現在、キリスト教が関連している諸問題と解釈してよいのでしょうか。
そう解釈すれば、最も重要な問題は生命倫理―特に安楽死や(障害児の)妊娠中絶の問題―が挙げられると思います。
最も右派的なキリスト教団体(特にアメリカに多い)では両者共にほとんど否定されていますが、ローマ・カトリック教会の道徳神学者や道徳哲学者は死ぬことに任せる「消極的安楽死」については事実上、認めているようです(中絶問題については申し訳ないのですが、わかりません)。
それはある一つの行為が二つの結果をもたらすときに主張される「二重結果の理論」に基づいています。もっといえば、直接の意図が道徳的規範を犯さない有益なものである限り、その行為は許される、という理論です。
安楽死の問題に則すと、患者の苦しみを取り除くことを直接の目的とするのであれば、「消極的安楽死」は患者にこれ以上苦しみを与えないというのが、主たる目的であって、死は望まれぬ副次的な結果とされるわけです。
この理論にはかなり違和感を感じると思いますが、これ以上この問題に言及すると、話がずれてくるので、とりあえず「こうした考え方もある」ということだけを念頭においてくだされば、幸いです。