んー・・まず、三国志といっても、あなたが読んだのは「三国志演義」ですね。
これは、陳寿の三国志を基にした「お話(フィクション)」です。明初あたりに誰か(基本的には羅貫中といわれているのですが、いまひとつ明らかではないです)が、それまで1000年くらいの間、民間で講談もの(講談師がする話のこと。講談師は、面白い話をして金をもらう職業ですね。昔の紙芝居屋みたいな代物です。もっとも、紙芝居は持っていませんけど)として改変されたり、潤色されたりしていた三国志の話をまとめて、小説にしたものです。
つまり、かなりの創作が含まれているほか、意図的に筆を曲げた部分も多数あります。
赤壁における連環の計も、フィクションの部類に入るほか(ちなみに、もうひとつの連環の計である呂布のエピソードも、貂蝉が架空の人物です。ただ、こちらは史書にも似たような男女関係が示唆されています)、10万本の矢のエピソードは、諸葛亮の行ったものではなく孫権が行ったものです。これは、主役系(つまり劉備陣営)に入る諸葛亮のすごさを増すために、筆を曲げて孫権からエピソードを奪ったわけです。
ただ、経緯などは変わっていないため、赤壁の戦いなど、多くの戦いは実際にありました。ただし潤色が多く、赤壁は特に多いです。
実際の赤壁は、ほとんど孫呉(当時はまだ皇帝なのっていないので、厳密には建国していないわけですが、面倒なので呉とします)だけが戦っているものであり、諸葛亮はほとんどかかわってきません。
また、正確に言うと・・・陳寿の三国志は非常に簡素でして、赤壁も、数行程度の文章しかありません。で、この正史三国志に、注をつけたのが裴松之という人で、こちらはいろいろな文章を引っ張ってきて、それがどういうものだったかを説明しています。
ただし、裴松之というのはどうも好き嫌いが激しく、中にはかなりひどい書き方をしていることが、特に人物伝に多いです(陸遜などがそれにあたります)。
まあ、どちらにしても、十八史略のほうは、陳寿と裴松之という、両人物が作り上げた「正史」を基にしていますから、史実に忠実なわけです。
で、あなたが読んだ三国志演義は、あくまで面白いものを目指しているので、フィクションがたっぷり入っているわけです。
まあ、2つの違いは、歴史書か、歴史小説か、といった違いですね。
機会がありましたら、正史三国志(日本語訳が文庫であります)を読んでみていただければと思います。
お礼
ありがとうございました。 諸葛亮が美化されていたのは、少しショックです。 正史三国志も読んでみようかと思います。