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アイスランド語 奇態格について
主語あるいは目的語の位置に斜格が入る奇態格現象を、よくアイスランド語を例にして説明されているのを見るのですが(というかアイスランド語以外の言語での説明を見たことが無い)、日本語の文の「私には空を飛ぶことができない」や「私は彼に従った」を見ると前者の「私には」は与格主語であり、後者の「彼に」は与格目的語であるように思えます。これも奇態格とみなしてもいいのでしょうか 私はアイスランド語はもちろん日本語文法も素人です。分かりやすく教えていただけるととても嬉しいです
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日本語学は素人なのですが、「は」は主格ではなくて「トピック」と言われます。「私には空を飛ぶことはできない」を無理やり英語に置き換えると as for me, as for flying in the sky, (it) is impossible. 私に関しては、空を飛ぶことに関しては、不可能である = I cannot fly in the sky. / It is impossible for me to fly in the sky. 「彼に従う」ですが日本語学で「○に」を目的語とみなすかどうかは分かりません(つまり「○を」だけを目的語とみなすかどうかです)。 follow him において him は対格とみなされますが、ドイツ語や古英語では与格を支配します。 Ich folge ihm. Ic folge him. それぞれ対格は ihn, hine いずれにせよ印欧系と日本語は同じに語れないと思います。 アイスランド語の奇態格ですがこのような例ですか Mig langar i safa. 私はジュースがほしい(ジュースを望む)。 I want (some) juice. mig は eg(私)の対格、i は前置詞、 safa も対格です。動詞は langar ですがこれは三人称単数現在です。 確かに主格がなく奇妙に見えますが、英語や「望む」との比較であり(「ほしい」も英語などの観点からは「奇妙」な構文です)、SVO ないしは SOV に慣らされているからそう感じるとも言えます。 「ジュースという点において、私をほしい気分にさせている」と考えることも可能であり、 langa(langar の不定詞)という動詞は「非人称動詞」とみなせます。英語でも同じ語源の long(切望する)が現代のように I long... となる以前は Me longeth... とアイスランド語とほとんど同じ構文で使われていました。 印欧系言語ではこのような「主語を持たないあるいは形式的な主語(三人称単数中性)を立てる」非人称表現は時代を下るにつれ減る傾向があります。フランス語やドイツ語には英語に比べれば非人称表現が残っていますが、中世以前にはもっと多くあったようです。 アイスランド語が引き合いに出されるのは、この言語が古典期からほとんど姿を変えていないため非人称表現が多く残っているからだと思われます。 話を戻すと、アイスランド語は古い形態を多く残しているため、現代の言語から見れば「奇態格」と見える現象が多くあるだけであり、またヨーロッパの言語であるがゆえ引き合いに出しやすいのでしょう(格以外にも奇妙な構文がいくつかあります)。見たこともない文字で書かれるマイナーな言語は例としても出しにくいと思います。 参考までに カフカズ地方に「グルジヤ語」という言語があります。これは 現在形:主語は「主格」、直接目的語は「与格」 完了形:主語は「与格」、直接目的語は「主格」 という奇怪な構造をとります。もっともグルジヤ語としてはそれなりの理屈があるはずですが外国人にとってはこれこそ「奇態格」の極みでしょう。
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- trgovec
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訂正 Mer likar thadh.です。アイスランド語の人称語尾は何通りもあるので間違えました。
- trgovec
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(edh = dh, thorn = th アクセント記号省略とします) like や lika の場合、倒置と考えることができます。 Me licath hit. Mer likadh thadth. では like は「~の気に入る」という意味と考えるとすんなり行きます。スペイン語でも Me gusta(n) ~. という形があり動詞は意味上の目的語に一致させます。語族の壁を越えて同じような発想があるのでしょう。 アイスランド語では今は lika はあまり使わないのでしょうか。オンラインの辞書で like を入れても lika が出てきません。ゲルマン系でもオランダ語の文語で dat lijkt me niet. = that pleases me not = I do not like that. のような言い方があるのみで普通は Ik hou' van dat. のような句動詞が使われます。 methinks これの背景には2つの think の融合があります。 「思う」という意味の thencan と「思われる」という意味の thyncan という2つがあり、thyncan は me thyncath のように非人称で使われていました。しかしこれらの動詞は発音の変化の結果 think(en) と同じになってしまいまた I thinke Me thinketh のどちらでも大きな意味の差はないことから形の自然な人称動詞の方が優勢になっていったのです。 これと同類の動詞はドイツ語の duenken オランダ語の dunken があり Es duenkt mir, dass... Mij dunkt, dat... のように使われますがオランダ語の方は「考える、意見をもっている」という意味のようです(ただし文語的)。
お礼
そうですね、このような斜格が主語の構文の場合、主題項は目的語になるので倒置と考えた方がわかりやすいですね。 ああ、likeって言語によって使用頻度にかなり幅がありますねぇ ・・・なんて思ってしまうのはやっぱり英語中心で言語を比較してるからですかねぇ methinksって2つの動詞から来てたんですか!? 勉強になります ということは例えばドイツ語はdenkenとは音による区別がはっきりとしていたため今でも融合せずに残っているということになるのですかね 面白いですね言語は 言い忘れていましたが回答ありがとうございました
お礼
おお、教えてgooって初めて使ったんですけど、回答つくの早いですね 「は」って主格じゃないんですか・・・?知らなかった・・・。う~ん、なんか変な感じ。 そうですねぇ、格の変化の仕方が根本的に違うのでやっぱりこういうことは考えない方がいいんですかね ・I like it は古英語では ・me licað meは与格 アイスランド語では多分 ・Mér líkar það でMérが与格 methinksはme ðincðが残った形ですね。なぜこれが今の英語ではほとんど無くなったのか興味がでてきたのでこの辺はもっと勉強してきます アイスランド語がまるで言語の中の例外的な扱いをされますが、昔の言語の特徴を濃く残しているだけなんですね しかし現代英語に慣れるといくら言語的に近いと言われる言語でもなかなか理解するのが難しいです・・・。まぁもっと勉強しろよという話なんですが。 >「グルジヤ語」 なんですかこれ・・・? 確かに奇態格のきわみと言ってもいいかもしれないですね・・・
補足
ああ・・・・・・ごめんなさい・・・・・・ ・I like it は古英語では ・me lica% meは与格 アイスランド語では多分 ・M'er l'ikar #a% でMérが与格 methinksはme %inc% %はthorn #はeth