- 締切済み
アーク溶接の電流と電圧の関係についての解説
- アーク溶接における電流と電圧の関係について説明します。
- 一般的に、電圧を上げるとどのような影響があり、また、電流を上げるとどのような影響があるかについて解説します。
- 電圧と電流がアーク溶接時にどのように作用し、溶接の品質にどのような影響を与えるのかについて詳しく説明します。
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
みんなの回答
まぁまぁ kinko-z さん。 弊社の作業者もそうなんですが、半自動などの溶接機などを はじめて見た方というのはこのような感じですよ。 特に気がない作業者は溶接は出来ても知識は全然ないことが 非常に多く、『音が良いから』とか『見た目が良いから』などという 判断をよくします。確かに判断基準の一つではあるのですけども・・・ 私はよく弊社の中でも外注さんでも取引先さんでもそういう人を 見かけます。逆に知識ばかりで溶接が全然出来ない人も・・・ まぁそれは置いといて・・・ おそらくpureさんが知りたかったのは ・電流の大小→熱量の大小→溶け込みの深さ ・電圧の大小→短絡回数の大小→ビードの形状等の変化 といった単純なものだったのではないでしょうか? 確かにpureさんは勉強不足かもしれませんが、知りたいという 気持ちを忘れずにいて欲しいと思います。 まず、溶接の電流、電圧の設定の方法についてですが普通は電流値を先に 決定します。 これは、板厚や溶接姿勢によって決めます。 電圧はぶっちゃけて言ってしまうと電流値をそのままにして状態が いい所で調整します。 電流値は溶け込み深さに関係しますが、目で見て分かる所でいうと 半自動の場合、ワイヤーの送給速度が変わります。 (電流を上げると早くなる) 次に電圧ですが、これが説明しにくいんですね(^^;) 溶接は放電現象であるというのは先の説明にありましたが、 電圧は放電する回数と考えてください。溶接をする際に よーく見てみるとワイヤーの先端にアークと言われる 放電現象が確認できるはずです。 これをハイスピードカメラなどで撮影しスロー再生すると アークが発生したり消えたりしているのが分かります。 この回数が電圧を上げると増えるのです。 じゃあ、どうなるのと言うことですが、簡単に言ってしまうと 電流が一定の場合、電圧を上げるとビードが平らになります。 下げるとビードが突型になります。溶接不具合に関して言うと 電圧が高すぎるとアンダーカットが生じやすく、低すぎるとオーバーラップが 生じやすくなります。どちらともスパッタの発生量は多く 溶接音も安定してません。極端に上げたり下げたりするとよく分かると 思います。 但し、ビード形状は溶接姿勢によってもかなり変化しますので違いを 見る場合、同じ溶接姿勢で溶接するのが好ましいと思います。 こんな感じでよかったでしょうか? そうですね。 私も実際はそうしてます。 大体の基本となる電圧は教本等に載ってますから そこから、状態を見て上げたり下げたりします。 今回、kinko-zさんが良い数式を載せといて頂けるので 今後、初期設定が楽になりそうです。 あと、半自動の場合はシールドガスによって大きくビード状態が 変わるので注意してください。 参考までに書きますと、SS材を溶接する場合、大きく分けてシードガスが 二種類あります。炭酸ガスと混合ガスです。 炭酸ガスは緑色のボンベに入っています。混合ガスは灰色です。 (但し、灰色ボンベはすべて溶接用のシールドガスではないので注意) 混合ガスはメーカーによっていろんな呼び方がありますが、基本は アルゴンガスと炭酸ガスのミックスです。種類によっては微量の ヘリウムや酸素を混ぜて溶接性をよくしたものがあります。 炭酸と混合の違いは簡単に言ってしまうと混合ガスのほうが 外観がすばらしく良くなります。しかし、当然のことながら 単価は高いです。大体、4~6倍の値段がします。 しかし、ビード外観がいいということはスパッタも少ないので 仕上げが早くなりコストメリットが出ることもあります。 ちなみに、炭酸ガスを使った半自動溶接を炭酸ガス半自動アーク溶接と言い 混合ガスを使った場合、MAG溶接(マグ)と言います。 機械は一緒なのでガスを変えるだけでMAGと呼び方が変わります。 細かいことを言うとワイヤーも変えなければいけないんですがね・・・・ 余計なことだったかもしれませんが、すこしでも参考になれば幸いです。
アーク溶接の原理を少し勉強されれば自明ですが・・・ そもそもなぜアークによって溶接が可能かを考えてください。 アークは放電現象ですよね。つまり、アークは電子が空気中を移動する現象です。このとき、溶接される部分と溶接棒が電気抵抗による発熱で高温となり、溶ける温度まで上昇すると、溶接棒の先で溶けた金属が溶接される部分に落ちて一体化すます。 放電の場所を順次移動していけば、溶接棒の先端は次々に溶けて、移動した部分に落ち、冷えて固まっていきます。 このとき、発生する熱は、アーク部分の電子の通過量・・・つまり、電流によって決まります。電流が多ければ熱が高くなる・・・という具合です。 電圧と電流の関係は、一般的にはオームの法則E=I・R(E:電圧、I:電流、R:抵抗(一定))で表されますが、放電現象の場合、抵抗は放電が始まるまでと始まってからでは劇的に低く変化するので、長く安定した放電を続けることはできません。 しかし、電源側に細工をして、放電が始まる時は電源の内部抵抗を低く、放電が始まって電流が多くなったら電源の内部抵抗を高くするような特性(これを負性抵抗特性といいます)にしておくと、放電が安定して長く続きます。溶接機は電源に負性抵抗特性を持たせ、外部から放電電流を適当に設定してあげられるように工夫されています。 これは全ての放電現象について言える事なので、家庭で使う蛍光灯には安定器が付いていて蛍光灯の放電電流を一定に保つ役目をしています。 もう一度整理すると、一般的には抵抗は一定ですから、電圧と電流の関係はオームの法則に従います。つまり、電圧を上げれば電流もあがる。 しかし、アーク溶接は負性抵抗特性を使っているので、電流が上がると電圧が下がり、電圧が下がると電流が上がる、ということになります。 そもそもアーク溶接がアーク放電であることも知らないようでは困りますね。このような質問をされるということは、大丈夫ですか?絶縁とか、電撃防止装置とか、わかりますか? もしこの言葉がわからないようなら、あなたはアーク溶接作業をするまえにもっと勉強しないといけないと思います。そうでないと、感電して死ぬかもしれませんよ。 溶接作業を行なうには、厚生労働省の認定する機関(安全協会など)の実施する「アーク溶接等の業務に係る特別教育」を受講しなければなりませんが、アーク溶接の原理はそこで勉強しているはずです。 質問1、空気中を電子が移動する? 放電は雷と一緒です。雷は放電の一種というべきでしょうか。「なぜ電子が空気中を移動できるようになっているのでしょうか?」との問いは、なぜ雷が落ちるか、と質問しているのと同じですね。 普段空気は電気抵抗がたいへん高く、絶縁物と同じです。しかし、短い距離で高い電圧を持ったものが向き合うと電界強度が高くなり、絶縁が破壊されて一挙に電気が流れます。これを放電電流といいます。 質問2、電気抵抗? 電気が流れれるところには必ず抵抗があります。電線にも抵抗があります。そこに電流が流れれば発熱します。放電部分にも抵抗があります。金属部分と絶縁破壊された空気との境界は特に抵抗が大きいのでよく発熱します。 質問3~5、電気抵抗が低くなると安定した放電がえられない?、溶接の機械の電圧と電流のねじの関係は? 私の回答で、以下の部分が舌足らずになってしまい、混乱させたかもしれませんので、解説を追加します。 ------追加する部分の開設------- しかし、電源側に細工をして、放電が始まる時は電源の内部抵抗を低く、放電が始まって電流が多くなったら電源の内部抵抗を高くするような特性(これを負性抵抗特性といいます)にしておくと、放電が安定して長く続きます。溶接機は電源に負性抵抗特性を持たせ、外部から放電電流を適当に設定してあげられるように工夫されています。(垂下特性をもった可動鉄芯型トランスなど) これは全ての放電現象について言える事なので、家庭で使う蛍光灯には安定器が付いていて蛍光灯の放電電流を一定に保つ役目をしています。 ------以下は解説の追加------- そもそも放電現象は負性抵抗特性があるので、電源回路に適当な抵抗を入れておけば丁度バランスしたところに電流が落ち着きます。この抵抗を「ハンドル」で調整(変えてやる)すれば溶接電流を変えてやることができます。 雷はものすごい電流がながれて一瞬で終わってしまいますね。雲と地表の間に溜まった静電気が空気の絶縁を破壊することで短絡したように一瞬で流れてしまいます。蓄えたエネルギーは大きくても静電気なので連続的に電流を流すには至らない。それに比べ、アーク溶接や蛍光灯(放電管)は連続的にエネルギーを供給できる電源を持ち、この電源側に抵抗(安定器)があるので放電の負性抵抗特性とあいまって放電電流を一定の値に保つことができる・・・・という具合です。 細かいことはともかく、溶接機のハンドル(電流値)をいじれば溶接電流を変えられるということです。 放電現象をしっかり理解するにはそれなりに勉強が必要です。以下のHPにて詳しく説明されていますので参考にしてください。 http://www.geocities.jp/hiroyuki0620785/lamp/disch.htm 質問6、あと金属の洗濯板みたいに挟むやつで加工物をはさまないと溶接がはじまらないのはどういう理由? 最後の質問ですが、溶接は電流を流す作業なので、一本の電線(電極棒とそれにつながる電線)だけでは何も起こりません。 小学校でやった実験で、電池で豆電球を点灯させたと思いますが、そのとき、豆電球につながる電線は2本必要でしたよね。プラスとマイナス、それと同じです。ですから、帰りの電線が必要なんです。溶接機からは、電極(溶接棒を挟む側)に繋ぐ電線と溶接母材(溶接をしようとする鉄骨など)に繋ぐ電線がありますね。 繰り返しますが、アーク溶接の特別教育を受講されているのでしょうか? 電気溶接(アーク溶接)は簡単な設備ですが、設置方法や取扱を間違えると大きな事故(作業者が感電して死亡する)になるケースもあります。 溶接棒を掴む側(ホルダー側)の金属部分を素手で触れると感電し、死亡するケースもあります。 「ワークを挟む洗濯ばさみのようなやつ」は母材側であり、アース(D種接地工事、接地抵抗100Ω以下)されていることになっているので感電しないはずです。きちんとアースされているかどうかは、接地抵抗計で確認して下さい。 こうしたことは特別教育を受講すればみな教えれもらえるはずですし、教則本に掲載されていることばかりです。 もし学生さんでこのような質問をされているのでしたら、その旨ご記入下さい。プロフィールに何も書かれていないので、どのような視点で回答したらよいのかわかりません。 失礼な言い方になってしまいますが、最初のご質問から補足質問に至る一連の流れは、現場技術を扱っているものとしてはいささか不本意であり、回答する意欲を削ぐものです。 もし学生さんならあまりにも不勉強であり、このような稚拙な質問を次々に浴びせることに対し、極めて強い不信感を抱きます。もっと勉強してください。 もしこれから作業をしようという者であれば、法令で定める特別教育を受ければ全て分かるレベルのものであり、これらのことが本当に分からないのであれば、あなたはアーク溶接作業を行なうべきではないと思います。 もし特別教育を受けてもこのような疑問があるとすれば、一人で作業に入らず、近くにいるよく分かっている人に直接指導を受けてください。 これは意地悪で言っているのではなくて、あなたが感電等の事故にあわないための忠告だと考えてください。 溶接トーチ、金属ワイヤーが送られてくる側です。 半自動溶接機の電源回路はトーチにある起動スイッチを入れるまでつながらないので、無負荷電圧(感電事故が起きる可能性のある)の発生している時間がごく短く、直流且つ低電圧なので、手溶接に比べ感電の可能性が低く、安全です。 最初の質問ですが、半自動ならアーク長を一定に保つために、電圧を一定に保つ「定電圧特性」を持っています。例えば、電流を300Aに設定したとすると、電圧と溶接の「溶け込み」の関係は、以下のようになります。 電圧 溶け込みの幅 溶け込みの深さ --------------------------- 28V 狭い 深い 32V 28Vより広い 28Vより浅い 35V 広い 浅い --------------------------- このとき、電流を多くすれば発生する熱も比例して多くなるので、溶接全体の溶けている部分の断面積が大きくなり、溶接ワイヤーも多く(速く)送り出すこととなります。 実際の溶け込みの幅と深さは溶接する部分の肉厚や大きさによって違ってくるので、目立たないところで実験的に条件を変え(電流や電圧)ながら良い値を見つけるとよいでしょう。 ついでに・・・・ 短絡~正常溶接~粒状(溶接ワイヤだけ溶けて玉になってしまう状態)の電圧(V)と電流(A)は、以下のような数式を目安にしています。 短絡 Es=(0.04*I+16)±2 (V) Es:短絡移行を起こすときの電圧(V)、I:溶接電流(A) 粒状 Ed=(0.04*I+20)±2 (V) Ed:粒状移行を起こすときの電圧(V)、I:溶接電流(A) 従って、電圧が低いと短絡が多発し、高いと溶接ワイヤーが玉になって溶け込まない状態となるので、その間の電圧にしなさい・・・ということです。 従って、先ほどの300Aで考えると、28Vでは短絡移行の回数も多くなることが予想され、35Vでは粒状になる可能性が高いということも予想できますね。
補足
ありがとうございます。 まずアークとういうものが何かよく知らなかったのですが、放電現象のことをアークというのですね。 >アークは電子が空気中を移動する現象です 疑問なのですが、なぜ電子が空気中を移動できるようになっているのでしょうか? >このとき、溶接される部分と溶接棒が電気抵抗による発熱で高温となり 電気抵抗が生じるのはなぜでしょうか? >抵抗は放電が始まるまでと始まってからでは劇的に低く変化するので、長く >定した放電を続けることはできません。 抵抗が低くなると安定した放電をつづけることができないのはなぜなのでしょうか? >電源側に細工をして、放電が始まる時は電源の内部抵抗を低く、放電が始 >まって電流が多くなったら電源の内部抵抗を高くするような特性(これを >性抵抗特性といいます)にしておくと、放電が安定して長く続きます。 放電が始まるまでは加工物との抵抗が高いからその分電源内部で抵抗をあげ 放電がはじまると抵抗が下がるからその分電源内部の抵抗を上げて E=IRのRの値が変動しないようにして電圧と電流の値を一定に安定させるようにしているということでしょうか? 溶接の機械の電圧と電流のねじをどうまわすとどうなるかということがいまいちわからなかったので質問させていただきました。 あと金属の洗濯板みたいに挟むやつで加工物をはさまないと溶接がはじまらないのはどういう理屈なのでしょうか? 疑問ばかりですいませんが、よろしければお願いします。 ありがとうございます。 >溶接機からは、電極(溶接棒を挟む側)に繋ぐ電線と溶接母材(溶接をしよ >とする鉄骨など)に繋ぐ電線がありますね。 ということは電源が電池だとすると溶接棒とワークをつなぐラインで電流がながれていることになりますが、 そうやって溶接棒とワークをつないでいるときにそのワークをはさんだ 選択バサミのようなやつを素手でさわると感電するということでしょうか? ありがとうございます。 特別教育は数年前に受けましたが、もう忘れてしまいました。 >溶接棒を掴む側(ホルダー側)の金属部分を素手で触れると感電し、死亡す >ケースもあります。 溶接棒をつかむやつではなく半自動で金属が送られてくるタイプなのですが、 この場合の溶接棒を掴む側(ホルダー側)の金属部分というのは どこに該当するのか どうか教えて頂けないでしょうか? よろしくお願いします。 >半自動溶接機の電源回路はトーチにある起動スイッチを入れるまでつながら >いので、無負荷電圧(感電事故が起きる可能性のある)の発生している時間 >ごく短く、直流且つ低電圧なので、手溶接に比べ感電の可能性が低く、安全です。 ありがとうございます。 半自動でもボタンを押している間は電流がながれているんですよね? そうすると溶接している間はずっと電気がながれていることになりますが、 感電の可能性が低く安全なのはなぜでしょうか? レバーを押している間はずっと危険性があるのではない理由がいまいちわかりません。 また人間の体が、絶縁体でなく電気を通すのはなぜでしょうか?
補足
ありがとうございます。 >おそらくpureさんが知りたかったのは >・電流の大小→熱量の大小→溶け込みの深さ >・電圧の大小→短絡回数の大小→ビードの形状等の変化 まさにそれを知りたかったのです。 溶け込みの深さはわかりますが、・電圧の大小→短絡回数の大小→ビードの形状等の変化は大小ならどのように形状が 変化するのでしょうか? よろしくお願いします。 ありがとうございます。 電圧は理屈よりも実際に触って調整したほうがよさそうですね。