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分配関数は存在する?

統計力学の分配関数  Z = Tr{exp(-βH)} が収束するかどうかは普通の統計力学の本にはないと思います。零点振動を除いた調和振動子  En = nω ならばZ=Σe^(-βωn) なのでβ>0 ならば収束します。しかし  En = 1/n^2 の水素原子(束縛状態)を考えてみましょう。Z=Σe^(-β/n^2) は収束しますか? e^(-β/n^2) は明らかに1/n より減少は遅いです。そして1/nの和は発散です。するとΣe^(-β/n^2) も発散でしょう。束縛状態だけでも収束しないのに散乱状態まで数えればよけい収束しないでしょう。もし分配関数が存在しなければ統計力学の全体系がくずれてしまうという大変なことになります。それなのに普通の統計力学の本のように分配関数の収束に無頓着で良いのでしょうか。

みんなの回答

noname#21219
noname#21219
回答No.6

あらためて、ご質問の状況を考えてみると 一体の水素原子の分配関数なんですよね。 水素原子一個が、空間(温度T)におかれている状況だと思います。 そして、nが大きくなるにつれて、状態密度が発散していくと思います。縮退度2n^2のことではなく、間隔自体がせばまっていくという意味です。 一つ一つの状態の実現確率をボルツマン因子にしたがって比べると、もちろん 基底状態が一番実現しやすいことになりますが 状態数自体が、エネルギー0に近いものが圧倒的に多いから、全ての状態が平等にボルツマン因子に従った 実現確率を与えられるとすると、例え一つ一つの相対確率が小さくても数の力でn→∞の状態のどれかが実現しているということになると思います。 この状況に何故違和感があるかというと、水素原子というのは、高い状態に励起すると、すぐに光子を放出し基底状態に戻るから、基底状態にいるのが当たりまえというイメージがあるからと思います。 この場合は、光子の放出による基底状態への 遷移という固定観念を排して考えるべきものだと思います。 すなわち、励起された電子は、常にその高い状態に いつづけると考えると、どんなに低温でも、有限である限り確率的に水素原子は常に散乱状態に近い状態に 励起されているということになると思います。 その状況で分配関数は発散しますが、 分配関数=状態和は、系の取りうる全ての状態について の和ということであり、例えば2準位系の分配関数 というものもあって、それは2項だけです。 また、分配関数はZ(T,V)というようにVの関数でも あります。既に、系の大きさが規定されていることになります。また、エントロピーSは分配関数を使って S=U/T+klogZとあらわせますが、Zが発散すると エントロピーも発散することになります。 エントロピーが発散するという状況は、空間に関する配置のエントロピーが発散することに対応する と思います。つまり、水素原子が無限の箱の中に 入っている状況でしょう。系の大きさがVにより 規定されれば、n→∞まで和をとるということもなくなると思われます。 調和振動子の場合にn→∞までとるのは、主として ボーズ粒子の励起する数が∞まで取れるということではないかと思います。これはVを与えても関係はなく とれるかと思います。 直観的な説明ばかりになり恐縮です。

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  • tomoki356
  • ベストアンサー率25% (8/31)
回答No.5

今晩は。収束しなくていいんですよ。空間を無限に大きく取っているから発散するのです。水素原子が有限の大きさの箱の中に入っていると、収束します。正負の電荷がクーロンポテンシャル(∝-1/r)で引き合っている場合、有限温度で解離して、プラズマになります。近似的に、正負の粒子が独立に箱の中を運動する描像になりますが、分配関数はそういう状態を記述するようになります。

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noname#21219
noname#21219
回答No.4

♯2です 物理量が収束すると書きましたが 例えば実際にエネルギーを計算するとU=-∂/∂β(logZ) =ΣEn2n^2e^(-βEn)/{Σ(2n^2)e^(-βEn)} なお、縮退度2n^2をつけています。 この値は、温度βによらずに0(あるいは無限遠方の基準値)に収束します。というのは、n→∞で各エネルギー状態の相対確率は1に収束し、エネルギー固有値も0に収束しますが、それらの重みをいつまでも加えていくのですからエネルギーの平均値は0に収束するはずです。どんな低温でも、または高温の元でもエネルギーの平均が温度によらずに一定値に収束するというのは物理的に見て考えにくいでしょう。ですから、そのような系は存在しない、つまり♯1のatomicmoleculeさんのいうようにクラスターか何かを形成して、 エネルギー固有値の量子数に対する依存性が変わってボルツマン則に従うようになることが考えられるでしょうし、あるいは 光子も存在するでしょうから、フェルミ粒子とボーズ粒子が混合した大きな分配関数に拡張するのかもしれませんが、いずれにしても平均値の温度依存性は現れなくてはならないはずです。

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  • moumougoo
  • ベストアンサー率38% (35/90)
回答No.3

明らかに収束しないのですが、値が問題なのではなく形式的和(=パラメータの関数)が重要なのではないでしょうか(数学でいうところの漸近解析?)。 実際のところエネルギーE_i、E_jがあったときに相対的な確率e^(-βE_i)Ω(E_i):e^(-βE_j)Ω(E_j)は明確に決められるので、本当の規格化定数みたいなものがあって、それをあらかじめ掛けておくと分配関数真っ当な分配関数になるのかも。 ※分配関数が規格化定数のようなものなので、本当の規格化定数がなんなのかというのは???です。 ちなみに実際の場合はどうかというと、温度が低いうちは、基底状態の辺りしか問題にならず、温度が上がった場合は熱浴と接触しているので、13.6eVを超えてエネルギーが与えられて、電離してしまうということになるかと思います。という物理的な背景を考えると絶対0度では基底状態が確率1で実現されなくてはならないので、e^(βE_1)が規格化定数の候補でしょうね。(β→∞でE_i>E_1について確率P∝e^(-β(E_i-E_1))Ω(E_i)→0なので) なお、いまの場合、エネルギーはnが増えるに従い増えていくはずです。普通は基準を0にして-1/n^2です。なので、和はZ=Σe^(β/n^2)ではないでしょうか?(和は同じエネルギーの場合も含めて和をとります=状態すべてについてとります。)

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noname#21219
noname#21219
回答No.2

統計力学では分配関数そのものよりも、自由エネルギーや内部エネルギー、エントロピー、圧力等のマクロな量を問題にします。U=-∂/∂β(logZ), F=-1/β(logZ),P=-∂F/∂V、F=U-TS⇒S=(U-F)/Tというように、分配関数に必ずlogがかかります。ですから、 測定するマクロな物理量そのものは収束するでしょう。分配関数は、種々の物理量の統計的平均を求める際の便法にすぎません。途中経過で例え発散しても、 最終的な結果で収束していれば問題ないのではないでしょうか。運動量固有関数が、δ関数規格化ということで合意が得られているのと似ていると思います。

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回答No.1

非常に面白い問題だと思います。この場合に単純な分配関数は確かに発散しますね。1/rポテンシャルは長距離力でエネルギーが1/n^2でしか増加しないので、ボルツマン分布のエネルギーダンピングが効いて来ないんですね。それで、想像たくましく原因を考えた結果、この系は単純な取り扱いが出来ないのではないか考えました。たとえばクーロン力がある水素原子ガスを箱の中に入れた場合、このガスはお互いに相互作用するので、分子をつくって安定化するだろうと思われます。つまり各原子核と電子のクーロン力だけ考慮した、自由水素原子ガスとしての取り扱いがおかしいのではないだろうかと思いました。 で、私なりの解釈ですが、クーロン力のような相互作用をもった系を集めた統計系は、各束縛状態が独立に存在する場合とは全く異なる振る舞いをするために、 分配関数の状態和を各束縛状態独立にとってそれらを粒子数乗するというZ=z^nは成立しない。 通常の平衡系の統計力学の取り扱いが成立するのかどうかもかなり怪しい気がします。極端な話、クーロン力で束縛された水素原子がさらにクラスターのように結合して分子を形成、これらの分子同士の相互作用は弱いので、この分子系に通常の統計力学の取り扱い扱いが可能・・・なんていうイメージも持っています。 どちらにせよ、勉強したことがないので、私の予想が全て間違っている可能性が高いです。 面白い疑問だとおもったのでつい書き込みしてしまいました。

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