりました、ありがとうございます! そうですよね、おっしゃる通り、「両方とれる」はないですよね...(笑) でも、「基本的に」ということは全く同じ発明でもとれてしまうことがあるということですか?
- acacia7
- ベストアンサー率26% (381/1447)
ちょっと補足。 乙の出願と甲の出願が拒絶の査定(49条)を受ける理由は ともに「特許要件(29条)」で挙げられる特許を受けられない発明の 一号「特許出願前に日本国内又は外国において公然しられた発明」 に該当するためです。 基本的には両方とも拒絶なので、両方とも「先願の地位」はもちません。 (39条5項) そのため、apple-manさんの仰る様に、甲の出願が、乙の出願の後願になる 場合は無いと思います。 また、乙の出願に関して、30条2項の「新規性喪失の例外」が認められた場合、 乙の出願に先願の地位が発生します。 しかし、その発明について特許を受ける権利は乙にあり、甲にはないとして、 甲の30条の主張が違法であり、新規性喪失と後願二つの拒絶理由が発生します。 てな感じですが・・まだ僕も勉強中なので間違いがあったらごめんなさい。 今後とも宜しくお願いします。 ところで、「両方ともとれる」というのは基本的に無いのです。
- apple-man
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本当にこの条件だけなら、両方とも特許が取れません。 甲の学会発表により新規性の喪失という状態になり、 新しい発明ではないということで、乙の出願は却下 されます。 甲は学会で自ら発表したことを証明すれば、 本来特許を受けられるはず(新規性喪失の例外)ですが、 日本の特許出願には先願性、つまり先に特許庁に申請 したほうに権利があるという原則があるため、 乙の出願の後(後願)とみなされ、甲の出願も 却下されます。 ただ以下のようにな条件の違いで結果が変わってきます。 1)甲が特許を取れる場合。 乙が甲の発明を盗んだことが証明された場合で、甲が学会から 発行してもらった発表内容を証明した証明書を提出した場合。 2)乙が特許を取れる場合。 逆に甲が乙の発明を盗んだことが証明された場合。
- ymmasayan
- ベストアンサー率30% (2593/8599)
一般には出願前に発表すると本人も特許が取れないといいます。 しかし、例外規定があります。 例外規定があってもやっぱり、出願前の発表は不利ですので避けるべきです。 参考URLは特許庁のものです。吟味してください。
お礼
ymmasayanさん、acacia7さんありがとうございます。 今日登録したばかりなのですが、あまりにも早い回答でびっくりしています。 現在、仕事の関係で特許の勉強をしています。これからも質問すると思いますがよろしくお願いします。
- acacia7
- ベストアンサー率26% (381/1447)
条件以外になにもなければどちらも取れない。 甲の発表が三十条ニ項に該当すれば、 乙が取れる可能性はある。 甲が出願の際に三十条四項の手続きをすれば取れる可能性はある。
お礼
みなさま、本当に丁寧にお答えいただいてありがとうございました。apple-manさんも本当にありがとうございます。実はまだ登録したばかりでこのサイトにも不慣れで...というのは言訳ですね、スミマセン。 週末にじっくり読んで勉強させていただきます。また何かあったら質問させていただきますので、よろしくお願いします。