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弱酸と弱塩基からなる塩の水溶液の液性
弱酸と弱塩基からなる塩の水溶液の液性はどのようにして調べられますか? 強酸(強塩基)と弱塩基(弱酸)からなる塩の場合、 例えばNH4Clであれば、水溶液中で電離し、 NH4Cl → NH4^+ + Cl^- さらにNH4^+が加水分解し、 NH4^+ + H2O ⇔ NH3 + H3O^+ となって酸性であることがわかります。 しかし、弱酸と弱塩基からなる塩の場合、 例えば、CH3COONH4であれば、水溶液中で電離し、 CH3COONH4 → CH3COO^- + NH4^+ 両方がさらに加水分解し、 CH3COO^- + H2O ⇔ CH3COOH + OH^- NH4^+ + H2O ⇔ NH3 + H3O^+ となり、平衡式が2つ出てきてしまうため、 どのように考えればいいのかがわかりません。 いくつかの文献やウェブサイトを見たのですが、 CH3COONH4は中性であるとしか書いてなく、なぜそうなるのかがわかりません。 また、(NH4)C2O4も同じく弱酸と弱塩基によってできていますが、 こちらは酸性になるとありました。 同様になぜそうなるのかが書いてありませんでした。 どのように考えればいいのでしょうか。 上の2つを例に詳しく説明していただけると嬉しいです。 よろしくお願いします。
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基本的な部分の理解は完璧だと思います. 最後の2次方程式もそれであっていると思います. c が消えるのは,それでいいのです.つまり,チャージバランスを簡略化したときに使った,c があまり低くなく,電荷総量に寄与する荷電種として水素イオンや水酸化物イオンを無視できるとした近似が成立する範囲においては,濃度にほとんど依存しない pH になるということです.これは酢酸アンモニウムの時も同じでした. ここまでできたのですから,ほんとうはシュウ酸の第1解離も考慮したうえで,チャージバランスにも近似を使わないで徹底的に厳密な計算にも挑戦してみてほしいところですね.結果は [H+] についての5次方程式になるはずで,数値解で値を求めるということになるのですが.ここまで一度経験すれば,弱酸弱塩基に関する計算問題はほぼ怖いものなしです.まあ,今のレベルでも,もう当分困ることはないでしょう.ついでにいうと,やってみてわかったと思いますが,こういう計算は,内容はそれほど難しいわけではないのにけっこうめんどくさいので,ちゃんとやったことのある人は意外に限られています.またマスバランスにしてもチャージバランスにしても,今後いろんな局面で登場し,それを使って考えることが出てきます.しかし,基本概念が確立し,それを使った計算で頭を捻ったことが一度あれば,たいがいの場合については対応できると思います. お疲れ様.
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- c80s3xxx
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がんばっていますね. > Ka1*Kab = [H+]^2 * [NH3][A(2-)]/[NH4+][HA-] > と考えたのですが、 ここまでは正解です. > [A(2-)]=[NH4+]はどこから導けばいいのでしょうか。 これは導けません.こうならないからです. ここから先は,酢酸アンモニウムのようには簡単にはいかないのです. 他の式との連立をじっくり考えると,[H+] についての2次方程式に持っていくことができます.それを解の公式を使って解く,ということになります. 繁分数式を正確に処理しないと変形できないので,注意力が重要です. せっかくここまで考えたのですから,ぜひ最後までじっくり考え抜いてください.
お礼
ありがとうございました。 計算した結果、cが消えてしまったのですが、 これはあっているのでしょうか… 計算過程 Ka2,Kabの式からc,2cの式を[NH3]と[HA-]と定数だけで表した。 チャージバランスとマスバランスの連立により[NH3]=[HA-]、 c,2cの式で[NH3]=[HA-]から代入法で消去し、定数だけにした。 (1/Kab)[H+]^2 - [H+] - 2Ka2 = 0
補足
ありがとうございました。 条件というのは次の5式のみで大丈夫ですか? Ka2 = [H+][A(2-)] / [HA-] Kab = [H+][NH3] / [NH4+] [A(2-)] + [HA^-] = c [NH4+] + [NH3] = 2c [NH4+] = [HA-] + 2[A2-]
- htms42
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http://oshiete1.goo.ne.jp/qa3591298.html に 「化学便覧 基礎編 改訂5版(丸善)によると、酢酸の pKa は 4.76 (25℃,無限希釈溶液) 4.57 (25℃,0.10 mol/L) とのことです。」 という回答があります。 理化学辞典は4.57という数字を載せています。 理科年表は4.76のようです。
- c80s3xxx
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>> Kaa = 10^(-4.8),Kab = 10^(-9.2) とすれば > 手持ちの資料集と値が違うのですが、 > 「とすれば」というのは例ということですか? 解離定数の値は出典によってある程度の差があります. たとえば,10^(-4.8) は pKa = -logKa が 4.76 程度の値が載っていることが多いことから,これを丸めて 4.8 としました.あなたの資料の 2.75×10^-5 という値は,pKa にすれば 4.56 になりますが,まあ,このくらいの値が載っている本もありますね.これらの値の差が,大元の文献の実験条件の違いなのか,それとも孫引きを重ねるうちに間違いが発生したのか,私にはわかりませんが. > そもそもマスバランスとチャージバランスは、 > それぞれどんな内容を指しているのでしょうか。 これは化学の大変に重要かつ基本的な項目なのですが. マスバランスは物質均衡とかともいいますが,要するに物質不滅ということです.1mol の酢酸を水に溶かして,一部が酢酸イオンになる.どれだけ酢酸イオンになるかは条件にもよるが,酢酸イオンになった分と,ならずにそのまま分子態で溶けているものとの総和は,最初に入れた量と一致していなくてはならない.消えるわけではないから.と,こういうことを式にしているだけです.酢酸アンモニウムを 0.1 mol/L で溶かしたなら,酢酸イオンがどれだけ,加水分解でできた酢酸がどれだけ,というのはすぐにはわからないかもしれませんが,酢酸イオンと酢酸の濃度の合計は 0.1 でなくてはならないわけです. チャージバランスは,電荷均衡,あるいは電気的中性条件といってもいいでしょう.陽イオンと陰イオンの電荷は,溶液全体としては釣り合っていなくてはならないということです. > シュウ酸アンモニウムについて 面倒なので,シュウ酸を H2A とします. シュウ酸の1段目の電離平衡 H2A <=> HA- + H+ 解離定数 Ka1 = [H+][HA-]/[H2A] シュウ酸の2段目の電離平衡 HA- <=> A(2-) + H+ 解離定数 Ka2 = [H+][A(2-)]/[HA-] アンモニウムイオンの電離平衡 NH4+ <=> NH3 + H+ 解離定数 Kab = [H+][NH3]/[NH4+] なお,アンモニウムイオンの(酸)解離定数 Kab とアンモニアの塩基解離定数 Kbb [OH-][NH4+]/[NH3] との間には,Kab×Kbb = Kw(水のイオン積) という関係があることにも注意.アンモニアのような弱塩基の解離定数を議論するときは,それがどういう定義のどういう解離定数なのかを明示しないとあとで自分が混乱します. 平衡に関してはほかに水のイオン積 Kw = [H+][OH-] もあります. 重要なのは,これらの Ka1,Ka2,Kab (Kbb),Kw は今考えている範囲内では一定の値をもっており,条件によって変動することもないとするということです.それが「平衡定数」というものの意味だからです. マスバランスは前述のような概念ですから溶かしたシュウ酸アンモニウムの全濃度を c とすれば, c = [A(2-)] + [HA-] + [H2A] 2c = [NH4+] + [NH3] チャージバランスは, [H+] + [NH4] = [OH-] + [HA-] + 2[A(2-)] これらを連立させます.ただし,これを解くのはかなり大変ですけどね. 近似的に解くには,シュウ酸の1段目の解離定数は他に比べて十分に大きいとして,H2A に関する平衡を無視すると少し簡単になります.この場合は酢酸アンモニウムと似たような取り扱いにもっていけるはずです.
お礼
マスバランス、チャージバランスについてなるほどと思いました。 分かりやすい説明ありがとうございました。 シュウ酸アンモニウムについては不安ですが、がんばってみます。 もし解けなかったときは、よろしくお願いします。
補足
マスバランスから 2{ [A(2-)] + [HA-]} = [NH4+] + [NH3] チャージバランスを酢酸アンモニウムと同じように近似し [NH4+] = [HA-] + 2[A(2-)] 上から下を引いて、[HA-] = [NH3] Ka1*Kab = [H+]^2 * [NH3][A(2-)]/[NH4+][HA-] と考えたのですが、[A(2-)]=[NH4+]はどこから導けばいいのでしょうか。 アドバイスをくださると嬉しいです。
- htms42
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#3です。 >酢酸の電離定数は2.75*10^(-5)、 >アンモニアの電離定数は1.74*10^(-5)とあったのですが、 >これは「ほぼ同じ」と見てもいいのですか? 2倍の違いもありませんね。10倍違っても [H+]≒3×10^(-7) です。 #2の中の式を使わせてもらいます。 [H+] = √(Kaa×Kab) となります. このKaaはCH3COOHの酸解離定数です。 KabはNH4+の酸解離定数です。NH3の塩基としての解離定数 KbbとはKab=Kw/Kbbの関係にあります。 代入すると [H+]=√(Kaa/Kbb)・√Kw =√(Kaa/Kbb)×10^(-7) です。 KaaとKbbが同じオーダーであればいくらか違っていても √(Kaa/Kbb)~1です。 [H+]~10^(-7)です。前につく数字は1~2程度でしょう。 これは中性と言っていいものです。 今示されている数字でしたら √(2.75/1.74)≒√1.58≒1.26です。
お礼
ありがとうございました。 >KbbとはKab=Kw/Kbbの関係にあります。 検索してもNH3の解離定数しかわからず困っていましたが、 そういう関係になっていたんですか。 酢酸アンモニウムに関して納得できました。
- htms42
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強い酸というと普通でてくるのは塩酸、硫酸、硝酸ですね。よく使う濃度での電離度はどれもほぼ1に等しいです。でも弱いというといくらでも程度の違いがあります。電離度で言うと0.1,0.01.0.001、・・・。 強い塩基での場合も同じです。強いとされているのはNaOH, Ca(OH)2のグループだけです。周期表のアルカリ金属、アルカリ土類金属の元素合計10個の水酸化物です。水によく溶ける金属の水酸化物はこれだけです。水に溶けないと弱い塩基になります。 酢酸は電離度が0.01程度です。アンモニアは塩基ですが酢酸と電離度はほぼ同じです(解離定数もほとんど同じです)。酢酸アンモニウムはほぼ中性です。酢酸以外の酸との組み合わせだと中性ではなくなるかもしれません。酢酸よりも強い酸か弱い酸かで判断できます。でも弱いもの同士で少しずれてもやはり弱いのです。中性からわずかにどちらかにずれることになります。このずれは高校であまり問題にしていない大きさです。リトマス試験紙では分からない場合が多いでしょう。「ほぼ中性」でいいのではないでしょうか。 弱酸といっても酢酸と塩酸の間にある強さの場合もあります。シュウ酸はこの場合の例です。亜硫酸アンモニウムでも当てはまるでしょう。塩の液性は少し酸性です。 炭酸のように酢酸よりも弱ければ中性に近いところでずれるでしょう。炭酸ナトリウムよりも炭酸アンモニウムが中性に近いということは分かりますよね。炭酸水素ナトリウムがフェノールフタレインの発色の限界付近にあるということで言うと炭酸水素アンモニウムではフェノールフタレインはもう発色しないかもしれません。フェノールフタレインを発色させたアンモニア水に息を吹き込んでいくと色が消えてしまうだろうと思います。
お礼
ありがとうございました。 酢酸の電離定数は2.75*10^(-5)、 アンモニアの電離定数は1.74*10^(-5)とあったのですが、 これは「ほぼ同じ」と見てもいいのですか?
補足
教えてくださったとおり、 計算したらシュウ酸アンモニウムもほんの少し酸性になりました。 ありがとうございました。
- c80s3xxx
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この問題の理解のためには,感覚に頼っていてはだめです.きちんと数式を使って計算する経験が重要です. 酢酸アンモニウムの場合. 酢酸の解離平衡 CH3COOH <=> CH3COO(-) + H+ 解離定数 Kaa=[H+][CH3COO(-)]/[CH3COOH] アンモウムイオンの解離平衡 NH4+ <=> NH3 + H+ 解離定数 Kab=[H+][NH3]/[NH4+] 水の電離平衡 H2O <=> H+ + OH- 水のイオン積 Kw=[H+][OH-] マスバランス [CH3COO(-)] + [CH3COOH] = [NH4+] + [NH3] = 全濃度 チャージバランス [CH3COO(-)] + [OH-] = [NH4+] + [H+] これらの式を連立させます.変数は6個,式も6個 (マスバランスの式が正味二つ分) なので,任意の変数について解くことができます. まじめにやると大変なので,少し近似をいれて簡単に解いてみましょう. まず,酢酸アンモニウムの濃度を c として,これはあまり低くない,0.1 mol/L とかだとします.すると,CH3COO(-) や NH4+ は H+ や OH- よりはかなり大きいはずということで,チャージバランスは実質的に [CH3COO(-)] = [NH4+] ... (1) これとマスバランスの式を見比べると [CH3COOH] = [NH3] ...(2) がいえます. 解離平衡の式から, Kaa×Kab = [H+]^2[CH3COO(-)][NH3]/{[CH3COOH][NH4+]} ...(3) これに (1) (2) を代入すると結局, Kaa×Kab = [H+]^2 つまり [H+] = √(Kaa×Kab) となります. Kaa = 10^(-4.8),Kab = 10^(-9.2) とすれば,Kaa×Kab = 10^(-14.0) であり,[H+] = 10^(-7.0),すなわち pH = 7.0 となることが導けます. 同様のことをシュウ酸アンモニウムでも考えることです.ただし,こちらは2塩基酸が出てくるので,計算とかはかなり頭をひねる必要があります.
お礼
ありがとうございました。 >Kaa = 10^(-4.8),Kab = 10^(-9.2) とすれば 手持ちの資料集と値が違うのですが、 「とすれば」というのは例ということですか?
補足
>かなり頭をひねる必要があります 頭をあまりひねる必要の無いCH3COONH4ですら分からなかった私ですが、 c80s3xxxさんの回答を参考に考えたのですが全く理解できません。 そもそもマスバランスとチャージバランスは、 それぞれどんな内容を指しているのでしょうか。 シュウ酸アンモニウムについても計算式を途中まででも教えていただけないでしょうか。 よろしくお願いします。
誤解を解くため一言。 >(NH4)C2O4も同じく弱酸と弱塩基によってできていますが、 これは分子式が間違っています。多分シュウ酸アンモニウム>(NH4)2C2O4だと思います。 シュウ酸のpKa1は1.2とかなりの強酸、pKa2は4.2で弱酸です。この辺に鍵がありそうです。
補足
すみません、投稿したあとに気づきました。 doc_sundayさんの仰る通り、(NH4)2C2O4でした。 ご指摘ありがとうございました。
補足
ありがとうございました。 冬期休暇中に時間が空いたら、 近似しない場合のものを考えてみるので、 もしよかったら添削をお願いします。