ローマ皇帝とはそれまでにあった共和制での様々な役職や特権を併せ持つ存在です。
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アウグストゥスの称号は本来は「神聖な」とか「尊厳」という意味があります。勿論、最初から皇帝の称号として使われていた訳ではありません。
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インペラトル(ローマ軍最高司令官)は、勝利した司令官の称号であり、それ以前にもそう呼ばれた人物は数多いのですが、ユリウス・カエサル死後の内戦で全てのライバルを打倒したアウグストゥスのみが結果として独占することになりました。
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護民官特権は共和制では一般市民の権利の保護を目的として設置された役職です。この役職には様々な任務があるのですが、貴族と対立する場合もあった為「身体への不可侵権」と「拒否権」という2つの大きな権限があります。つまり護民官に危害を加えたら反逆者となり、元老院の決定にNOと言える立場です。 しかしアウグストゥスはユリウス・カエサルの養子となり貴族になったので本来護民官になる資格がありません。(護民官就任は一般市民出身者のみです。)なのでその「特権」だけを手に入れたのです。
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最高神祇官はローマ宗教の最高責任者であり、大きな宗教行事には欠かすことの無い存在です。就任には選挙による選出と他の宗教には見られないユニークな地位です。勿論、実権こそは無いものの「宗教的権威」があります。
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プリンチェプス(筆頭元老院議員)大きな功績を挙げた議員がそう呼ばれる。元老院での最初か最後の発言が認められ、特に規定はされていないが、元老院においてある種の優越がある。
ざっと簡単に上げた以上の役職や権限はそれぞれが帝政を予定した物ではありません。しかしそれらが同一人物が兼任すると唐突に帝政の始まりとなります。 例えるなら、トランプのポーカーでそれぞれのカードは強くなくてもルールにそって揃うと強い役になりますよね?それが現実においてロイヤル・ストレート・フラッシュに仕立て上げたのがアウグストゥス(プレイヤー)であり皇帝や帝政(ポーカーの役)と考えてもらえば分かりやすいかと思います。
お礼
ご回答に感謝します。勉強になりました。 ローマ皇帝とはそれまでにあった共和制での様々な役職や特権を併せ持つ存在>>よく分かりました。分かりやすい例えにも感謝します。