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ホーキングの虚時間と物理法則
ホーキングの提唱する虚時間に関する話を読んでちょっと思ったのですが、時間を変数とする普通の物理公式に実数の代わりに複素数の形をとる時間を適用すると、その公式に新しい意味が出てくるというような例はないのでしょうか。
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物理学では、ホーギングばかりでなく昔から多くの方々によって時間の複素数的側面が論じられています。良く知られた例では、量子力学の時間の発展演算子 exp[-iHt] の時間を t=iβ と置き換えると、 exp[-βH] となり、この式は 実数β=1/kT として温度Tにおける統計力学の正準平衡状態を表すことになります。 他の例では、古典力学で時間の関数として解を表したとき、その時間を複素平面に解析接続して複素平面でのその関数の特異性(すなわち極を持つか、分岐点などの真性特異点を持つか等)を調べることに依って、運動方程式が解けたり、カオス的振る舞いをするかどうかが判ったりします。この方法は19世紀にコワルスカヤという女性が回転するコマの運動方程式を解く時に見付けた方法です。彼女はそれによって、運動方程式が完全に解ける特別な形のコマを見付けました。それはコワルスカヤのコマと呼ばれています。この例は貴方の質問のように公式に新しい意味が出て来た訳ではありませんが、時間を複素数を考えると出て来た方法論としての新しい側面です。 また、時間を直接複素数に解析接続するのではなくて、時間に共役な量を考えて、それを複素平面に解析接続すると言う考え方もあります。その立場で時間の発展を論じるのがラプラス変換です。
お礼
大変ためになるご説明をいただき、もうすこしきちんと勉強してみたいと思いました。どうもありがとうございました。