文法的には、ドイツ語のdassは省略不可能で、口語でも同じです。
たぶん、「dassの省略」ではなく、
「dassで導かれる複文を使わない」というケースを言っているのでしょう。
「dassの省略」などという解説をしているところがあるのかと思い調べたところ、
ひとつだけ個人のブログに、昨年11月ごろに放送された
NHKの「まいにちドイツ語」に関連して、
「接続詞dassの省略」という書き込みがありました。
そこには以下の例文が引用されています。
○Was ist mit dem Toaster?
●Ich glaube, der Toaster ist kaputt.
○Was ist mit Lars?
●Ich denke, Lars kommt auch.
このようなケースのことを言っているのであれば、
これは正確には「dassの省略」ではなく、
「dassで導かれる複文そのものを使っていない」ということになります。
もし「省略」というだけなら、語順は変わらないはずですが、
dassを使った場合とは語順が異なっているのはわかりますか?
Ich glaube, dass der Toaster kaputt ist.
上の文のdassだけを省略して下のように言うことは不可能です。
× Ich glaube, der Toaster kaputt ist.
Ich glaubeに続くder Toaster ist kaputtは、
単純な主語+動詞+補語の文です。
つまり、単純な文を二つ並列しているだけです。
とくにglaubenやdenkenなどの動詞のときは、
主文というよりは、「たぶん」に近い発話のような感覚で、
Ich glaubeとかIch denkeの後に、
考えている内容を改めて付け加えているだけといえます。
前後の文の関係は必ずしも密接ではありません。
また、後続の文が非常に短いので、
これを、dassを使った複文にして動詞を後置するのもちょっと硬いです。
このくらいの長さなら、会話ではdassを使わないのが普通といえますが、
後続の文が長くなって情報が増える場合や、
最初の文の動詞によっては、
やはりdass-複文を使った方が自然になります。
また、上のような肯定形ならよいですが、
否定形だとdassは必要になります。
Ich glaube nicht, dass der Toaster kaputt ist.
sagenなどの動詞の場合は、dass-複文を使う形も、
単純な文を並列する形も使い、dassを使わないのが普通とはいえません。
Er hat gesagt, dass er nicht kommen kann.
Er hat gesagt, er kann nicht kommen.
下の形は、確かに日常会話では多く見られ、正式な文書などでは使いませんが、
小説などでは表現のスタイルとして使うことはありますし、
dassを使う方も、会話でも使用します。
「親しい間柄」というようなことは特に言えないように思いますが、
まあ、ざっくばらんな話し方で、文の構造も単純なので、
その他の要因、たとえば話者の年齢とか社会的階級(教養)とも多少関係してくるかもしれません。
動詞にもよると書きましたが、たとえば下のような場合(sich freuen)は、
dass-複文は不可欠です。
Ich freue mich (darauf), dass er mich besucht.
質問内容がいま一つ明確でないので、
このような回答でよいのかどうかわかりませんが。
お礼
とても参考になりました。ありがとうございました。
補足
「dassで導かれる副文を使わない」というまさにそのケースです。おげですっきりしました。 もう少しこの質問の背景を説明しますと、非常に仲の良いドイツ人の同僚と仕事上のメールをやり取りする際、彼はほとんどdass副文を使わない事が気になっていました。しかし彼は取引先にメールをする際などはしっかりdass副文を使用しています。同僚や友人の間柄ではメールといえどもdass副文を使うと堅苦しいイメージなのかな、dass副文でない方が良いのかなと漠然と思っていました。