- ベストアンサー
Faradayの電磁誘導の法則とは何ですか?
- Faradayの電磁誘導の法則は、物理学者と電気工学者が電圧の正方向をどちらを正とするかの違いで起こる現象です。
- 物理学者と電気工学者が考える電圧の正方向の捉え方について、詳しく解説します。
- Faradayの法則における符号の違いには、一定の理由と背景があります。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
まず、道具立てを設定します。鉄心の周りに電線を一周だけ巻いた one turn coil を考えます。コイル両端の外部端子が二つ出ています。 § 電気工学者の考える電圧の正負 オームの法則を考えてみてください。抵抗の二つの端子があって、片方から直流の電流を流し込むとき、流れ込む端子側を電圧の + 側、流れ出す端子側を - 側として電圧を測ると、オームの法則が成り立つのです。これを上の道具立てに適用すると、一方の端子から直流の電流を流し込むと、コイル内の空間に電流によって仮想的な磁気量である磁界 H [ AT / m ] というものができます。ここがちょっと分かり難いと思うのですが、磁界 H は電流のみによって決まります。電流が流れた時の磁界 H を求めるための ビオ・サバールの法則というものが知られています。すると 磁束密度 B [ T ] との間に B = μH という関係があります。鉄心の場合は磁束密度は飽和するまで磁界 H と共に増え続けますから、ファラデーの法則により端子には電流の流れを妨げるような流れ込む方向を + とする電圧が発生します。従って、オームの法則と同じようにして、電圧の正負を決めているのです。 § 物理学者の考える電圧の正負 物理学者は現象を考えるうえで数学を道具として使うのに慣れていますから、数学の定義や概念を援用することが多い。 先ず、電磁気学の理論ではベクトル解析という数学のツールが使用されます。この中で、閉曲線 C で囲まれた「 面 ( 面積 ) S 」というのはベクシル量と考えた方が色々な計算をするうえで便利です。面を微小な要素の分けていくと面積という大きさと、向きという方向を持っているからです。従って、面には正負の方向があります。そして、面 S を囲む閉曲線 C について、貴方の最初の質問について私が回答した式の中の Φ = -∫{ ∲(下付き C ) E dl } dt = -∫U dt という式の中で{ } 内で出て来るように閉曲線 C に添ってある量を積分する「 周回積分 」という計算が行われます。このとき、周回積分の正方向を決めておかないといけません。反対方向に積分すると正負が逆となるからです。この正方向は面ベクトル S の正方向から見た時、反時計回りの方向を正とすると数学者が決めていますので、物理学者もそれに倣って決めています。 ここで、上の道具立てに戻って考えると閉曲線のコイルに電流が流れた時に、囲まれた面の磁界と磁束密度の向く方向を正とすると、電界というのは + から - の方向を正方向と定義されており、閉曲線 C の正方向の矢印と同じ向きの電界を正方向と考えることとなります。すると、電気工学者が考える逆起電力は物理学者の - 方向の電圧になりますよね。 電気工学を勉強する学生たちも、電磁気学を勉強するときは物理学者の考え方で勉強するのですよ。 なお、老婆心ながら確認しますが、回答者に追加説明を求める質問や問題の条件変更などの場合は「 補足 」、回答の必要のない単なる儀礼上の感謝が「 お礼 」です。
お礼
懇切丁寧に回答いただき、有難うございました。 もう少し、自分なりに研究してみます。 (正方向の定義)(反作用磁束)