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シナプスの可塑性がもつ可能性について
大学のレポートで「シナプスの可塑性が持つ可能性について論ぜよ」と課題が出たのですが、シナプスの可塑性は分かりますがそれによる可能性についてがわかりません。 可塑性が起こることによってどういうことがあるのか、可能性とはどういうことかを含めて誰か説明してください><!! すいません↓分かりにくい文章で・・・
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20歳、医学生です。 シナプス可塑性の代表的な例として、長期増強(LTP)と長期抑圧(LTD)について述べます。LTPは脳の記憶装置の重要な部分である海馬で最も顕著に起こります。海馬損傷による人の臨床症状では陳述記憶が障害されます。このことからLTPは海馬における陳述記憶の形成に関与していることが示唆されます。実際ラットの海馬の出力細胞であるCA1の錐体細胞において、NMDA受容体の遮断またはLTP誘導に必須の機能分子のノックアウトによりLTPを障害させるという実験が行われています。この結果ラットの空間学習つまり人における陳述記憶が障害されました。 一方、LTDは運動の学習に必須である小脳で有名です。例えばテニスの運動などを行う場合、最初のうちは動作の一つ一つを意識して行わねばならず、また無駄な動きも多い。しかし練習を重ねるにつれて、動作は特に意識せずとも、スムーズで半自動的に行うことが出来るようになります。この学習過程において小脳におけるLTDが関与しているという仮説があります。すなわち運動の結果に誤りがあるとそれを誤差信号として登上線維(下オリーブから小脳への入力線維)が小脳のプルキンエ細胞へ伝え、誤りを発生させた平行線維(末梢における筋緊張や平衡覚などからの入力線維)-プルキンエ細胞シナプス伝達を抑制する。つまり誤った動作がなされるとそれを小脳に伝え、その動作を行わせたシナプス伝達を抑制するのです。これを繰り返すことにより、次第に正しい働きをするシナプスのみが残存するようになるという仮説です。動物実験的にはもっと単純な系である前庭動眼反射の適応、瞬目反射の条件付けにおいて小脳のLTDが重要であることが証明されています。
- ruehas
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こんにちは。 #1です。回答をお読み頂きありがとうございます。 なるほど、では質問者さんが受講しておられるのは科学哲学や人文科学ではなく、一般に理系の生物学・生理学の講義ということですね。 >たぶん授業の感じからは「シナプスの可塑性によっておこる可能性」という意味ではないかと思います。 「シナプスの可塑性」によって我々の脳内に何が実現するのかといいますと、これは「学習」ですよね。 「可塑性」とは発生した変化が元に戻らず固定されるということです。我々の神経系における記憶回路といいますのは、その全てが新たに形成されるシナプスの「接合と強化」によるものであり、これがシナプスの可塑性という性質によって固定・保持されることにより再生の可能な「学習記憶」や「条件反射」となります。 このように、シナプスの可塑性によって起るのは「生後情報に基づく学習」です。では、その利点とはいったい何でしょうか。 >可塑性によって起こる利点などを述べることが正しいのかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか?? 「利点を述べよ」ということでありますならば、この場合「利点」とは「生物学的利益」と解釈するのが適切だと思います。 「シナプス可塑性そのもののメリット」とは、それが元に戻らないために獲得した情報が記憶回路として固定されるということです。ですが、我々の脳内には何故シナプス可塑性というそんな便利な機能があるのかと問うならば、それはどうして心臓がちゃんと動くようになっているのかと同じことではないでしょうか。ならば、ここで「生物学的利益」とは、我々の脳は獲得・保持された情報を再生して再び利用することができるということです。そして、その最大のメリットとは、シナプス可塑性によって固定・再生することのできるのは「遺伝情報ではなく」、それは生後体験に基づいて獲得される「全てが後天的な学習情報である」ということです。 聞くところによりますと、外国ではこのような問題を科学哲学的に解釈するという試みも成されているようです。ですが、これはまだ海の物とも山の物ともありませんので、日本の理系の大学でこのような講座が開設されていることはまずないと想像します。では、質問者さんのお持ちの教科書に「シナプス可塑性の可能性」というものに就いて何らかの定義が示されていないということでありますならば、やはり「可能性とは蓋然性の反意語」と解釈する以外にないのではないかと思います。 レポートの提出期限もありますから頭も痛いでしょうが、私にはこれ以外にはどうにも思い当たりません(ゴメンなさい)。
- ruehas
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こんにちは。 そうですね、この設問の文章だけで解釈をしますならば、 それは「シナプス接合の働きにおける蓋然性以外を論ぜよ」 ということになるのではないかと思います。 ここで何故、敢えて「可能性」などという言葉が用いられるのか、その意図は良く分かりませんが、これは国語の宿題ではありませんから、課題が実際に何を要求しているのかは飽くまで質問者さんが受講しておられる講義の内容によってご判断を頂く必要があります。 生物の生体機能といいますのは、そのほとんどが遺伝情報として定められた「蓋然性」によって成立します。ですから、我々動物の細胞は遺伝情報に基づいて作られるわけですから、神経細胞におけるシナプス接合もまたこれに従って接続され、生得的に要求される機能はきちんと果たせなければなりません。 では、「蓋然性」というのが我々の生体機能における「先天的な情報」として存在するならば、「可能性」とは生後環境から獲得される「後天的な情報」に対応するものということになります。 例えばですね、植物が太陽に向かって枝葉を伸ばすのは「蓋然性」です。ですが、自分に与えられた環境ではどちらが南側になるかによってその「可能性」が活用されます。ですから、ここで「可能性」という言葉が国語辞典の通りに使われているのだとしますならば、「シナプス可塑性の可能性」とは、それは「生後環境から獲得される神経系の後天的な機能」ということになると思います。 とは言いましても少々確信が持てませんので、念のためここで「可能性」という言葉の解釈をもう少し拡大しますならば、それは学習行動とは我々動物が生後環境に適応するための「可能性の探索」と捉えることもできます。ですが、もし課題がそれを要求しているということでありますならば、これはどちらかと言いますと科学哲学や人文科学の色彩が濃くなるような気がします。 では、これを純粋に生物学的な立場で捉えますと、それは「学習行動におけるシナプス可塑性の役割」ということになるのではないでしょうか。ならば、果たしてこの課題でこれを論ずるということでありますならば、それはシナプス接合の働きにおける蓋然性と可能性を弁別した上で、これに基づき「シナプス可塑性の持つ生物学的な意義・役割を検証する」といったところまでが含まれることになるのではないかと思います。 何れにしましてもこの設問文だけでは課題の意図を絞り込むことはできませんので、飽くまで参考とし、質問者さんが普段受けておられる講義の内容と照らし合わせてご判断下さいませ。
お礼
早速の回答ありがとうございました!! たぶん授業の感じからは「シナプスの可塑性によっておこる可能性」という意味ではないかと思います。 可塑性によって起こる利点などを述べることが正しいのかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか??