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謙譲語の誤った用法ですか?

以前予備校に通っており、「古典」の授業を受けていました。 そこで「敬語」について勉強しました。 ある日、電車に乗っていると車掌がアナウンスで「御用の方はお申し出ください」と言っているのを聞いてびっくりしました。客が車掌に敬意を払うようにしか聞こえませんでした。 早速予備校の古典の先生に「今日こんなアナウンスが電車であってびっくりしたんですけど、どう思われますか?」と尋ねると 「謙譲語が丁寧語化してきているよね」という回答を得ました。 そこで今日の謙譲語は丁寧語っぽく使われていることが多々ありますが、これは誤った用法なのかもしくは適切な使い方なのか、専門家の方教えてください。(予備校の先生に聞くのを忘れてしまって今日にいたります)

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回答No.2

「あげる」や「いただく」は、最近丁寧語化した語です。 もちろん、両方とも本来は謙譲語です。 それに対し「申す」は、かつて(近世期)は丁寧語としても用いられていました(もちろんこれも本来は謙譲語です)。それに尊敬の助動詞がついて「申される(申さる)」という言い方が武士の間では行われていたと言います。現代の時代劇でよく「申される」が使われ、それを間違いだと認識する方も多いようですが(その認識は正しいのですが)、実際、昔、そのように話していたと言うことは、どうやら間違いがなさそうです。(さらに、これもよく時代劇で使われる「参られる(まゐらる)」、そして「いたされる(いたさる)」ですが、これも実際に使われていた、つまり「まゐる」「いたす」の丁寧語化も進んでいたようです。) それが、近代になって国家意識の芽生えとともに国語における規範志向が強まり、国民教育が形作られまた規範文法が成立するに従って、「申す」「参る」「いたす」は謙譲語だから、それに尊敬の助動詞「れる・られる」をつけた形は正しくない、ということになり、それが学校教育を通じて広まって現在に至っているわけです。 もちろん私は「申される」を擁護しようと考えているわけではありません。ただ、言葉の使い方というのは変化をしていくものである、という事実を述べたいだけです。 さて、本題に入るのが遅くなってしまいました。下記URLは、文化審議会国語分科会というまさに専門家が本年2月に答申予定の「敬語の指針」の報告案です。その37ページに、ご質問に対するそのものずばりの答えが書かれているので、下に引用します。詳しくは本文をお読みください。( )内は私がつけた補注です。 「【14】「ご持参ください」、「お申し出ください」、「お申し込みください」などといった言い方には、「参る」や「申す」など、本来自分に使う敬語が入っているのでいつも気になっている。これらは、適切な使い方なのだろうか。」 【解説1】「参る」や「申す」は、謙譲語II(聞き手に対する謙譲語。URL内15、26ページ参照)に当たる謙譲語である。しかし、「ご持参ください」、「お申し出ください」、「お申し込みください」などといった表現の中に含まれる「参る」や「申す」は、既に謙譲語IIとしての働きを失っているものと見てよい。したがって、これらの表現を「相手側」の行為に用いるのは問題ない。 【解説2】「ご持参ください」「お申し出ください」という表現が気になる場合には、「お持ちください」、「おっしゃってください」などと言い換えればよい。「お申し込みください」は、状況によっては「ご応募ください」などと言い換えられるだろう。」 以上です。上記の解説者によれば、この場合に限っては、「参る」「申す」の丁寧語化(謙譲→丁寧、という一般的に見られる敬意の低下)という観点ではなく、「持参」「申し出」という名詞が、普通名詞(敬意を表さない並の動作性名詞)に転化したという考え方に立っていると言うことが読み取れます。確かに「持参」「申し出」にかわる(互換性のある)名詞がぱっと浮かばないくらい、この両語はよむ使われています。 丁寧語化なのか、並の普通名詞化か、それはそれで難しい点ですが、とりあえずお尋ねのような言い方を他人の動作に用いても間違いないということは言えそうです。 下記URL以外に、「敬語」(菊地康人 講談社学術文庫)を参考にしました。向学心にあふれる(古い言い方?)、あるいは言葉に関心をお持ちの学生さんなら、ぜひ手元に置いて読んでいただきたく思います。この本のすべてに賛同するものではありませんが、筆者の菊地さんは下記URL「敬語の指針」(報告案)を作った文化審議会国語分科会敬語部会に一員でいらっしゃって、穏当かつ先取りした内容がためになります。 私は子供(中高生)向けの国文法の本などを書いていますが、専門家(学者、研究者)ではないので、誤りなどあるかもしれません。その点はご承知おき(この「承る」も本来謙譲語ですね)ください。

参考URL:
http://www.bunka.go.jp/1osirase/pdf/keigo_sisin_houkokuan.pdf
sgymdisk
質問者

お礼

ありがとうございます。参考になりました。

その他の回答 (1)

  • tjhiroko
  • ベストアンサー率52% (2281/4352)
回答No.1

専門家ではないので回答の資格はないかもしれませんが、ご容赦を。 ネットで検索してみましたところ、このようなページを見つけました。 http://www3.kcn.ne.jp/~jarry/keig/b01.html こちらの中程、061「申す」のところです。 一方、意見の分かれるところだという話も。 http://kotoba.fumika.jp/2003/08/omoushide しかし、こんなページも見つけました。 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jpling/taikai/2005a.html 日本語学会の大会案内のページですが、一番下の枠、出張依頼のところをご覧ください。 専門家集団に向けての案内文で用いているのですから、この用法は認められると考えて良さそうに思いますが、いかがでしょう。

sgymdisk
質問者

お礼

ありがとうございます。参考になりました。

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