> 税源移譲と地方交付金のはっきりしたちがいはなんですか
読んで字の如し、です。
税源委譲とは、「税源を移すこと」です。厳密にいうと、「税源」とその税源に対する「課税権」を移すことです
「税源」とは、税が生まれる源です。税が生まれる「原因」と言ってもいいでしょう。
例えば、例えば質問者さんのお父さんの所得(給料など)を税源として、国が所得税を課しています。
法人(企業のこと)の所得(売り上げなど)を税源として、国が法人税を、都道府県は事業税を課しています。
そのような状況で「法人の所得を市町村に税源移譲する」とすれば、「法人の所得に対する課税権」を市町村が持つようになる、ということです。
その結果、市町村の税収入は大幅に増えることになります。
市町村は、国は県の顔色をうかがう必要も無くなり、自由に、その市町村の状態に合わせてその増えた税金を使うことができます。
ところが欠点もあります。
例えば「法人の所得に対する課税権を市町村に委譲する」と言われても、その市町村が過疎地で、法人がなければ税収は増えません。ありがたくもなんともないのです。
逆に、会社だらけの市町村はすごく税収が上がって使い道に困るようになるでしょう。
つまり、税源移譲は、「市町村の格差・不公平を広げるだけ」のことになる、場合もあるのです。
それに対して、「地方交付金」は、国が地方にばらまく「現金」です。
法人や人口が少なくて税収が少ない市町村にはたくさんお金を渡し、東京のような税収が多いところには全然渡さない、なんてことも自由自在です。
うまく制度を運用すれば、市町村の格差をなくし、国民が平等な暮らしをおくることができるようにもできます。
逆に、「政府の言うことを聞かないと、交付金を減らすぞ」とか言われて、必要でも無い設備を作ったりしなければならない、という弊害も出ます。
冬の日本海の荒波で、すぐ壊れて役に立たないと分かっている(太平洋仕様の薄っぺらな)防波堤を作らされたりしました。そういう堤防でないと、国が資金を出してくれない(国に逆らうと交付金もくれなくなる)から、渋々嫌々作りましたが、予想通りすぐ壊れました。
都会選出の国会議員や官僚は、日本海のことを何も知らないから、薄っぺらな防波堤で良いと思ったのです。
お金をまた出して壊れた堤防を取り払い、今度はまたお金を出してちょっとマシなのを作りました。結局必要額の3倍近くの税金を支出し、こういうのを「税金の無駄遣い」と言います。
一票の格差とかいって、地方を知っている地方選出の国会議員の数を少なくしたのでこんなことになっています。