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13C NMRの積分比について
通常、13C NMRの積分比は、単純にモル比にならないと思います。この積分比を、モル比として比較できるようにするには、どう測定したらよいのでしょう?。緩和時間を60秒等まで増やすのでしょうか?そうすると10000回積算でも一週間ぐらいかかってしまいますが、そういうものなのでしょうか?
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単純に緩和時間を延ばすだけではダメだと思いますよ。 これは13Cに限らず、デカップラーを使っているNMRでは避けられない問題ですが・・・ 質問者さんもご存じだと思いますが、プロトンを照射すると分極移動が起こります。 プロトンが置換されている炭素原子の共鳴は強まりますが、4級炭素ではその効果はありませんよね。 ですので、単純に緩和時間を延ばすだけではだめで、プロトン照射を切る必要があるかと思います。 ・・・ちょっと大変ですが、十分な濃度・磁場・積算時間が得られるなら可能な実験でしょう。 実際、31Pのように共鳴が強い核種(それでもプロトンの数%しかないが)なら、ピーク強度比から意味のあるデータを得ることはそんなに難しくありません。300-400MHz程度の磁場があれば、数分で可能な実験です。特別に濃いサンプルも必要ではありません。 13Cだと、31Pの数分の一に感度は低下します。しかし濃度を稼げば可能な実験だと思います。 また、ほぼ同じ環境下にある13Cなら、同程度の共鳴信号を与えるはずですので、そうした場合ならカップリングを切らずに、ある程度まで意味のある積分比を得られると思いますよ。メチル基同士を比較するとか、そういう場合です。それで論文のレフェリーに文句言われずにすむかどうかまでは責任もてませんが・・・ これも昔の同僚の話で、しかも31Pの話なので参考までにですが、通常の31PNMR(デカップラー起動)で、化学種間の存在比を見ていましたが、問題なく論文は通りました。 一度、簡単なサンプルで、プロトンでの存在比と13Cで見積もった存在比を比べてみては。
お礼
丁寧な回答ありがとうございます。非常にためになりました。 とはいえ、現在のサンプルなんですが、濃度が100mMぐらいが限界ですので、デカップラーを切って測定となると、少々難しいかもしれないということですね。 一度色々試してみたいと思います。ありがとうございました。