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税効果の見直し
竹中教授のおっしゃる「銀行における税効果(繰延税金資産)のあり方の見直し」とはどういうものなのでしょうか。また、会計処理はどうなるのでしょうか。是非お教えください。
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税効果会計は、企業会計でいったん有税で損失を計上しても将来にそれが無税扱いとなって税金が軽減されることが予定されるものについては、決算で法人税等の引当を減額することができ、この制度がなかった場合に比べると、決算上の税引後利益を大きくすることができます。 銀行が計上する、いわゆる不良債権処理のための貸倒引当金は相当部分が有税で引当てていますが、これらについても税効果会計によって、決算上の当期利益を悪化させなくて済むことになります。 これによって減額される税金引当(法人税等調整額)の相手勘定は繰延税金資産となります。 銀行は自己資本比率を一定水準に維持するように規制されており、そのためには利益をあげて自己資本を減らさないようにしなければなりません。 しかし、多額の不良債権をできるだけ早期に償却しなければいけないという実情がある一方で、その引当ては、決算利益を圧迫し自己資本を縮小させることになります。 したがって、税効果会計による税金引当ての減額は償却額がそのまま自己資本を減少させずに済んでいるという面があります。 ご質問の件は、政府で検討されている「金融再生プログラム」の中で、この「繰延税金資産」を「自己資本比率規制における取扱いについては、その資産性を厳正に評価する」としているもので、そのまま単純に厳しくされた場合には銀行の自己資本比率の算定に大きく影響することになります。 この問題は貸倒引当に関する法人税制とも密接な関連があり、そのことと合わせて今後検討していくことになっているようです。
お礼
大変わかりやすいご説明、誠に有難うございました。