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ナビエ・ストークス方程式は正しいんでしょうか?

ナビエ・ストークス方程式は、解の存在を示せたら1億ドルとかの懸賞金が掛かっています。 ナビエ–ストークス方程式の解の存在と滑らかさ でもそもそもの、この方程式って、自然現象を取り組むのにあたらり正しい偏微分方程式なんでしょうか?

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回答No.2

 とりあえず完全流体の運動方程式から始めます。  完全流体の運動方程式は、流体に摩擦がなく、流体をどこまでも無限に分割できる連続体とみなした時に成立する運動方程式です。無限に分割した流体の各点は、もちろんニュートン力学における質点です。なのでその運動方程式はもちろんニュートン力学の運動方程式です。ただしニュートン方式で個々の流体質点の運動方程式を記述するのではなく、速度場表現であるオイラー記述を用いるのが普通です。ニュートン方式の記述はラグランジュ表現といい、実際にも使われていますが、あまり一般的ではありません(マニアックすぎる?(^^;))。  摩擦がないという仮定は、現実への近似としては手頃なものです。じっさい流体力学以外でもそういう近似は、さんざん使われたじゃないですか。ニュートン力学を信じる限り、摩擦がないという仮定を除けば、完全流体の理論は妥当に自然現象を説明する理論と思えます。その結論の多くは、河川や管路の主要な流れにおいて実証されています。  次にナビエ・ストークス方程式ですが、これは実在の粘性のある(摩擦のある)流体に対して考えられたものです。完全流体の運動方程式に粘性項(摩擦項)を付加しただけ。なので粘性項の定式化が妥当なら、ナビエ・ストークス方程式は自然現象を妥当に説明する理論に、いちおうなるはずです。但し書きとしては「ニュートン力学を信じる限り」と、「無限分割できる連続体という仮定が妥当ならば」です。  粘性項は、経験事実に基づいて決められました。例えば河川では、河床や護岸において流速は大域的に見れば0です。そこから離れるに従い、流速は急速に増大します。河床において流速0なのは、流体と河床との摩擦のせいと考えます(経験的にそうとしか考えられない)。また河床から距離y離れた流体層とy+Δy離れた流体層の間にも摩擦が生じるはずです。河床から離れるに従い流速が増大するので、速度差があるからです。  摩擦は一般に物体間の速度差から生まれる。全部が一斉に同じ速度uで動くなら擦れないから摩擦無し。言ってしまうと、この程度の根拠だという事にもなりますけれど(^^;)、経験的にはそうですよね?。また速度差が大きいほど激しく擦れるから摩擦力は大きい。そうすると摩擦項は、速度勾配の関数のはずだ。   τ=f(du/dy)   (1)  ここでyは河床からの距離。流れはとりあえず河床に平行と考えて下さい。u(y)は河床からy離れた流体の速度。τは流れに沿った単位断面積当たりに働く摩擦力、すなわち摩擦によるせん断応力です。(1)のような定式化をする上で本質的なのは、「無限分割できる連続体」の仮定だと思います。  ところで速度差がなければτ=0のはずです。よってdu/dy=0ならτ=f(0)=0。ここでdu/dyは十分小さいとします。そうすると微小入力に対する微小出力は入力に比例する、という微分の意味から、   τ=μdu/dy   (2) となるはずです。ここで本質的なのは「自然現象は必ず微分可能」です。比例定数μは粘性係数。  du/dyは十分小さいとしましたが、何に対して?という問題があります。そこは流体の物性で決まるはずです。例えば大気なら(2)に基づいて出した、雨粒の最終落下速度は現実とほぼ一致しますが、日常感覚的にはその速度はけっこう大きいです。水の場合なら、河床付近の流速程度のいくつかの実験で(2)は確認されています。後は(2)を一般化するだけです。  連続体の一般論から、連続体の各点の運動は伸縮変形とせん断変形、および剛体回転に分解できます。これを各点ごとに考えるので、変形量でなく歪みで変形を表した方が便利です。さらに変形を発生時間で割れば速度なので、歪み速度分解が得られます。ご存じと思いますが歪みは変形の空間微分です。ということは、歪み速度とは速度勾配です。剛体回転は「一斉に同じ速度」なので摩擦に無関係。よって伸縮変形とせん断変形の歪み速度(速度勾配)に(2)を適用して粘性項が出来上がり、それを完全流体の運動方程式に持ち込んだのがナビエ・ストークス方程式(以下、NSとします)。  NS方程式はもともと、完全流体中の定速度物体には流体抵抗が働かないという、ダランベールのパラドックスなどの回避のために考えられました。NS方程式からの流体抵抗の結果は、   D=S/2×ρCd・U^2   (3) というものです。抵抗係数CdはNSから具体的に計算できます。ρは流体密度,Uは物体と流体の相対速度,Sは流れに直交する面への物体の投影断面積。(3)はけっこう高精度です。まぁ~どの程度を高精度するかは、業界によって違いますが(^^;)。  やがてレイノルズは乱流現象を発見します。総じて言うと層流に関しては、NS方程式はほぼ実証された言って良いと思います。NSは当初から解くのが難しいとわかってましたし乱流のような高速流れともなると、数値計算も困難です。ところが乱流はけっこう日常的にいたるところにあって、それに関する結果が欲しいわけです。しかし実用的に必要なのは乱流(乱れ)の詳細な情報ではなくて、平均流(時間平均)に関するものです。そこでレイノルズは、NS方程式の時間平均をとります。その結果わかったのは、乱流の平均流は(2)の平均値のほかに、流速平均の2乗に比例するような付加応力を受けるというものでした。後者をレイノルズ応力と呼びます。後者が乱れの影響、もしくは乱流化するきっかけなのかも知れません。そう考えたプランドルは経験的に混合距離を導入し、それをレイノルズ応力と関連づけて運動量輸送理論を考え出します。  河床付近の急速に流速が減少する層を境界層と呼びますが、運動量輸送理論により層流であろうと乱流であろうと境界層の流速分布を再現できます。これにより、境界層より上ではあまり速度差がないので完全流体でいいやとなり、実用計算も可能です。NS方程式が乱流にも通用するかも知れない傍証です。  乱流化する機構はまだわかっていません。なのでNS方程式が乱流化する機構を含むのか、乱流を再現する解を持つのかも不明です。その前提を見てみると、   1) ニュートンの運動方程式   2) 無限分割できる連続体の仮定   3) 連続体の一般論   4) 自然現象は微分可能 です。1),3),4)は問題ないと思います。量子の世界にでも飛んで行かない限り(^^)。しかし2)は流体の粒子性の無視です。一説には、流体分子の層流からの微小な逸脱(乱れ)が拡大して乱流化するというのがあります。だとすると流体分子とその相互作用を1個々々モデル化して、ラグランジュ表現で定式化するのが良いのかもしれませんが、滑らかさはどうなのだろう?。先の説が正しいとすれば滑らかな解があったとしても、初期条件の変化や外乱に非常に弱いカオスちっくな解なのでは?。そうすると、とても滑らかには見えないはずだ。  解は存在するのか?。・・・するような気がする(^^;)。頑張れば乱流領域でもなんとか数値計算はできるそうだから。出てきた解が正しいかどうかは知りませんが。NS方程式の前提を見ると、乱流化する機構を完全に含むとはとても思えない。むしろ解がないのではなくて、解を絞り込む決定打がないために解がありすぎて困ってるのでは?、なんて事も思います。  さっきの1個々々積み上げ方式が成功したとしても、たぶん現実的な計算はできない。物体中の全ての原子のシュレーディンガー方程式を連立させて解けば、原理的には物体のいかなる挙動も予想できるはずですが、そんな話は聞いたことがない。それと同じです。適度に現象論っぽいNS方程式の価値は、そこだと思います。NS方程式に対する完全流体モデルやプランドル理論が持つ立ち位置と同じです。  個人的にNS方程式は、そこそこいい線行ってる気がします。懸賞額が妥当かどうかは知りませんが・・・(^^;)。

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回答No.1

小生、(理論!?)物理学/数学専攻者ではないので、質問に対する回答にはなり得ない事を予めお断りした上で・・ --N.S方程式は正しいか-- ↑の疑問(・・と言うか言い方!)は、質問者がN.S方程式についての関連情報を色々と調べたり閲覧した上で質問しているのだろうか!? ・・と思えなくもないのだが・・! 物理現象を説明するために、或る仮定の下に理論を構築していく上で、必ずしも厳密に実在認識と合致せずとも、それによって導出された結果がその物理的な挙動・現象における諸々の関係性を十分に説明し得るならば、その理論を以て現象を記述出来るが如く満足する! と了解する・・! 電磁気学におけるマックスウェル方程式なども斯様な現象論的理論から導き出されたものという認識である・・! N.S方程式もマックスウェル方程式と同じ理由で"流れ"に関する諸現象を十分に説明出来ている・・! 小生は↑の様に理解している・・! なので、正しいか(正しくないか!?)・・と言った様な質問の仕方にはならないのではと思ったりする・・! 例えば・・レイノルズ数が極めて大きな値の場合のN.S方程式の解の振舞いなどは、まだ具体的な結果が得られてはいないと言った様な事は(関係書籍等で)学習している・・! (素人考えだが・・数学的解釈の発展に待たなければならない様な所はまだまだあるとは思っている!) 後、一応質問文面はupする前にもう一度読み返してみた方が良いと思う・・! ------------------------------- でもそもそもの、この方程式って、自然現象を取り組むのにあたらり正しい偏微分方程式なんでしょうか? ------------------------------ ↑の文面が(変換ミスには目を瞑るとしても!)妙な言い回しの様に感じる・・! 確か・・質問者は数学専攻者の筈では・・!?