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WAIS-IIIの結果から分かる特徴と向いている職業
- 中学生の頃から精神科に通っており、以前WAIS-IIIを受検しました。結果は言語理解と知覚統合の二組と作動記憶と処理速度の差が激しいとのことでした。
- 処理速度が低い理由として、ゲームや人付き合いが苦手なことから考えられます。知覚統合や言語理解が平均以上であったことは中学まで成績が平均以上であったこと以外は思ったことがありませんでした。
- 高校では親とのトラブルがあり、通信制に通っています。進路はまだ決められていません。
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こんにちは。 心理士をしています。 どのような理由で精神科に通院していらっしゃるか分かりませんが、お示しのWAIS-IIIの結果から分かることについて、説明させてもらいます。 WAIS-IIIは、日本で最もよく用いられる大人用の知能検査です。 3種類のIQと、4種類の群指数を求めることができます(そのほかに、各下位検査の評価点も得られます)。 IQと群指数は、ある年齢群の中で平均的な 成績を取ったときに100になるようつくられている、相対的な数値です。 どちらも、理論的には、90~109の範囲に50%の人が含まれるようになっており、この範囲が「平均」と評価されます。 さて、n2719042 さんの全検査IQは、120でしたので、「高い」水準に入ります(本来、知能のような心理的な特性では、測定誤差をともないますので、それを考慮する必要がありますが、ここでは説明が煩雑になりますので、割愛します)。 言語性IQの122も、全検査IQと同じく「高い」水準でした。 動作性IQ (112)は、「平均の上」と評価されます。 IQから見ますと、「平均の上」~「高い」知能をお持ちと考えられます。 言語性IQと動作性IQとの間には、統計学的な有意差(統計学的に調べ、意味のある差)が認められました。 ただし、言語性IQと動作性IQの区別については、最近の研究で、理論的にも、実証的に もあまり根拠がないとされるようになり、新しい知能検査では廃止されています。 この両者の差については、あまり気になさらなくてもよいと思います。 ちなみに、言語性 IQ は、言語的な能⼒(言葉を⽤いて考える、言葉を理解し、言葉で表現する能⼒)や、学校で学ぶような知識の⾼さを表しています。 また、動作性 IQ は、視覚的な情報の処理能⼒や、視覚的(非言語的)な思考⼒、視覚- 運動能⼒(視覚情報に基づいて操作をする能⼒)を⽰しています。 最近では、言語性IQ、動作性IQよりも、群指数(言語理解~処理速度の4つ)に注目して解釈します。 群指数は、認知能力を測定しています。 これら4つの群指数はそれぞれ次のような能⼒を測定しています。 ・言語理解……言語理解と言語表現の両者を含む、言語能⼒の⽔準、言語的な思考⼒の⾼ さを⽰します。 ・知覚統合……視覚や、視覚運動に基づく知覚や認知能⼒。とくにものとものとの関係を 捉えたり、細かい部分を全体にまとめて理解する能⼒、イメージを⽤いる思考能⼒を⽰します。 ・作動記憶……情報や、刺激を数秒~数分の短時間、記憶に留めておき、さらに、それら の情報に基づいて、計算や思考など⼼理的作業をする能⼒。ここでは、主に聴覚的な短期 記憶に基づく。 ・処理速度……心理的作業のスピードや、視覚的な短期記憶、視覚的な作動記憶の能⼒を 意味します。 n2719042 さんの言語理解は118で、「平均の上」、知覚統合は123で「高い」、作動記憶の98と、処理速度の92はそれぞれ「平均」という高さでした。 群指数は、「平均」~「高い」水準にありますが、質問文に書いていらっしゃるように、かなり差があります。 4つの群指数の間で、統計的な有意差を調べますと、次のようにまとめることができました: 言語理解≒知覚統合>作動記憶≒処理速度 ≒は、数値的には差があるものの有意差はなかったことを、また、>は有意差が認められたことを示しています。 すなわち、群指数からみた認知能力には、アンバランスがあるといえます。 群指数は、上にも書きましたが、「平均」以上の高さをお持ちではあるものの、有意差が認められましたので、n2719042 さん自身としては、言語理解と知覚統合は得意であるものの、作動記憶と処理速度は苦手であると考えられます。 こうした認知能力のアンバランスは、知的水準の高い方ではよく見られますし、また、発達障害と診断される方でも見られることがあります。 ただし、認知能力のアンバランスがあるからといって、直ちに発達障害であるとはいえませんので、この点は誤解なさらないでください。 発達障害の診断は、生育歴や、心理・行動上の特徴に基づいて行われ、知能検査の結果はあくまでも参考資料と位置づけられています。 さて、言語理解と知覚統合は、知能の中心的な能力を示します。 n2719042 さんの場合、この2つがとくに高くなっていましたので、知能そのものは高いといえます。 一方、作動記憶・処理速度は、知能の中心的な能力をうまく発揮させたり、集団の中で適応してやっていけたりするような能力を意味しています。 したがって、n2719042 さんは、高い知的能力をお持ちであるものの、それをうまく発揮できない状態で、いろいろとお困りではないかと思われます。 認知能力にアンバランスがある場合、苦手な能力を鍛えるのではなく、得意な能力を活かして学んだり、仕事をすることや、得意な能力で苦手な部分を補う、あるいは、苦手な能力にあまり負担をかけないで済む方法を考えることがよいとされています。 WAIS-IIIの詳しい解釈や、この結果を日常生活や学業、進路選択にどのように活かすかについては、検査を実施してくださった医療機関の心理士さんにご相談になるのがもっともよい方法です。 検査結果の数値だけで解釈しますと、適切な解釈が難しく、検査場面での様子や、他の情報を合わせて見ていくことが必要ですので、このようにお勧めします。 また、ご自分でできることとしては、最近発達障害のある方向けの一般図書がたくさんでています。 大きな書店の心理学などの棚にもあるでしょうし、図書館などにもあるかと思います。 それらをご覧になって、ご自分に当てはまるところがあれば、そこに書かれた助言を取り入れてみるということが一つの方法だと思います。 以上、ご参考までに。
お礼
丁寧な回答ありがとうございます。 自分のIQについてよくわかりました。 進路についてはvzb04330さんのアドバイス通り検査していただいた心理士の方に相談してみようと思います。 ありがとうございました。