「引きずり込まれた」という表現が近いでしょうね。ご存知のように、中国と日本を比べると人的資源も国土の広さも中国側が圧倒的です。だから中国側とすれば日本を自国の奥深くに引きずり込めば込むほど泥沼に持ち込めたというのがあります。
その事情に加えて、中国側が国民党軍や共産党軍などが存在して群雄割拠の状況となっていたというのもありますね。特に国民党軍は名目上は蒋介石が代表でしたが各地に親分みたいなのが蔣介石のいうことを聞かずにてんでに勝手にやっていました。中には勝手に紙幣を発行したり、独自にアメリカ政府などと交渉をするといったような、まあ実質的に統一国家というのは存在しない状況でした。
その上、中国にはこれといった産業がなかった。人が集まる都市と、農地が果てしなく広がるだけだったので「この生産地をとられると国家が成立しなくなる」というようなところがなかったのです。だから土地に執着する必要がなかったので、日本軍に攻められたらどんどん逃げればよかったのです。
子供のいじめみたいなものですよ。こっちは多数、相手はひとり。相手が背中を向けていたらそれを叩いて、追いかけてきたらひたすら逃げる。すると誰かがまた後ろから叩く。そのくり返しです。
さらに加えて、日本が(戦前は軽工業中心でしたが)工業国だというのもありました。それがどうしたのかというと、戦争相手の中国から資源を輸入しないといけなかったのです。これってもうなんの悪い冗談だって話ですよ。湖北省に大冶鉄鉱という一大鉄鉱山があって、日本の鉄生産はこの大冶鉄鉱なしにはできなかったのです。日本も朝鮮半島で鉄鉱山とかを探したのですけど、ただ日本と朝鮮半島の鉱物資源というのは火山のせいで硫黄を多く含んでいるので元々質の悪い鉄鉱石なんだそうですよ。どのみち大陸なりどこかから鉄を輸入する必要があったのです。
この大冶鉄鉱が内戦で輸入が滞ると日本経済にまで影響しましたからね。特に第一次大戦以降は戦争とは「火薬を詰めた鋼鉄を相手により多く投げつけたほうが勝ち」となってきて、ついでにソ連が五か年計画で重工業国家として台頭してくると日本もなんとかしないと戦争に負ける、という危機感があったのです。
このへんの事情は今のサッカーにちょっと似てて、今のサッカーの日本代表はアジアでは強豪国ですが、欧米や南米からは弱小国ですよね。日本軍もアジアではほぼ無双状態だったのですが、欧米列強に比べるとジリジリと差が離されていく状況だったんですね。
そんな中で鉄鉱石の安定供給というのは国家戦略に重要な課題となっていたのです。
この辺り、資源のない国が背伸びする哀しさでもありますね。
お礼
ありがとうございます。 中国の鉱物資源が目当てで、というところがあったということでしょうか。 初耳でした。 http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-2103.html では、日本は譲歩した~とありますが、果たして全体で見ればどうなのか。