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電気化学における様々な電位の関連性
- 電気化学初学者が質問する電極電位、平衡電位、標準電極電位、自然電位、腐食電位、混成電位、開回路電位などの関連性について解説してください。
- 電極電位は自然電位や腐食電位を示し、平衡状態で電流は流れていないと考えられます。混成電位は1つの電極上で複数の反応が起こる場合における電位であり、反応が平衡状態であれば電流は流れていないと考えられます。
- 開回路電位はポテンショスタットによる測定で最初に計られる自然電位であり、自然電位と腐食電位は同じ意味で使用されることがあります。自然電位は腐食する時の電位であり、内部の交換電流によって腐食が進行します。
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> 電池回路の場合は開路電位と腐食電位は全く異なるってことですね。 いや,電池とかに限った話ではなく,概念が違うものなんですが. > 例えばp.statなどでアノード分極を実施する際、本測定の前に自然電位を測定するんですけど、この場合、その自然電位が開路電位であり、同時に作用極金属の腐食電位でもあるのか?ということです。 その自然電位の状態で腐食反応が進行するなら,それは腐食電位でしょう.そして,まあ,開路電位といえばいえます.ただし,通常は開路電位というのは,相手方との間でショートすれば電流が流れ,というような状況が想定されるているわけですが,腐食のように本質的にアノードとカソードが内在していて,それとは別個の参照極と間で (電流を流さずに) 測定する電位をわざわざ「開路電位」などと呼ぶ意味がありません.意味的にはこれはやはり自然電位と呼ぶべきでしょう.
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- c80s3xxx
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まず,腐食電位というのを勘違いしてるとしか思えないのですが. 腐食反応が起こっているときというのは,アノードとカソードが短絡状態にあり,つまりアノードの電位とカソードの電位が一致しています.このときの電位を腐食電位というわけです. 腐食電位を計るには,適当な参照極に対して電位測定をすればいいわけですが,系は当然平衡状態にありません.電位計測系には電流が流れませんが,それは流れないように計っているからにすぎません.というか,対外の電位測定は,電位測定系に電流を流さないように測ります.そのことと,系に正味の電流が流れているかどうかとは別の話です. アノードとカソードが同一の金属上に形成されている場合,腐食する金属自体が外部回路になっているわけで,このきにはその中を流れる電流は測定できません.しかし,流れているのです.これは平衡状態において交換電流があるが,正味の電荷移動量が釣り合っていて流れないように見えるのとは意味が違います. 腐食モデルではアノードとカソードを巨視的に分離したモデル系を作り,外部回路を流れる短絡電流を計るようにすることが原理的には可能です.それによって腐食電流を実測できます. つまり,ダニエル電池の場合,開路電位は腐食電位でも何でもありません.ショート状態で両極のもつ電位を,基準極から見た電位が腐食電位に相当します.
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再度の回答ありがとうございます! >まず,腐食電位というのを勘違いしてるとしか思えないのですが. おっしゃる通りです。勘違い というか、モトモトあんまりよくわかってないです(腐食電位に限らず)。しかし、おかげさまでぼんやりとした輪郭が私の中でできつつあります! そこで申し訳ないですが、またまた確認させてください。 腐食電位は、定義的に腐食電位≠平衡電位ってことですね。 >ダニエル電池の場合,開路電位は腐食電位でも何でもありません.ショート状態で両極のもつ電位を,基準極から見た電位が腐食電位に相当します. 回答ありがとうございます!電池回路の場合は開路電位と腐食電位は全く異なるってことですね。 ただ私がお聞きしたかったのは、例えばp.statなどでアノード分極を実施する際、本測定の前に自然電位を測定するんですけど、この場合、その自然電位が開路電位であり、同時に作用極金属の腐食電位でもあるのか?ということです。 恐縮ですがぜひ教えてください!
- c80s3xxx
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> a)(3)~(7)はそれぞれ平衡電位((2))の1つの形態であると考えてよろしいのでしょうか? だめです. > つまり電極電位が自然電位や腐食電位を示す場合、注目する電極上の反応は平衡状態にあり、回路には電流が流れていないと考えてよろしいのでしょうか? 外部回路の電流が流れないということは,平衡状態を示しているわけではありません.平衡状態とは,系に時間変化がないということです. > b)混成電位というのがよくわからないです。1つの電極上で複数の電気化学反応が起こっている場合の電位とありますが、複数にしろ単一にしろ反応が平衡状態であればそれは平衡電位ということで電流は流れていないと考えていいんでしょうか? 平衡であれば電流は流れません. 混成電位が現れているとき,系が平衡であることもあるし,そうでないこともあります.腐食反応がおこっているときのように,電流が流れていなくても,平衡でない場合はいくらでもあるわけです. > c)開回路電位というのもよくわからないです。文献によっては、"ポテンショスタットによる測定では最初に自然電位(開回路電位)を計ります。" 、という表現があります。自分には、自然電位=腐食電位という認識があったので、開回路電位=自然電位=腐食電位ということでいいんでしょうか?? 開路電位というのは,系が平衡であるかないか,そういうことは抜きにして,電極を通して外部との間で電荷のやりとりがおこらない状態で測定した電極電位,というだけです. 自然電位は,ある溶液に不活性電極をただ挿したときに,その電極が示す電位.状態的には,開路電位と同じ意味になります. > d)最後にもう一つ、自然電位の意味も実はよくわかってないです。"自然に腐食する時の電位で回路に電流が流れておらず、内部の交換電流のみ" みたいな説明があったと思うんですけど、交換電流の作用で腐食が進行するんでしょうか? 電気化学系は腐食系以外にもいろいろあるわけです.腐食反応でない系で腐食電位は考えようがないでしょう. 腐食反応は,微視的にはアノードとカソードが存在しているはずです.たとえば,単純な Evans の鉄腐食の電池モデルは酸素濃淡電池の形で,アノード部とカソード部が発生し,アノード部で腐食が進行するわけです.
補足
早速の回答ありがとうございます! 以下の項目を確認させてください。 >だめです。 つまり "(4)~(6)は平衡である時もあれば、そうでない時もあるから。平衡であれば外部回路に電流は流れないが、平衡でないときでも外部回路に電流が流れないことがある。それは例えば腐食反応が自然な状態で進行する時である。" ということでよろしいでしょうか? >自然電位は,ある溶液に不活性電極をただ挿したときに,その電極が示す電位.状態的には,開路電位と同じ意味になります. 系によって、例えば電池回路 (ダニエル電池とか) における(4)(5)(7)の相互の位置づけと、電気分解回路 (p.statとか?) における(4)(5)(7)の相互の位置づけが異なることはあるんでしょうか? ダニエル電池の分極図(縦軸:電位、横軸:電流)の説明では以下のように(7)と(5)を区別してます。 "電流値0(つまり電位軸上)において示されている電位は、開路電位(7)である。ダニエル電池回路の可変抵抗を徐々に小さくしていくと、アノード(亜鉛)・カソード(銅)のそれぞれで分極が進行し、アノード電位は貴の方向に、カソード電位は卑の方向になり、抵抗を非常に小さくし短絡状態にするとお互いの電位差がゼロになり電流値は最大となる。この電流最大の交点の電位を腐食電位(5)という。" しかしp.statとかで最初に測定される自然電位(4)は、回答者さんのおっしゃる通り状態的に開路電位(7)であり、この場合の開路電位(7)は作用極金属の腐食電位(5)でもある と理解していいんでしょうか?
お礼
回答ありがとうございます。 >電池とかに限った話ではなく,概念が違うものなんですが. >その自然電位の状態で腐食反応が進行するなら,それは腐食電位でしょう.そして,まあ,開路電位といえばいえます. 文献によってはこの辺をけっこうあいまいに表現してあるものもあって、それで私の中でかなり混乱してました。しかしおかげさまで、だいぶ整理できました! 長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。