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wais-iiiの検査結果とは?25歳女性の特性とは?
- 25歳の女性が受けたwais-iiiの検査結果を教えてください。
- wais-iiiの検査結果から分かる特性とは何でしょうか?
- 25歳女性のプロフィールや現状、心療内科受診の経緯も含めて教えてください。
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質問者が選んだベストアンサー
心理士で、元大学の教員です。 他の方からの回答がつかないようですので。 質問者様には、全般に高い能力をお持ちですが、必ずしもバランスがとれていない状態ですので、大変生きにくい、また、仕事や日常生活の面でいろいろな困難をお持ちで、困り、苦しんでいらっしゃるものと拝察します。 以下、ご質問文に書かれたWAIS-IIIの結果と、プロフィールに基づいて考えられることを書かせていただきますので、もし参考になれば、幸いです。 なお、あくまでも、「考えられること」つまり、検査結果に基づく「仮説」ですので、もし思い当たるところがなければ、正しくないかもしれません。 1.知能水準 WAIS-IIIのIQ(知能指数)は、ある年齢集団の中で平均的な成績を取ったときに、IQ=100になるよう設定されています(統計学的には、標準得点といいます。群指数も同様です)。 また、IQ=90~109が、「平均」と判断され、この範囲に50%の人たちが含まれるように作られています(これも、群指数についても共通します)。 質問者様の全IQ(FIQ)=120から見た、全体的な知能水準は、「高い」といえます(信頼区間=誤差範囲を考えますと、「平均の上」から「高い」に含まれます。本来は、誤差範囲を考慮して説明する必要がありますが、煩雑になりますので、以下の記述では、割愛します)。 また、言語性IQ (VIQ)=124は「高い」、動作性IQ(PIQ)=110は「平均の上」になります。 したがって、IQから見たとき、質問者様の知能の高さは、「平均の上」か、「高い」レベルにあると考えられます。 ただし、VIQの方がPIQに比べ、統計学的には有意に高くなっていました。 つまり、聴覚言語的な能力の方が、視覚運動的な能力よりも高いといえます。 ちなみに、理論的には、「平均の上」には、16.1%、「高い」には、6.7%の人が含まれます。 なお、最近の理論的、実証的研究の進歩で、言語性IQ・動作性IQという区分には、意味がないことが分かってきて、WAIS-IIIの次期バージョン(WAIS-IV)では廃止される見込みです。 実際、児童用のWISC-IVでは、この区分は廃止されました。 それ故、ここでは、言語性IQ・動作性IQについての説明はこれ以上は控えます。 2.群指数の特徴 群指数については、「作動記憶」が88と「平均の下」でしたが、それ以外の3つは、いずれも100を越えており、「平均」またはそれ以上の高さでした。 したがって、質問者様の知的な能力を群指数という、IQよりはやや細かい個別能力の面から見ると、「作動記憶」を除きますと、「平均」かそれ以上のレベルにあると考えられます。 さらに、群指数の間で、差があるかどうかを検討してみますと、統計学的な有意差(統計学的に見て、意味のある差を有意差と呼びます。数値の間に違いがあっても、有意差が認められないと、そこには意味のある差はないと考えます)が認められました。 質問者様の場合、「言語理解」=131がもっとも高く、次いで、「処理速度」=113でした。 3番目は、「知覚統合」=108で、「作動記憶」=88がもっとも低いものでした。 統計学的な有意差を調べ、その結果をまとめますと、次のようになります: 言語理解>知覚統合≒処理速度>作動記憶 不等号は、有意差を示し、等号(≒)は有意差が認められなかったことを示します(言語理解>処理速度であったことを付記します)。 これは、質問者様の個人の中での能力の差ということで、能力の「個人内差」と呼ばれるものです。 いわゆる「健常者」や、「定型発達者」という方々でも、多少の差は存在しますので、これだけで何か、発達障害があるとか、発達障害の診断がつくということにはなりません。 ただし、逆に、発達障害のある方では、群指数に大きな個人内差が認められる傾向はあります。 ここのロジックはやや煩雑ですが、よくお読みいただき、区別してください。 群指数の間で、有意差が認められたということは、質問者様の個人内差は、アンバランスと呼べるくらいのものがあることを意味します。 これが、「仕事もプライベートも上手くいかない事が多く、生き辛さを感じます。」ということの背景にあると考えられます。 中学生時代の不登校も、こういう「生き辛さ」が背景に会ったかも知れません。 またとくに、「記憶力の無さに起因するケアレスミスが多い」ことは、質問者様ご自身が自覚していらっしゃるように、「作動記憶」の低さと関連していると考えられます。 群指数は、次のような能力を測定していますので、高いものは、質問者様ご自身も得意なところであり、低いものは、質問者様としては苦手な部分と認識していらっしゃると思われます。 ・言語理解……言語理解だけではなく、言語表現能力や、言語を使った思考、推理の能力 ・知覚統合……視覚や、視覚-運動に基づく、認知や、情報処理、また、非言語的な思考、推理の能力 ・作動記憶……入力してきた情報を数秒から数10秒保持しておくととともに、その保持された情報を使って何らかの心理的作業、情報処理を行う能力。とくに聴覚・言語的な情報に基づいて、こういったことを行う能力 ・処理速度……心理的な作業、情報の処理を行うスピード。視覚的な情報の短期記憶能力や、作動記憶、書字などの速さも含む 日々の対処として、一般的には、質問者様がとくに得意である、あるいは、高い能力をお持ちと考えられる、「言語理解」能力を活かすことをまず、お考えください(長所活用型のアプローチといいます)。 記憶力のなさに対して、メモを取るというのは、言語理解や、処理速度の高さでカバーしようとしていらっしゃると考えられます。 今回のように数値的な結果を示されますと、どうしても得点が低く、苦手な点に目が向き、「やはり、こういうところダメか」と思いがちですが、それを改善するのは、難しいものがありますので、是非、発想を転換して、まずは、長所を活用する(伸ばすというだけでなく、活かすことをお考えください)。 また、質問者様としては苦手であったところは、それを鍛える、訓練するという考え方ではなく、長所でカバーすることを考えてみてください。 「作動記憶」は、上の説明にも書きましたように、単に短時間、聴覚言語的な情報を記憶しておく(これは、短期記憶といいます)だけでなく、情報を短期記憶にとどめながら、何かの心理的作業を行う能力(これをとくに作動記憶と呼びます)を意味します。 質問者様の場合、下位検査結果を見ますと、「語音整理」がかなり低くなっていますので、作動記憶の弱さが考えられます。 したがって、重要な情報をメモするだけでなく、何をすべきかについてもメモを取るとよろしいかも知れません。 また、最近では、スマホなど情報機器を用いて、作動記憶の弱さを補う方法も開発されています。 そのほか、下位検査(「単語」「類似」など個別の検査を下位検査といいます)の得点パターンを分析しますと、次のような特徴も考えられました。 強い能力:言語概念の形成、抽象的言語概念の使用、言語による思考能力、文化的知識の高さ、言語で説明する能力、知的好奇心や努力 弱い能力:意味のある刺激を視覚的に捉え、理解する能力、視覚的情報の処理、空間認知、非言語的な情報に基づく思考、複数の情報や刺激の間の関連性の理解、ものごとの意味を理解する能力 知的能力発揮に影響する要因:注意の範囲の狭さ、こだわり・固執性 これらについて、思い当たるところがあれば、長所や強い能力を活かし、弱い能力や苦手なところは、それを長所でカバーしたり、なるべく負荷をかけないで済む工夫をしてみてください。 以上は、最初にも書きましたが、今回お示しの数値的な結果のみから考えられるものですので、これをお読みになり、また、できれば、WAIS-IIIを受検した病院で、検査を担当した心理士さんに直接ご相談になることをお勧めします(医師は、心理検査や知能検査の内容については、よくご存じないのが普通です)。 お分かりにならない点、疑問な点については、補足質問していただいても構いませんが、なるべくならば、検査をしてくれた心理士さんと相談してみてください。 以上、長くなりましたが、参考になれば、幸いです。
お礼
専門の方から詳しいご回答を頂けるとは思っていませんでした(°_°)! ぴたりと当てはまる内容ばかりです。 今まで「どうして私はこうなんだろう?」とずっと思っていた中、なんだか腑に落ちたような気持ちになりました。 ついつい出来ない事に目を向けがちですが、長所をうまく生かしてカバーしていくことが重要なのですね。 大変参考になりました。 本当にありがとうございました!