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結晶粒界
結晶粒界とは何かわかりやすく教えて頂けませんか?またこの結晶粒界がステンレス鋼に害を及ぼすと聞いたのですがなぜかわかる方いましたら教えて頂けませんか?よろしくお願いします。
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物質で,固体のものは,金属であれ,セラミックスであれ,有機ポリマーであれ,大よそは結晶質であり,粒界が存在します(アモルファス,ガラス:非晶質物質もありますが,この説明は省略)。 金属の場合は,塑性変形と言って壊滅的な割れに至らずに変形する能力があるので,圧延などの方法で身の回りでよく見かける板状の製品が作られます。したがって,晶癖(結晶の形)がはっきりと観察できない場合が多いですが,金属は一般に結晶構造を持ちます。(例えば,亜鉛メッキ鋼板の表面に,スパングルという不定形の模様が現れるのは,結晶面がランダムに析出することによります)。 さて,ご質問の,粒界によるステンレス鋼の特性の劣化ですが,結晶粒と結晶粒の界面(インターフェース)は,結晶格子間隔が大きく異なっている場合が多く(結晶格子のミスフィット),したがって,内部エネルギーが大きく,連続した結晶格子のところ(結晶粒内)と比べて機械的特性や化学的安定性が低いです。 例えば引張って加工した場合,結晶粒同士の接合力が弱ければ,粒界が滑って永久変形を起こしたり,割れ(クラック)が粒界に沿って進行し,千切れたりします。また,腐食が進行する場合も,化学的に安定性の低い粒界が腐食され,孔食と言われる現象が起きたりします。 さらに,この粒界には,結晶が成長する際にジャマなもの(結晶粒内に固溶できない元素や粒子などの介在物)が析出することが多く,これが特性を劣化する原因のひとつでもあります。(すなわち,結晶粒内と粒界では成分が異なる)。 ところで,蛇足ながら,この粒界の存在は特性の悪化をもたらすだけでなく,プラスに働く場合もあります。例えば,上で触れたクラックの粒界での進行を考えた場合,クラックが直線的に進行せずに,粒界により屈曲することで破壊に必要なエネルギーを増大させることができます。すなわち,割れ難い材料(靭性の高い材料)を,できるだけ粒界を多く(結晶粒を微細に)することで製造することができます。
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こんにちは。 ステンレスが500℃くらいの高温にさらされると 中に含まれるクロムと炭素が結合して :Cr23C6:のクロム炭化物ができます。 この炭化物はランダムな網目状の「結晶粒界」を作るため 今まで均一に配置していた元素が片よって集まることで ステンレスが変化し特性に影響が出てきます。 1)クロムの少ない部分ができるため、錆やすくなる。 2)粒状の集まりとなるため、もろくなる。 結晶粒界は肉を煮込む(熱をかける)と「あく」が浮いて きますが、「あく」が結晶粒界と思っていただければ 良いかと...。 「粒界腐食」で検索すれば、いろいろ載ってますよ。^ ^
お礼
お返事ありがとうございました。大変わかりやすく解説していただいて感謝しております。ステンレス鋼の応力腐食割れについて調べていたのですが結晶粒界等わからない語句が多くて困っていました。この結晶粒界を簡単に理解することができました。本当にありがとうございますm(_ _)m