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春画に書かれている文の内容を知りたい
例えば下記のもそうですが、春画にはよく文が付いています。 一体どういった内容の事が書かれているんでしょうか? そもそも、春画を描く目的は何なんでしょうか? 江戸時代、男の自慰に供する目的などあったのでしょうか? 北斎もそんな目的のために描いたのでしょうか? http://blog.q-q.jp/201404/img6_8.139699625183123859227.html 宜しくお願いします。
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>一体どういった内容の事が書かれているんでしょうか? 大きく分けて詞書(ことばがき)と書入(かきい)れがあり、 浮世絵春画の詞書は、主に絵の主題や物語を説明するもので、 文章のこともあれば、漢詩や和歌、狂歌や川柳といった 様ざまな形式のものがあり、 一方書入れは、画中の人物の言葉を記したもので、 今の漫画の吹出しの言葉と同じようなものだそうです。 書入れでは、たとえば ◇ 勝川春潮筆『好色図会十二候』より「二月の図」 男「今日は初午でみんな王子稲荷へ行つて留守だから、 おれも穴稲荷へ参らう」 女「なんぼ初午でも、おまへの物はあんまり太いから息がはづむ。 アヽいつそもう、ヲヽモウ\/いく\/」 ◇ 葛飾北斎筆『喜能会之故真通』より 養子「おつかさん、どうぞ今晩は三丁でお寐みなさいまし。 又あす朝いつものやうにいたしてあげますわな」 後家「ヱヽモ、この子は不孝なことをいひやるなう。仏さまに誓つて後家を 通して、親類に後ろ指をさされまいと思うてゐたところを、いつぞや 玉門寺でそなたに出会うた時のことを覚えてゐよう。あの時のお稚児 ぶりの美しさ可愛ゆらしさ。そなたを見た途端、何もかもいらなくな つて、どうかしてそなたを養子にもらひたくて、いつそもう気がもめ て\/、やうやうと助兵衛坊主をだまして、やつとのことで親子にな つたものを、そのやうなつれない言ひ草があらうか。たつた一人の母 にやさしくしてくりや。コレサ\/モツト根まで入れて、 フヽヽウ\/、ヲヽ\/アヽ」と口にてツッパ\/チウ\/\/。 音ごぼ\/づぼ\/ひちや\/。「ハアおゝよいヨ\/、 こなたはとても孝行者ヨウ」 ほか、書入れ部分は下記ほか各URLに多数収録されています。 ○第4回 書入れを読めば場面一転、面白さ倍増 http://www.slownet.ne.jp/sns/area/culture/reading/ukiyoe_qa/200907231425-9488170.html >春画を描く目的は何なんでしょうか? 下記「浮世絵春画Q&A(第1~12回)/早川聞多」等を御一読されれば 概ね全体像が浮かぶように思います。 ● 浮世絵春画Q&A 早川聞多 http://www.slownet.ne.jp/sns/area/culture/reading/ukiyoe_qa ○第5回 性は笑ひなり http://www.slownet.ne.jp/sns/area/culture/reading/ukiyoe_qa/200907231609-9488197.html ○第7回 春画は老若男女、貴賤を問はず http://www.slownet.ne.jp/sns/area/culture/reading/ukiyoe_qa/200907231622-9488201.html あと、早川聞多氏関連では下記など。 〇「性は笑ひなり:浮世絵春画の「可笑しさ」をひもとく/早川聞多」 『笑い学研究(10), 日本笑い学会,2003-07-19』(p.131-137) http://ci.nii.ac.jp/naid/110002671996 〇「人類の始まりと日本人の性文化:浮世絵春画はおもしろい (京都文教大学人間学研究所2012年度公開シンポジウム)/早川聞多[講師]他」 『人間学研究13,京都文教大学,2013-03-31』(p.73-104) http://ci.nii.ac.jp/naid/110009786582 〇「浮世絵春画に見る江戸時代の性風俗と性文化/早川聞多」 https://nichibun.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1416&item_no=1&page_id=13&block_id=21 あと特に、下記の「浮世絵春画と道教/早川聞多」では 「婚礼に持参する春画は「夫婦和合」を願ふ「祝儀用」のものであつたと考 へた方がよからう。」 「春画が火除けの呪ひとして利用されたことが知れる。」 「春画が武運長久や火除けの呪ひに利用された理由を推察するに、やはりそ こには「男女和合」の図が「陰陽調和」を象徴し、事が順調に流れるイメー ジが「魔除け」になると見做されたやうに思はれる。」などと なかなか面白かったです。 〇「浮世絵春画と道教/早川聞多」 https://nichibun.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=3132&item_no=1&page_id=13&block_id=21 以上
>一体どういった内容の事が書かれているんでしょうか? 登場人物どうしの会話やその場の情景などが書かれています。 >そもそも、春画を描く目的は何なんでしょうか? 性生活の手引書の役割がありました。 婚礼の贈り物などとしても使われていました。 〇それ枕絵はよめいりのとき第一のお道具也 〇人の心をよろこばしむるゆえなるとかや武士之具足櫃に入れるるも此の故成るべし などと書籍形式のものには出版の意図が記載されているものもありました。 大名や旗本、豪商などの娘に性に関する市井の情報が入りにくい家庭では、結婚年齢が若いというよりも幼かったので嫁入りの際の手引書として重宝がられていました。 家を継ぐということが最重要課題の時代でしたので、性は子孫繁栄には欠かせないものだという考え方が根底にありました。 江戸時代の出版物の統制というのは、版木を使った印刷物に対するものだけで、版木を没収廃棄するという方法がとられていました。 筆写したものや原本の肉筆のものなどは対象外でした。 幕政を批判するものや、将軍を愚弄するようなものは厳しく捜査されましたが、それ以外のものについては、禁止令があるよネという程度でした。 結果として現代も沢山残っています。 江戸文化を知る貴重な史料となっています。 現在の週刊誌にヌード写真が掲載されているよりも、多岐に渡る使い方があったということです。 >江戸時代、男の自慰に供する目的などあったのでしょうか? 江戸の街のように女性の絶対数が少ない街ではこのようなことに使う人もいなかったわけではないでしょう。 かけ蕎麦一杯が16文の時代に浮世絵はA4程度の大きさで一枚20文程度でした。 セット物になると300文程度になりました 江戸時代は性に関しては極めておおらかな時代でした。 公娼だけではなく私娼が沢山いました。 岡場所の私娼だけではなく飯盛女、提げ重、妾奉公など女性が性を商品とする職業もいろいろもありました 地方によっては夜這いの習慣もありました。 若者が一定の年齢以上になると若衆宿とか娘宿と呼ばれる集団で暮らす風習もありました。 村落の先輩が指導しました。 浮世絵で性を発散させるよりも簡便に処理できる時代でした。 >北斎もそんな目的のために描いたのでしょうか? 現代も裸婦が絵画のテーマになるのと変わりはありません。 出版の目的が目的であったこともあり、堂々と名前を記載していましたので、常に巧拙の批判を受けました。 一流の画家の腕のふるいどころでした。 購入する人も、婚礼の贈り物が稚拙でみすぼらしいものでは恥をかくだけです。 少なくても興味本位のものではなかったということです。 詳しくは浮世絵の研究家が書いた書籍があります。 艶本江戸文学史 河出文庫 林美一著 Amazonで入手が可能です。