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ステンレスの破断面に粒界破面がなぜ出るの?
オーステナイト系ステンレス鋼の丸棒を片振り曲げの状態で繰返し動作させたところ、破断面に粒界破面(破面がキラキラ光る)が点々と観察されました。負荷応力は0.2%耐力以下で、腐食環境でも無いので、どうして粒界破壊が起きたのか想定できずに困っています。 ご教授よろしくお願いします。
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オーステナイト系ステンレスに繰り返し応力が加わり、疲労破断したと考えて良いのでしょうか? もしこのような状況で破断したならば破断面は細かい鱗状の模様になっているはずで、粒界破面(破面がキラキラ光る)が観察されることはありません。 オーステナイト系ステンレスは弾性限界を超える曲げ応力などによりマルテンサイト変態します。比較的少ない回数でマルテンサイト変態を伴う曲げを与えた場合、急激に硬化して粒界破壊が起きた可能性があります。 マルテンサイト変態を伴っているかどうかは磁石によって簡単に確かめられますので一度試してみて下さい。 いずれにしても、破壊のプロセスは複雑であり、再現性の無い場合もあって、判断は難しいと思います。
その他の回答 (2)
金属破断面の分析に関する文献は手元にないので紹介できませんが、「ステンレス鋼便覧」(日刊工業新聞社)には破断面の写真や試験・検査方法が概説されています。 「よくわかる破壊力学」(オーム社)は破壊の理論と構造のよい教科書です。
お礼
重ね重ね回答いただき、ありがとうございました。
透磁率の変化が認められたのならマルテンサイト変態が発生したと考えて良いと思います。 マルテンサイト変態はオーステナイトの結晶構造に塑性変形の応力が加わったときにおきます。塑性加工や切削加工時の加工硬化などです。 曲げ応力では起点部分に塑性変形が多いと考えられます。 従って、弾性限界を超えた応力が繰り返しかかったために起きた割れであると考えるのが妥当だと思います。 FEMによる応力解析では実際とは異なる解析結果を得ることもあって、場合によっては歪みゲージによって実測することもあります。 破壊現象は再現性も悪いことから解析は非常に困難ですが、この事例は、応力分布の関係が変わっていなければかなり良い確率で再現されると思います。今回はどうでしょうか?
お礼
回答いただき、ありがとうございます。 磁性の確認など知らないことも多く、大変参考になりました。回答内容を参考に調査します。 なお、金属破断面の分析に役立つ文献を探しています、分かりやすく(入門書)体系的ものをご存知でしたらお教え願います。
補足
回答いただき、ありがとうございます。 補足,回答に対する調査結果及び質問を送ります。 (補足) オーステナイト系ステンレスに片振り曲げの繰り返し応力を加え破断した状態です。破断面をマクロ観察した場合は片振り曲げの典型的なパターンと思われます。ただし、先の質問内容にあるように破面がキラキラ光り、SEM観察で粒界破面と思われる滑らかな面がまばらにではあるが全面的に見られました。(ロックキャンディ様相のよな顕著な粒界破面ではなく、大半は粒内破面です。) (回答に対する調査結果) 破断面と他の箇所の透磁率を比較したところ、破面のほうが多少高くなっていました。 (質問) マルテンサイト変態は、弾性限界を超える曲げ応力以外にどのような場合に起きますか? また、マルテンサイト変態が起きる原因によって、起点部分に起きやすいとかの特徴はありますか?