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セルフコントロールの実験において遅延時間をどう設定するか
- 卒論で行うセルフコントロールの実験において、遅延時間の設定方法について悩んでいます。
- 現在、並立連鎖スケジュールを使用し、第一リンクで独立のVI20秒、第二リンクでFT3秒の強化獲得時間を設定しています。
- 遅延中にはブラックアウト、動画提示、簡単なゲーム提示の3つの条件を用意し、各条件に3〜4セッションを設けたいと考えています。しかし、遅延時間をどのように設定すれば良いのかわかりません。
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まず「時間を短く感じるときに起こる」というのであれば,時間を短く感じているということを実証する必要性に迫られるでしょう。ただ,ヒトであれば回想的に聞くこともできますが,行動的に示すのは大変かもしれません。単純に考えれば,遅延時間が短い方が好まれるのですから,並立連鎖スケジュールの遅延中に動画とゲームを提示して,どちらに対応する選択肢を第一リンクで選ぶのかを見ればいいように思えます。しかし,これでは「時間が短いから選好された」のか,「遅延中の過ごし方自体が好まれた」のか判別できません。例えばゲームがよく選択された場合であっても,ゲームが動画より好まれるために,報酬を得られるまでの時間が延びても構わない(むしろ長い方がいい)という可能性があります。 「我慢するとか待つと言う行動が大きな報酬に繋がるということを学習する」ということは,大きな報酬のために待機状態であるということを知っている,つまり,大報酬の予約チケットを手に入れた状態と考えることができるかもしれません。遅延そのものが弁別刺激として働いている,とも言えます。したがって,元々は自己制御選択肢選択(選択→長い遅延→大きな報酬)vs衝動性選択肢(選択→短い遅延→小さな報酬)という関係であったものが,自己制御選択肢選択(選択→大きな報酬の予約チケット)vs衝動性選択肢(選択→小さな報酬の予約チケット)という関係に変わりますので,衝動性選択肢よりもむしろ自己制御選択肢が選ばれるようになると考えられます。このことを実証するためには,「待機中である」ことを明示的に示すということが考えられます。ハトであれば,ある選択肢をつついたら2色のライトのうちいずれかが点灯するという状態を想像して下さい。赤いランプがついたら「長遅延・大報酬」を,緑のランプなら「短遅延・小報酬」です。ヒトであれば,「○点Get:現在準備中」などの文言を提示する。文言を工夫したり「ごほうびシール」をあげたりすれば,子どもさんにも応用できそうですよね。 遅延を明確にすることで自己制御を促している例には,信号機の「待ち時間表示」などが該当するかもしれません。また,ちょっと趣が異なりますが,パチンコのCR機などにある「リーチ」なども一種このじゃないでしょうか。これらを勘案すれば,遅延中に少しずつ減っていくプログレスバー(あるいは秒数)と,それに伴って増えていく札束の絵を呈示する実験などは面白いかもしれません。…蛇足ですね。 さて,元々のご質問「遅延時間をどのぐらいの長さにすれば良いか」に立ち帰って考えますと,これは「遅延時間をどのような『機能』を持ったものであると考えているのかによる」ということになります。ご存知の通り,遅延時間というのは本来的に報酬と強く結びついており,主に罰の一種のように考えられています。だから,時間による価値割引が成り立つわけです。この視点で考えるならば,明示的な報酬(ポイント)と等価な遅延時間を測定して,これを当てはめることになるでしょう。例えば遅延時間1秒がマイナス1ポイントと等しいとします。すると,2ポイント+遅延5秒>4ポイント+遅延10秒となります(2-5>4-10)。しかし,遅延時間を過ごしている間にゲームをすると,遅延時間5秒がマイナス1ポイントになるなら,この関係が逆転します(2-1<4-2)。他のパターンは,字数の都合で克愛します。 今回のように,私はレスするのが遅いことがありますので,もしまだご質問が続くようであれば,この質問を締め切らないでくださいね。
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- Caryo_t
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お返事が遅くなってしまいました。#2,Caryo_tです。 なるほど,遅延時間中に何をするかによって,セルフコントロールの成功率が変わるかどうかを見るのですね。Grosch and Neuringer(1981)がハトでやったものが思い出されます。ハトって,本当につつくのが好きというか我慢できないというか,ペコペコペコペコつつきますよね。 閑話休題。では,本題の「遅延時間の設定をどうするか」ですが,これはセルフコントロールを制御するメカニズムをどのように考えているかによります。気持ちは痛いほどよくわかりますが,時間的な制約(≒実験者と参加者の負担)によって決めてはいけません。 セルフコントロールを制御するメカニズムとは,例えば「遅延時間中に気を紛らわせる(遅延時間ではなく課題に意識が向く)ほど時間が短く感じるため,セルフコントロールが成功する」というようなものです。このようなメカニズムを想定するならば,時間評価の問題,つまり,遅延を長いと感じるのか短いと感じるのかを扱うことになりますから,時間評価をダイレクトに操作できる手続きを作る必要があります。 (なお,時間知覚ではなく時間評価の問題としたのは,選択行動を形成する前段階として,遅延時間を「回顧」して評価すると考えられるからです。) 遅延にたいする時間評価であれば,充実時程錯覚に関する知見(http://www.rits.yamaguchi-u.ac.jp/archive/files/archive13.html)や時間に対する意識の向け方の問題(松田文子「時間評価のモデル」松田文子ほか編『心理的時間――その広くて深いなぞ』1996)などを参考にしてみて下さい。 以上のような理由ですので,補足要求ばかりで申し訳ありませんが,またお時間のあるときにでも,どのようなメカニズムでセルフコントロールが生じるとお考えなのか教えて下さい。 あと,どのような反応をしたらセルフコントロールが成功したとみなすのか(たとえば,遅延中に反応をすると失敗)という指標も教えて下さい。
補足
遅くなって申し訳ありません。ご回答、本当にありがとうございます! 実験の時間設定に関しては、確かに自分や被験者の都合で決めてしまいがちで、反省しました。。 時間学研究所の記事と、松田さんの本を今読んでいる所です。時間評価の際に、刺激を与えると時間評価の結果が変わる、またそれは刺激の量・質によっても変わるというところなど、非常に面白く、勉強になります!どのような刺激を与えるかを考える時にとても参考になります。 あとセルフコントロールのメカニズムという事を考えていました。 時間を短く感じる時に起こるものであるというのも思います。報酬に注意を向けすぎる事を減らす事で、待つ時間を長く感じない、または待つことが苦にならない時に起こるのかとも思います。あとは、自己強化、自己評価など、認知の影響もあると思います。それとは別に、言語機能があまり発達していない発達障害のお子さんなどにも、訓練によって起こるという論文を読み、「我慢する」とか「待つ」という行動が大きな報酬につながるという事を学習することでも起こるのだろうか。という風にも思います。(曖昧ですみません。。) セルフコントロールが成功したとみなす指標は、遅延が長く、全体的な報酬をより獲得できる方の選択肢を多く選択した場合、という風に考えています。実際場面を考えると、遅延中に反応した場合の事も考えた方がいいのだろうか、とも思いましたが、基礎研究なのであまりたくさん盛り込む事は避けた方がいいのだろうかと思い、そうしました。 Caryo_tさんのご回答を読んで、セルフコントロールについての自分の考えが曖昧であると思いました。またご指摘いただければ幸いです。 ご回答お待ちしております。よろしくお願いします。
- Caryo_t
- ベストアンサー率45% (112/246)
まず確認させていただきたいのですが,遅延中にゲーム呈示があるということですので,被験体はヒトで宜しいですね? 次に,第一リンクでのボタンに割り振られている「ポイント」が何の単位であるか教えてください。ゲームなどの得点ですか? また,遅延中の3条件は,第一リンクの選択結果に対応しているのか,それとも,条件設定ごとにスケジュールを組む予定なのか教えて下さい。 言い換えますと, ボタン1→動画→FT3 ボタン2→暗転→FT3 なのか, @暗転条件 ボタン1→暗転→FT3 ボタン2→暗転→FT3 @動画条件 ボタン1→動画呈示→FT3 ボタン2→動画呈示→FT3 ということです。 また,実験のネタバレになってしまうかもしれませんが,できれば実験の狙いと,出したい結果をお知らせくだされば幸いです。
補足
回答ありがとうございます。 内容の説明不足で申し訳ないです。 被験者はヒトで行います。第一リンクのポイントは、ボタンに付属しているポイントです。 VI終了後にボタンが押されれば色が変わるようにしています。 ボタンの下には右=二ポイント、左=4ポイントと書いてあり、VI終了後にボタンが押され、色が変わったボタンのポイントが、後のFT3秒の強化時間に得られるようになっています。強化時間では赤いボタンが出現し、それを押すと先ほど選んだボタンのポイントが加算されます。 条件に関しては、Caryo_tさんのおっしゃる通り、条件設定ごとにスケジュールを組む予定です。 間に条件を挟むので、あまり遅延時間を短く出来ないのですが、長すぎると試行数を減らさなければならず、困っています。 実験の狙いは、セルフコントロール率を上げるためにはどのような条件を与えるか、つまり、気を紛らわせるようなものとしては何が良いのかを見たいと思っています。 気を紛らわすものとして、受動的なものとしての画像提示、能動的に行わなければいけないゲーム提示、そして刺激を与えないブラックアウトの比較を行いたいと思っています。先行研究では、遅延時間に全く強化子とは関係の無い課題をあたえる事でセルフコントロール率を上げたという結果もあり、こうゆう条件を考えたのですが、この条件に関してもご意見があればお伺いしたいです。 結果としては、BO→画像→ゲームの順でセルフコントロール率が上がれば、、と思っています。 あれから事前実験を行ったのですが、先行研究で、教示が少ない方が、スケジュールに対する感度が上がるという結果があったので、それで行いましたが、そうすると被験者はVI時間にボタンの色を変えることに集中してしまい、やはりある程度の説明は必要なのかと思いました。 指導担当の先生以外でご意見を伺う事が中々できず、質問を投稿させていただきました。この実験については色々改良しなければならないと思っております。ご意見お待ちしてます。よろしくお願いします!
- tenntennsevengoo
- ベストアンサー率14% (17/114)
すみません素人なのでよくわからのないのですが VI=VIカード?それとも電工掲示? FT=形態材質反応でいいのかな? ブラックアウト=消灯?それともやめるとい意味? というかリンクってなに? しかも何で強化率を見るのにセルフコントロールなの?
補足
すみません、ややこしい言葉を多用しました。。 セルフコントロールの基礎研究なので、セルフコントロールかどうかについては分かりづらいと思います。 VI・FTとは時間スケジュールの事です。プログラムされた時間に 強化子(ここで言う得点)が得られるのですが、いかにして試行の時間中にたくさんポイントを稼ぐか、という内容です。 強化率というのは少しいい間違いました。強化子をたくさん得れるか、という事です。 tenntennsevengooさんのご意見のように、セルフコントロールを測っているかは分かりづらいので、わたしもどれだけ被験者に伝えるか迷っています。ご意見ありがとうございました。
お礼
お礼が遅くなってしまいました。丁寧なご回答をいただき、ほんとうにありがとうございました!なのに本当に失礼をいたしました。 確かに遅延中の画像などは、それだけで強化子としての価値を持つとも考えられますね。子供に強化子としてビデオを見る時間を設けたりする実験の論文などを見た事があります。それがセルフコントロールという事で実験するのであれば、遅延中である事を明示するという事は大切ですね。取り入れます、ご指摘ありがとうございます! 遅延時間が何ポイントの価値に相当するかという事を考えて設定するという事ですね。参考にさせていただきます! まだ色々とCaryo_tさんのお話しを聞きたい気もするのですが、今回はこれで質問を締め切らせていただこうと思います。お礼が遅れた事は本当にお詫び申し上げます。失礼いたしました。 本当にCaryo_tさんには感謝しています。ありがとうございました!