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NMRについて
二つ質問があります。NMRで用いるゲート(制御)とは何のことでしょうか。もうひとつは電位配位子とは何のことでしょうか。いくつかの文献で調べてみましたが、ゲートなどと用語を用いたものはあっても、ゲートそのものの意味が載っていないのです。お手数ですが、お教えいただければ嬉しいです。
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rei00 です。補足拝見しました。 > ゲート自体が何の役目をしているのか う~ん。「ゲート」が何か形のあるもののように考えていませんか。形が全くないといえば嘘になるかもしれませんが,「ゲート」自体が何かをするといったものではありません。 Organomets さんがお書きのように,通常水素核以外の核の NMR 測定はプロトン核をデカップリングして行われます。プロトンとのカップリングを無くし,水素核との核オーバーハウザー効果(NOE)によって,シグナル強度を強くして検出感度を高める目的です。 ところが,この NOE ですが,水素核を照射した場合に得られる NOE 効果は η = (T1_DD/T1_total)(γs/2γH) となり,お書きのケイ素核(γs = -5.3190)のような γs < 0 の核の場合は,NOE 効果によって逆にシグナル強度が弱くなってしまいます。 あるいは,存在するケイ素の量を NMR の積分値から求めたい場合,NOE 効果の大きさがそのケイ素核の置かれた状態によって異なるため,同じケイ素1個でも積分値が異なる結果になってしまいます。 この様な場合 NOE の影響を無くしながらデカップリングを行なう必要があります。そのためには,NOE 効果が生じるには時間がかかるが,デカップリングの効果は照射開始直後から起こるという両者の特徴を利用します。つまり,シグナルを取り込む間だけデカップリングを行ない(短時間なので NOE は生じないがデカップリングは起きる),それ以外はデカップリングを切るという事を行ないます。 このようにデカップリングする時間を制御したデカップリングを「gated decoupling(制御付きデカップリング)」と言います。 > どんな文章中かといいますと、二つとも珪藻をシリコン > NMRでSi欠乏の影響を研究した論文のようなものです。 ケイ素の NMR でしたら,次の成書が参考になるかもしれません。 「多核 NMR 入門 状態分析へのアプローチ」 宗像 恵・北川 進・柴田 進 著 講談社サイエンティフィク > 電位配位子はそのIntroductionで「細胞膜や生物流動体は、 > 一般に次のような電位配位子に富んでいる」とありました。 すみません,日本語で書かれた文章ではないように思いますが,その英文(?)をそのまま補足してみていただけませんか。 NMR の内容ではないようなので解るかどうか自信ありませんが考えてみますので。
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- rei00
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rei00 です。 訳については #4 さんが回答されている通りだと思います。 > ここでの配位子というのは、有機珪素化合物に > ついている配位子のことなのでしょうか。 「such (potential) ligands = そのような(潜在的な)配位子」とありますから,「配位子」は最初に出てくる「aliphatic carbohydrate molecules = 脂肪族炭水化物」の事ですね。 もう少し詳しく言えば,「少なくとも4つの隣接したヒドロキシ基を持ち,その内の2つをトレオ配置で含んでいる脂肪族炭水化物」です。 ケイ素の NMR は経験ありませんので,今回は「一般人」にしておきます。
お礼
おかげさまで理解することができました(多分)。やはり英文の訳仕方にも問題大有りですね(^^)。情けないです。英文さえ正しく訳すことができれば、もう少し理解ができたかもしれません。大変親切にしてくださってありがとうございました。頭が上がりません。 さて、またもや問題が発生してしまいました。同じカテゴリに投稿しています。意味がわからないと書いているものです。なんのために75と99.8に濃縮したものかと。はて。 大いなる勉強不足ですね。頑張りますので、これからもよろしくお願いいたします。
- Longifolene
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最近、我々は、予想に反して、炭水化物が少なくとも4つの隣接したヒドロキシ基 を2つのトレオ配置で含んでいれば、アルカリ性水溶液中でシリケートアニオンと その脂肪族炭水化物から有機珪素化合物が容易に生成することを示した。 細胞外物質、細胞膜、生体液、土壌溶液は普通そのような「潜在的な配位子」に 富んでいる。 といった感じと思います。多分、シリケートをNMRで分析するときに試料が生物 由来のものに汚染されたりすると、その中の炭水化物がシリケートに配位して しまい正しい分析結果を与えないことを指摘しているものと思いますが。
補足
訳どうもありがとうございます。つまりここでの配位子というのは、有機珪素化合物についている配位子のことなのでしょうか。
- rei00
- ベストアンサー率50% (1133/2260)
NMR を武器にしてきた天然物化学屋です。 お書きの『ゲート(制御)』とか『電位配位子』はどんな文章で出てきましたか? 『ゲート(制御)』は「ゲート付きデカップリング(gated decoupling)」じゃないかと思いますが,それでしたら,Organomets さんの回答通りです。ただ他にも「パルスのゲートを開く」みたいな文章もありえます。この場合は「制御」じゃなくて「門」と言った感じです。 『電位配位子』の方は判りません。どんな文章で出てきたのか補足下さい。 なお,次の成書が参考になるかもしれません。 「NMR ハンドブック」 R. Freeman 著,坂口 潮,嶋田一夫,荒田洋治 訳 もう少し詳しい事が分かれば,また回答できるかもしれません。必要なら補足下さい。
補足
回答ありがとうございます。ゲートについてですがOrganometsさんが回答くださった内容はだいたいわかるのですが、ゲート自体が何の役目をしているのか教えていただきたいのです。ちなみに「そのスペクトルはプロトンデカップリング(核のオーバーハウザ―ひずみを防ぐためにゲート制御された」とあったのです。 どんな文章中かといいますと、二つとも珪藻をシリコンNMRでSi欠乏の影響を研究した論文のようなものです。わかりにくくてすみません。 電位配位子はそのIntroductionで「細胞膜や生物流動体は、一般に次のような電位配位子に富んでいる」とありました。 よろしくお願いします。
- Organomets
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専門家ではないので簡単にしか説明しません。 「ゲート」で何を制御してるかというと、デカップラのスイッチングです。様々な測定モードで用いられます。たとえば13C NMRスペクトルを測定する際、プロトン核との核オーバーハウザー効果によるシグナル増強の効果を損なうことなく、C-H結合定数を確認する手法です。 照射からシグナル取り込みまでずっとデカップラをONにしておくとC-H結合定数を確認することはできませんし、デカップラをオフにしていれば、NOE効果によるシグナル増強が無いので積算回数を増やす必要が出てきます。 専門家の目から見れば、もっと重要な役割があるのかもしれませんが、私にはわかりません。 参考文献を挙げておきます。 Braun, S.; Kalinowski, H. -O.; Berger, S. 「100 and More Basic NMR Experiments」, VCH Verlagsgeesellschaft, Weinheim, 1996. ISBN; 3-527-29091-5 Andrew E. Derome著、竹内敬人・野坂篤子訳 「化学者のための最新NMR概説」、化学同人、1991。ISBN;4-7598-0226-6
お礼
早い回答ありがとうございました。回答と挙げてくださった参考文献とでちょっと勉強してみますね。
補足
詳しい回答ありがとうございます。あとは自分でちょこっと調べてみようと思ったのですが、優しさに甘えて。おわかりのように英文なんです。電位配位子前後の文章を載せてみますね。 Recently we demonstrated that, contrary to expectation, organosilicon compounds easily form between silicate anions and aliphatic carbohydrate molecules in aqueous alkaline solution, provided that the carbohydrate molecules contain at least four adjacent hydroxy groups,with two in threo configuration. Extracellular matter, cell membranes, bio-fluids and soil solutions are generally rich in such [potential ligands]. 長文ですみません。文章自体の訳が上手にできていないので、余計にわからないのかもしれませんね。[]は私がつけたものです。 お手数をおかけしますがよろしくお願いします。無理ならお気持ちだけで結構です。