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古典訳:THE PIRATES’ MISTRESS
When she went to make the beds for waiting couples, Or brought them warm water at daybreak, It would happen at times that a kind guest Would slip her a coin for formality’s sake. When this happened she would silently thank him With her humble and lean smile, And think of the ship that braved the gales With eight cannons and seventeen sails. (Francois Villonのバラード集のGyorgy Faludy訳、書名:「GYORGY FALUDY'S VILLON BALLADS」のIvan Kovacs訳、詩のタイトル:BALLAD OF THE PIRATES’ MISTRESSより) 拙訳: 欲にまみれた巣窟で、床を敷き、 朝にはお湯を持っていく。 ほんのお情け程度の、おひねりも、 もらえば、そっと目を細めて笑みが漏れる。 これは仮の世の姿、いつかきっと 八門十七帆の艦船が 風に吹かれて迎えに来る。 詩の背景:THE PIRATES’ MISTRESSという7つに分かれたバラードの2番。 1番:貧しくいつも腹ペコのジェニーは、あいまい宿で皿洗いなどをしながらどうにか生計を立てている。そして、いつの日か八つの砲門、17の帆をもつ海賊船が迎えに来るのを待つ。 2番:今回の引用箇所。 3番:身を落としていくジェーン。そして、いつの日か八つの砲門、17の帆をもつ海賊船が迎えに来るのを待つ。 4番:ある日海賊船の噂をきき。皆が戸惑う中、ジェーンだけが狂ったように笑いだす。 5~7番:海賊船の親分と合流。 と、こんな感じの背景です。 反社会勢力の詩ですいません。それにしても、いつ帰るとも分からない海賊の妻ってのは大変ですね。わずかなおひねりに笑みを漏らしつつも、「本来なら」と思うシーンが中々とうまい事文章にできません。皆様の翻訳例を教えていただけないでしょうか? いつもながらBAは選びませんが、よろしくお願いいたします。
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- SPS700
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#2です。改訂訳です。 待ちわびためおとに寝床を敷く時や 明け方に湯を運ぶ時 稀には気遣いのある旅人が 何がしかの金をそっとくれることもある。 そんな時女は黙って頭を下げ 恥ずかしげにほのかな笑みを返す。 そして八つの火筒と多くの帆で 嵐に向かうあの船を思う。
- Nakay702
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気まぐれ的投稿の都度にお礼コメントをくださり、ありがとうございます。 >>さもなくばTHE PIRATE'S MISTRESSの誤植か。 >一字一句写し間違いはありません、、、。 ⇒やはり、THE PIRATES' MISTRESSですか。 国会の議論も気になるが、このゴマ粒のような記号の位置も気になりますね。 「牡丹花は咲き定まりて静かなり花の占めたる位置の確かさ」の本歌取り: 「ゴマ粒は置き場決まらず落ち着かず心に占めたる不安の強さ」(木下不利玄)。 >>Es la llamada "cama redonda" >面白い、スペイン語表現を学べました。 ⇒「丸いベッド」とは、いみじくも言ったものですよね。 >実は内心「微かすぎて、英文自体を私以外はなんとも思わい文章だったらどうしよう。」と思っておりましたが、全部杞憂でした。 ⇒いやいや、楽しいです。lived in room13さんは、面白い題材発見の天才ですね! いつも敬服し、感謝申しあげております。やはり普段から原典に親しんでおられることの賜物でしょうか。 ヴィヨンの詩才はすごい。物の本にこうありました。 《(ヴィヨンの傑作『遺言選集』は)、バラードを15篇、ロンドーとシャンソンの各1篇をところどころに配置し、教化文学的・散文的詩型と宮廷風抒情詩との組合せにより、詩集全体の流れに変化をつける。しかも、これらの伝統的詩型を用いるにあたって、ヴィヨンは独自の語彙、隠喩、修辞法を駆使しているため、鮮烈な迫力を読者に感じさせずにはおかない。》 こういう傑作の一端に触れ、特有の妙味を味わうことができるのも、一重にlived in room13さんのおかげと心底感謝しています。今回も大いに楽しませていただきした。どうも、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
お礼
ご回答ありがとうございます。 >>「牡丹花は咲き定まりて静かなり花の占めたる位置の確かさ」の本歌取り: 「ゴマ粒は置き場決まらず落ち着かず心に占めたる不安の強さ」(木下不利玄)。 本歌も素晴らしいですが、まさに本歌とりの絶妙さには、さすがですね。 本当に置き場一つでここまで意味が変わるとは、「心に占めたる不安の強さ」を私も感じました。 >>⇒「丸いベッド」とは、いみじくも言ったものですよね。 参加者間の相互関係や席次の明確化を避けた『円卓会議』を真似て、参加者同士が入り乱れる、、、(自主規制)、、を言い表したのだと語源を学び、成程と思いました。 >>しかも、これらの伝統的詩型を用いるにあたって、ヴィヨンは独自の語彙、隠喩、修辞法を駆使しているため、鮮烈な迫力を読者に感じさせずにはおかない。 あまり名文のカラクリには分からずに読んでいるのですが、ヴィヨンは確かに独自の書き方をしたように思います。他にない、独特のセンスを感じました。 どうも今回もありがとうございました! また、よろしくお願い致します。
- Nakay702
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壮観、そろい踏み。 >THE PIRATES' MISTRESS When she went to make the beds for waiting couples, Or brought them warm water at daybreak, It would happen at times that a kind guest Would slip her a coin for formality's sake. When this happened she would silently thank him With her humble and lean smile, And think of the ship that braved the gales With eight cannons and seventeen sails. *THE PIRATES' MISTRESSは《海賊たちが「共有」するマドンナ》か、さもなくばTHE PIRATE'S MISTRESSの誤植か。 **daybreak/sake2語の完全押韻、couples/gales/sails3語の完全押韻(これにsmileを加えれば、4語の一部不完全押韻)は見事。 >拙訳: 欲にまみれた巣窟で、床を敷き、 朝にはお湯を持っていく。 ほんのお情け程度の、おひねりも、 もらえば、そっと目を細めて笑みが漏れる。 これは仮の世の姿、いつかきっと 八門十七帆の艦船が 風に吹かれて迎えに来る。 *さすがパイオニアのお訳。《欲にまみれた巣窟で》や《これは仮の世の姿》などは原文を読んだ者ならではの訳文と見た。 **パイオニアとエピゴーネンとは雲泥の差(月とスッポン)。ちなみに、私は常に後者エピゴーネンで、パイオニアの後塵を拝するのみ。 >#2さんの訳: 待ちわびためおとに寝床を敷く時や 明け方に湯を運ぶ時 稀には思いやるのある旅人が こころざしの金をそっとくれることもある。 そんな時は黙って頭を下げ はした女のほのかな笑みを返す。 そして八つの火筒と多くの帆で 嵐に向かうあの船を思う。 *さすが英語に精通する名人のお訳。《待ちわびためおとに寝床を敷く時や》、《こころざしの金をそっとくれる》、《八つの火筒と多くの帆で/嵐に向かうあの船を思う》などの訳は見事すぎる! **1か所、《稀には思いやるのある旅人が》は、《稀には思いやりのある旅人が》の一字誤植と見た。 私訳:お待ちのお二人さんに床を延べ、 夜明けとなれば湯を運ぶ。 時には優しい客もいて 心ばかりのおひねりもある。 ことば少なに礼をする つつましやかに微笑み返して。 心は、風に向かう船のこと 砲門八、帆柱十七の大艦船。 *「延べ」と「運ぶ」の不完全押韻、「いて」と「返して」、および、「ある」と「する」の完全押韻。あまり美しくはないが、原文の真似をした。 **「お二人さんに床を延べ」のくだりで思い出した。スペインで20名ほどのランチキ騒ぎに招かれたとき、テーブルの下で異性同士の手をつかみ、二人、四人と消えてゆく。隣席の人に聞いてみた。「これは何?」。返ってきた答え:Es la llamada "cama redonda".
お礼
何度も、ご回答ありがとうございます。 >>*THE PIRATES' MISTRESSは《海賊たちが「共有」するマドンナ》か、さもなくばTHE PIRATE'S MISTRESSの誤植か。 一字一句写し間違いはありません、、、。 私はどちらかと言うと純愛を信じる性質でして、ペトラルカの「あの人」が人妻であると知ってしまった時と、同じような衝撃を受けました、、、。確かにこのアポストロフィーのこの位置は、、、。 >>**daybreak/sake2語の完全押韻、couples/gales/sails3語の完全押韻(これにsmileを加えれば、4語の一部不完全押韻)は見事。 また、お鋭い観察眼はお見事ですね! 私も、いつももう少し観察しようとは思うものの。味わうばかりで、名文のカラクリには中々目が届きません。 >>「これは何?」。返ってきた答え:Es la llamada "cama redonda" 面白い、スペイン語表現を学べました。ありがとうございます。 >>お待ちのお二人さんに床を延べ、 夜明けとなれば湯を運ぶ。 キターーーーー!! これですよ、ナカイさんの訳と言いましたら! 毎度ながら、ほんの少し変化、つまり第一行目を「お待ちのお二人さんに床を延べ、」に変えただけですのに、二行目以降がの輝きが全く別物になり、ビックリしました!!! 本当に、文章というものは不思議ですよ。 ナカイさんはなぜこんなに大変化してしまうのかご存じなのでしょうが、私からしますと、チョコっと毎回変えるだけで、ものすごい『化学変化』を起こしますよね。こんなに数文字の言葉の力はすごいものなのかと驚きます! >>夜明けとなれば湯を運ぶ。 時には優しい客もいて 心ばかりのおひねりもある。 ことば少なに礼をする つつましやかに微笑み返して。 この笑みもいいですね!何と言っても、この「優しい客」と「微笑み」がたまらんと思います。 >>壮観、そろい踏み。 本当に、壮観ですね! やっぱり古典詩もその日本語訳のバリエーションも最高です!私は苦労しましたが、こんなに微かな「親切」と「笑み」を味わえるお作品をありがとうございます。 (実は内心「微かすぎて、英文自体を私以外はなんとも思わい文章だったらどうしよう。」と思っておりましたが、全部杞憂でした。) こういう微かな気づかいも翻訳できて、また味わいがあるのだと思うと、本当に今回も楽しめました。 ありがとうございました。 また、よろしくお願いいたします。
- Nakay702
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前便で、私訳のあとの「*」の添付することを忘れていました。 それを補い、かつ訳も再検討してみます。 またまた楽しいヴィヨン第2弾をありがとうございます。 いつものことながら、すてきなお訳を堪能させていただきました。 私の対訳(野暮ったいことを認めます): When she went to make the beds for waiting couples, 控えのペアに床をとる、 Or brought them warm water at daybreak, 夜明けとなれば湯を運ぶ。 It would happen at times that a kind guest 時には優しい客もいて Would slip her a coin for formality's sake. 心ばかりのおひねりもある。 When this happened she would silently thank him ことば少なに礼をする With her humble and lean smile, つつましやかに微笑み返して。 And think of the ship that braved the gales 心は、風に向かう船のこと With eight cannons and seventeen sails. 砲門八、帆柱十七の大艦船。 *「心は」は、Andと前後の行間が暗示することから補いました。 お訳では、「これは仮の世の姿、いつかきっと」と補われたところでしょうか。
お礼
ご回答ありがとうございます。 >>*「心は」は、Andと前後の行間が暗示することから補いました。 お訳では、「これは仮の世の姿、いつかきっと」と補われたところでしょうか。 了解いたしました! 分かっておりましたよ!
- SPS700
- ベストアンサー率46% (15297/33016)
待ちわびためおとに寝床を敷く時や 明け方に湯を運ぶ時 稀には思いやるのある旅人が こころざしの金をそっとくれることもある。 そんな時は黙って頭を下げ はした女のほのかな笑みを返す。 そして八つの火筒と多くの帆で 嵐に向かうあの船を思う。
お礼
ご回答ありがとうございます。 今回は個人的に今までにない難問でした!といいますのも、ほんの微かな「やさしさ」、そして、それに対するこれまた微かな「ほほえみ」、、、表現難易度MAXに感じました。それでも、やっぱり原文の情景が好きなので選んじゃいました! >>待ちわびためおとに寝床を敷く時や 明け方に湯を運ぶ時 原文のままの情景に訳してくださり感謝いたします。 それにしても、きれいな言葉をご存じですね。「待ちわびた」や、 couplesの「めおと」。日本語もいいなあとお訳を拝見して思います。 >>稀には思いやるのある旅人が こころざしの金をそっとくれることもある。 おもわず「和文もいいなあ。」と、お訳を拝見しました時に、つい思いました。やっぱり英語ならではの表現を訳すとき、SPSさんみたいに、英語ならではの表現を「日本語ならではの表現」(「こころざしの金」、「そっとくれる」等)で訳すのが理想ですね! >>そんな時は黙って頭を下げ はした女のほのかな笑みを返す。 ありがとうございます。これなんですよ!私が英文を読んで抱いた情景は! 意味を理解しても、言葉にできないモヤモヤがやっと晴れました! お陰様で、すっきりして、心が安らぎました。 >>そして八つの火筒と多くの帆で 嵐に向かうあの船を思う。 特に「嵐に向かうあの船を思う」の箇所は、原文のthe ship that braved the galesの味を維持したままで、なんと綺麗な和文になったのだろうと思いました! 英語の名文を味わい、ここで質問をして今度は日本語訳でも癒されました。最高です! ありがとうございます。
- Nakay702
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ヴィヨン第2弾をありがとうございます。 月並みながら、以下のとおりお答えします。 まずは、私訳: 控えのペアに床をとる、 夜明けとなれば湯を運ぶ。 時には優しい客もいて 心ばかりのおひねりもある。 口には出さね、礼をする、 つつましやかに微笑み返して。 心は、風に抗う船のこと 砲門八、帆柱十七の大艦船。 (やっぱり、訳も月並み…)。
お礼
ご回答ありがとうございます。 前回とはちょっと趣向を変えまして、うしろ髪をちょっと引かれる感じの、「ほのかな人情」についての詩を選んでみました。 >>時には優しい客もいて 心ばかりのおひねりもある。 意外に難しいslip her a coinの訳語ですが、やっぱり「おひねり」にしましたか! 日本にチップ文化がありませんから、私は苦労しました。 >>口には出さね、礼をする、 つつましやかに微笑み返して。 ここも難しい所でした。この微妙な表情の機敏をどう表現するかが、一番の難所でした。 「つつましやか」を選ばれましたか! いつも、ありがとうございます。 また、よろしくお願いいたします。
お礼
ご回答ありがとうございます。 >>#2です。改訂訳です。 おおお!!! まさか、さらなる高みに至りましたか! 大感激です! >>稀には気遣いのある旅人が 何がしかの金をそっとくれることもある。 こっちの方が断然好きです! 前回よりも、より一般的な言葉を使われているのに、言葉が前回とは比較にならないほど輝いています。 やっぱり、言葉の輝きは、使いどころを見極める作者次第なのだと思い知りました!そう思うと、日常の言葉も本来は宝の山に囲まれているはずなのに、、、自分は、と思ってしまいます。 >>そんな時女は黙って頭を下げ 恥ずかしげにほのかな笑みを返す。 こっちも、日常語を使っての芸術品に、和風ならではの備前焼のような素朴な美しさを感じます。たまりませんね! >>そして八つの火筒と多くの帆で 嵐に向かうあの船を思う。 そして、前文が変更されたことにより、こちらも映えますね。 「はした女」の思う「あの船」と、「恥ずかしげに」笑みを返す女の思う「あの船」では、全然別物です! やっぱり、大切ですね。すべての要素が! いや~、本当にいつも質問してよかったと思います。 ありがとうございます。 また、よろしくお願いいたします。