複素数の対数はもちろん定義できます。それはおっしゃるようにオイラーの公式から容易に決定できるでしょう。
たとえば複素数z≠0が与えられたとき、それを曲座標z=r(cos θ+isin θ)と表しておき、log z=log r+iθと定義すればよいのです。ただし偏角θは2πiずらしても変わりませんから、log zは厳密にはlog r+i(θ+2nπ)となって、nは整数を適当に動かすことになります。zに対して複素数が一意に決まらないことから、これは通常の意味の関数ではありませんが、多価関数と呼ばれていて、枝分かれしている関数と思うことができます。仮に偏角θは-π<θ≦πなるものに限ると約束すれば、logは一意に決まります。それを主値と呼んでいて、よくLogなどと表すことがあります。この辺りは三角関数の逆関数を考えるときによくやる例です。
例
Log z=log z (z>0なる実数のときは、通常のlogに同じ)
Log (-1)=πi (負の実数にもlogは定義可能)
Log i=πi/2
Log (-i)=-πi/2
なおよくよく考えてみると今まで普通に考えてきた対数関数は多価関数になっているのです。たとえば、log e=1なんていうのはだれもが当たり前に思ってきましたが、log e=1+2πiでいけない理由は何もないのです。だってe^(1+2πi)=eですから。高校以来定義されてきたlogというのはそういう意味で、複素関数まで拡張された多価関数である対数関数の主値を意味していたのだ、ということです。
なお他にもlog z=∫_{1→z}1/z dzとかけることを利用して、zが負の実数でない場合は複素線積分で対数関数を拡張する方法も自然に思われます。あるいはlog(1+z)のz=0周りのTaylor展開を利用して、複素解析接続によってlogを解析延長する手法も自然です。ですが、いずれもこれらは関数論を学ばれないと大変だと思うので、いろんな方法があるんだ、という紹介にとどめておくことにします。
お礼
全体のなかでの位置づけをして頂くと理解できなくても安心致します。有難うございました。